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【考察】GDPから「新国富(ストック)」へ。本当の豊かさを測る新しい経済指標とは?

私たちは長年、国の経済力や豊かさを測る指標として「GDP(国内総生産)」を当たり前のように使ってきました。しかし、GDPが増えれば、私たちは本当に幸せで豊かな社会に生きていると言えるのでしょうか?

ReHac9のスペシャル動画( https://youtu.be/0zqtcu5GpsE )における石丸伸二氏と、国連「新国富報告書」の共同代表を務める九州大学主幹教授・馬奈木俊介氏の対談をもとに、これからの時代に絶対に知っておくべき新しい豊さの指標**「新国富報告書(Inclusive Wealth Report)」**について考察します。


1. 経済学の本質と「GDP」の限界

そもそも経済学とは「長期的に社会が良くなる制度を作り、人が幸せ(豊か)になるための学問」です [00:05:28], [00:06:57]。

これまで100年近く使われてきた「GDP」は、1年間でどれだけのお金が流れたかという**「フロー(Flow=川の流れや年収)」**を測る指標です [00:11:10], [00:13:14]。穴を掘って埋めるだけでも、道路を作ってもお金が動けばGDPは上がります [00:12:06]。しかし、これは「一瞬の経済活動」を切り取ったものに過ぎず、長期的に残る資産や持続可能性を評価することはできません [00:15:25]。


2. 新国富(インクルーシブ・ウェルス)とは何か?

GDPの「フロー」に対し、新国富は社会にどれだけの豊かさが溜まっているかという**「ストック(Stock=ダムの貯水や貯金)」**を測る指標です [00:11:36], [00:12:58]。

2008年のリーマンショック以降、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ氏らが「GDPに代わる(あるいは補完する)指標」の必要性を提唱したことをきっかけに、国連が主導して2012年から「新国富報告書(包括的な富の報告書)」が作成されるようになりました [00:16:30], [00:19:48], [00:21:04]。馬奈木教授は、2014年からこの国連研究チームの第2代代表を務めています [00:21:19], [00:24:40]。

新国富指標の特徴は、社会の豊かさを「円」や「ドル」といった金額で一元的に数値化する点にあります [00:25:40]。そして、その富は大きく**3つの「資本(ストック)」**で構成されています [00:26:21]。

① 人工資本(物・インフラ) [00:26:29]

道路、建物、橋、パソコン、カメラなど、形として社会に蓄積されたインフラの価値です。

② 人的資本(人・社会) [00:26:53]

教育を受けた人々が元気で健康に暮らし、社会に貢献する価値を賃金などの形で蓄積・推計したものです。健康寿命の長さや教育水準がここに反映されます [00:31:09], [00:44:09]。

③ 自然資本(自然・資源) [00:27:28]

地下に眠る石油・ガス・石炭などの資源や、農林水産物を生み出す土地や海の価値です [00:27:44]。重要なのは、環境破壊や気候変動、生物多様性の損害によってこれらの価値が失われた場合、「マイナス要素(毀損)」として差し引かれるという点です [00:28:20], [00:30:20]。


3. なぜ「人間開発指数(HDI)」ではダメなのか?

国連には、年収・寿命・教育年数の3つを組み合わせた「人間開発指数(HDI)」という有名な指標も存在します [00:37:42], [00:38:12]。どんな貧しい国でもデータが取りやすいため普及しましたが [00:38:29]、これを国の目標にしてしまうと「指標に含まれない環境問題や、寿命以外の健康問題」が無視されてしまうという重大な欠陥(研究者の間での共通認識)がありました [00:39:29], [00:40:01]。
だからこそ、網羅的・包括的に環境や資源までをも組み込んだ「新国富」が必要とされているのです [00:40:18]。


4. 日本の「新国富」における現状と課題

新国富の視点で日本を見ると、非常に興味深い事実が分かります。
日本は、整備されたインフラ、高い教育水準、そして世界トップクラスの長寿国であるため、蓄積されたストックの「総量」としては非常に高い位置にあります [00:31:09]。

しかし、大きな課題が2つあります。

  1. 高齢化と生産年齢人口の減少: 1人あたりに換算すると、働かない高齢世代の割合が増えているため、指標が伸び悩む構造になっています [00:31:26], [00:32:23]。

  2. 伸び率の低さ: この10〜20年、中国などの新興国に総量で抜かれただけでなく、日本自身の新国富の「伸び率」が非常に低くなっています [00:35:12]。


5. 指標をどう使うべきか:他国との比較ではなく「経年変化」を見る

メディアはよく「日本の幸福度ランキング」や「GDPの順位」など、他国との比較をニュースにしたがります [00:32:54], [00:34:47]。
しかし馬奈木教授は、**「この指標の目的は国の比較(ランキング)ではない」**と断言します [00:34:26]。宗教観や文化、謙遜の文化(日本など)によってベースが違うものを他国と比べても意味がありません [00:36:25], [00:37:10]。

大切なのは、**「自国の新国富(ストック)が、過去と比べてちゃんと増えているか(持続可能か)」**を確認することです [00:34:31], [00:36:35]。送料が増えている限り、その社会は良い方向に向かっていると判断できます [00:32:39]。

まとめ

GDPという「今、どれだけお金を使ったか」という近視眼的な目標だけを追い求めると、将来に大きな借金や環境破壊という負の遺産を残しかねません [00:15:25]。
人工・人的・自然という3つの資本をバランスよく蓄積し、次の世代に豊かな「ストック」を引き継いでいけているか。それを示す「新国富報告書」こそが、私たちが目指すべき持続可能な社会のコンパスとなるでしょう。


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