【読書感想文】『向田理髪店』を読んだ話
北海道在住の鶴木貞男@コンサポ登山社労士・行政書士です。
北海道小樽市にある「つるき社労士・行政書士事務所」で特定社会保険労務士、行政書士として活動しております。
先日、奥田英朗さんの小説『向田理髪店』を読みました。
(ネタバレを気にされる方はご注意ください)
この作品は、北海道の架空の炭鉱町「苫別町」を舞台にした連作短編集で、理髪店の店主をはじめとする町の人々の日常や人間関係が丁寧に描かれています。
大きな事件が起こるわけではありませんが、過疎化や高齢化といった地方の現実の中で、それでも前向きに暮らしていく人々の姿が静かに心に残る作品です。
この小説は、6つの短編が掲載されている短編集の形の小説です。
舞台である苫別町は、若者はどんどん都会に、というか街から出て行ってしまって、高齢化がものすごく進んでいます。
衰退していく街の人たちは、なんとか盛り上げようといろんなことをするけれども、なかなかうまくいっていない。
そんなマイナスの、というかネガティブな雰囲気が漂うような街なのですが、町に住む人たちは夏祭りなどのイベントで密な濃い人間関係を保ちながら、一生懸命楽しく生きていて、その様子がとても好ましいというか、心があたたかくなるような小説です。
舞台の苫別町という名前の架空の町ですが、北海道にはいくつか似たようなところがありますし、「ズバリあそこがモデルだな」と思いつく町もすぐ浮かびます。なので、実際に身近にある町の話として読むことができました。
また、主人公である理髪店の店主が私とほぼ同い年ということもあって、とてもリアルに感じられました。
私の地元でも人口がどんどん減ってきていて、観光業以外は少し元気がなくなってきている部分もあるので、そのあたりも重ね合わせながら読み進めることができました。
話自体は事件が起こったりもするのですが、刑事がどうのこうのというような警察小説のような大きな出来事ではありません。
町の中で起こる出来事や、ちょっとした変化に対する人々のやり取りが丁寧に描かれています。
すべてがうまくいくということではなく、「実際にはそうなるよね」と思えるところや、「しょうがないよね」と感じるところもあり、とても現実的なお話が多い印象でした。
それでも、人と人とのあたたかい関係が描かれていて、読み終わった後はほっこりするというか、「読んでよかったな」と素直に思えるような小説でした。
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