見出し画像

勤務間インターバル制度の法的位置づけを-労働市場改革分科会とりまとめ-

厚生労働省が今年(2026年)6月2日公表した日本成長戦略会議・労働市場改革分科会とりまとめには「勤務間インターバル制度の法的位置付け(略)検討を進める必要がある」と記載。

日本成長戦略会議・労働市場改革分科会とりまとめ(PDFファイル)


勤務間インターバル制度の法的位置づけ

日本成長戦略会議の労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)には「柔軟で多様な働き方を含む労働時間法制等に係る政策対応については、夏以降の労働政策審議会において、議論を行う必要がある」とあります。

そして「勤務間インターバル制度連続勤務規制は、労働者の休息や生活時間を確保するために重要な制度であるが、現行の努力義務の下や現行の変形週休制の下では労働者の健康確保の観点から限界があり、勤務間インターバル制度の義務化や長期の連続勤務の制限などについて、例外措置や代償措置も含め検討を進めるべき、つながらない権利の導入も検討すべきとの意見があった」と書かれています。

また「労働者の健康確保や生活時間の確保が重要であり、これらは多様な人材の労働参加に当たっても重要であることから、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、『つながらない権利』の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める必要がある」とあります。

つまり連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置づけについては、現場の実態や労働者(社員・職員)側・使用者(経営者)側双方の立場を十分に踏まえて、今年(2026年)夏以降に労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会において「検討を進める必要がある」と労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)に明記されました。

勤務間インターバル制度と委員意見

今年(2026年)4月22日に開催された日本成長戦略会議・労働市場改革分科会の議事録によると、水島委員(水島郁子・大阪大学大学院高等司法研究科教授)は「勤務間インターバル制度は、平成31年(2019年)に事業主の努力義務となりましたが、制度を知らない企業がいまだ少なくありません。勤務間インターバル制度は、労働者の健康確保の観点から効果的な施策と考えられ、導入が望まれますが、現行の努力義務、リーフレットの作成や周知による導入促進では限界があると言わざるを得ません。私見では、努力義務から義務化へ、労働時間等設定改善法による規制から労働基準法による規制へと展開することが望ましいと考えます」と述べています。

また室賀委員(室賀貴穂・九州大学大学院経済学研究院准教授)は「(働き方の)柔軟化には課題もあります。家庭内負担との境界の曖昧化や、長時間労働につながる可能性があるため、勤務間インターバル制度や『つながらない権利』の導入についても併せて検討すべきです。また、柔軟な働き方の提供が賃金抑制圧力として作用する可能性もあるため、均等待遇ルールの強化も重要であると考えます」と意見しています。

使用(経営)側の伊藤委員(伊藤仁・日本商工会議所専務理事)は「現行の労働時間制度においても、時間外労働の上限規制によって、年・月単位で極めて厳格な労働時間管理を求められております。勤務間インターバル制度ではこれらに加えてさらに日単位で労働時間に管理・制約を課すことになりますので、企業の労働時間配分や業務対応への柔軟性を欠くことにつながりかねないと考えております。従業員の健康確保に向けて、企業が自主的に勤務間インターバル制度の導入を行うこと自体には全く異論はございません。他方で、一律の義務化についてはこうした点にも十分留意し、慎重に検討していただきたい」と述べています。

労働側の神保委員(神保政史・日本労働組合総連合会<連合>事務局長)は「働く者がしっかりと休息や生活時間を確保できるよう、休日労働を含めた長期の連続勤務を制限するルールの導入、勤務間インターバル制度の義務化、つながらない権利の立法化の検討を進めることが重要である」と意見しています。

そして勤務間インターバル制度に最も詳しい石碕委員(石崎由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)は「勤務間インターバルについて、私は水島委員(水島郁子・大阪大学大学院高等司法研究科教授)と同様、将来的に義務化が必要ではないかと考える立場ですが、しかし、現状を考えますと、やはり直ちに義務化することは困難であると考えておりまして、まずは導入に向けた労使の協議を一層促す、そのような立法的対応が必要なのではないかと考えております」と意見しています。

また石崎委員は「(勤務間インターバル制度)義務化に当たっても、硬直的な規制というのは現場の実態に合わず、かえって実効性を失うおそれがあるので、やはりそこに関しては一定の例外を認めたりというようなことが必要ではないか。ただし、その場合も代償休息の確保を求めるような方向で設計をすべきではないかと考えております」とも述べています。

このような議論の結果(繰り返しになりますが)連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置づけについては、現場の実態や労働者(社員・職員)側・使用者(経営者)側双方の立場を十分に踏まえて、今年(2026年)夏以降に労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会において「検討を進める必要がある」と労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)に明記されました。

なお勤務間インターバル制度については厚生労働省・東京労働局のウェブサイトをご覧ください。

<関連記事>

スキ(♡)ボタンをクリックしてくださると励みになりますので、よろしくお願いします!