専門型 裁量労働制に銀行・証券会社での合併・買収などの考案・助言業務を追加
本日(2022年12月27日)、厚生労働大臣諮問機関・労働政策審議会の第187回 労働条件分科会が開催され、「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)(案)」を了承し、厚生労働省は「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」を公表した。
裁量労働制の対象業務
「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」には、裁量労働制の対象業務について「企画業務型裁量労働制(以下『企画型』という。)や専門業務型裁量労働制(以下『専門型』という。)の現行の対象業務の明確化を行うことが適当である」「 銀行又は証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び助言をする業 務について専門型の対象とすることが適当である」と記載されている。
1 裁量労働制について
(1)対象業務
○ 企画業務型裁量労働制(以下「企画型」という。)や専門業務型裁量労働制(以下「専門型」という。)の現行の対象業務の明確化を行うことが適当である。
○ 銀行又は証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び助言をする業務について専門型の対象とすることが適当である。
(2)労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保
(対象労働者の要件)
○ 専門型について、対象労働者の属性について、労使で十分協議・決定することが望ましいことを明らかにすることが適当である。
○ 対象労働者を定めるに当たっての適切な協議を促すため、使用者が当該事業場における労働者の賃金水準を労使協議の当事者に提示することが望ましいことを示すことが適当である。
○ 対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更しようとする場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うこととすることが適当である。
(本人同意・同意の撤回)
○ 専門型について、本人同意を得ることや同意をしなかった場合に不利益取扱いをしないこととすることが適当である。
○ 本人同意を得る際に、使用者が労働者に対し制度概要等について説明することが適当であること等を示すことが適当である。
○ 同意の撤回の手続を定めることとすることが適当である。また、同意を撤回した場合に不利益取扱いをしてはならないことを示すことや、撤回後の配置や処遇等についてあらかじめ定めることが望ましいことを示すことが適当である。
(業務量のコントロール等を通じた裁量の確保)
○ 裁量労働制は、始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを示すことが適当である。
○ 労働者から時間配分の決定等に関する裁量が失われた場合には、労働時間のみなしの効果は生じないものであることに留意することを示すことが適当である。
(3)労働者の健康と処遇の確保
(健康・福祉確保措置)
○ 健康・福祉確保措置の追加(勤務間インターバルの確保、深夜業の回数制限、労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の適用解除)、医師の面接指導)等を行うことが適当である。
○ 健康・福祉確保措置の内容を「事業場における制度的な措置」と「個々の対象労働者に対する措置」に分類した上で、それぞれから1つずつ以上を実施することが望ましいことを示すことが適当である。
○ 「労働時間の状況」の概念及びその把握方法が労働安全衛生法と同一のものであることを示すことが適当である。
(みなし労働時間の設定と処遇の確保)
○ みなし労働時間の設定に当たっては対象業務の内容、賃金・評価制度を考慮して適切な水準とする必要があることや対象労働者に適用される賃金・評価制度において相応の処遇を確保する必要があることを示すこと等が適当である。
(4)労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
(労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上)
○ 決議に先立って、使用者が労使委員会に対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容について説明することとすることが適当である。
○ 労使委員会が制度の実施状況の把握及び運用の改善等を行うこととすること等が適当である。
○ 労使委員会の委員が制度の実施状況に関する情報を十分に把握するため、賃金・評価制度の運用状況の開示を行うことが望ましいことを示すことが適当である。
○ 労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とするとともに、労働者側委員の選出手続の適正化を図ることとすること等が適当である。
○ 専門型についても労使委員会を活用することが望ましいことを明らかにすることが適当である。
(苦情処理措置)
○ 本人同意の事前説明時に苦情の申出方法等を対象労働者に伝えることが望ましいことを示すことが適当である。
○ 労使委員会が苦情の内容を確実に把握できるようにすることや、苦情に至らないような運用上の問題点についても幅広く相談できる体制を整備することが望ましいことを示すことが適当である。
(行政の関与・記録の保存等)
○ 6か月以内ごとに行うこととされている企画型の定期報告の頻度を初回は6か月以内に1回及びその後1年以内ごとに1回とすることが適当である。
○ 健康・福祉確保措置の実施状況等に関する書類を労働者ごとに作成し、保存することとすることが適当である。
○ 労使協定及び労使委員会決議の本社一括届出を可能とすることが適当である。
今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)(PDF)
専門型裁量労働制対象業務追加に関する省令改正
時事ドットコムニュースは「厚生労働省は27日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開いた。あらかじめ労使で決めた時間を働いたと見なす裁量労働制の対象に、企業の合併・買収(M&A)に関わる金融機関の業務を加える案を示し、了承された。厚労省は今後、省令改正などに向けて手続きを進める」(時事ドットコムニュース「裁量労働制、M&A業務を追加へ 厚労省」2022年12月27日配信)と報じた。
また、朝日新聞デジタルは「事前に決めた時間だけ働いたとみなして賃金を払う『裁量労働制』を適用する対象に、銀行や証券会社でM&A(企業合併・買収)の考案・助言をする業務が加わる。厚生労働省の審議会が27日、正式に決めた。業務の追加は約20年ぶり。2023年に省令などを改正し、24年に施行する見通しだ」(朝日新聞デジタル『裁量労働制、「M&Aの考案・助言」も対象に 業務追加は20年ぶり』2022年12月27日配信)と報じている。
なお、労働政策審議会・労働条件分科会の使用者側委員は専門型ではなく企画型裁量労働制にPDCA業務などの追加を要求していたが、労働者側委員の強い反対意見もあり、今回は見送られることになり、銀行や証券会社で顧客に対するM&A(企業合併・買収)の考案・助言をする業務のみが専門型裁量労働制が加わることとなった。
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