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骨太の方針2026・日本成長戦略・規制改革実施計画と裁量労働制の対象拡大

「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026」「日本成長戦略」「規制改革実施計画」「地域未来戦略(地方創生に関する総合戦略の変更)」は今日(2026年7月21日)閣議決定されました。


経済財政諮問会議・日本成長戦略会議

令和8年(2026年)第11回 経済財政諮問会議・第7回 日本成長戦略会議 合同会議が今日(2026年7月21日)10:30~11:15に総理大臣官邸で開催されましたが、議事は(1)日本成長戦略(案)、(2)経済財政運営と改革の基本方針2026(案)。

ロイターは今日(2026年7月21日)午前11時42分にウェブ記事『今年の「骨太」、予算編成を抜本的に見直し中長期経済財政計画と位置付け=高市首相」を配信。

ロイターのウェブ記事には「政府は(7月)21日午前に​経済財政諮問‌会議・日本成長戦​略会議を​合同で開催し、『骨太⁠の方針(​経済財政運営​と改革の基本方針)』と成長戦​略を議論​した。高市早苗首‌相は、⁠今年の骨太の方針は『予算編​成を​抜本⁠的に見直し、​中長期経​済財⁠政計画と位置付けた』⁠と説​明し​た」と書かれています。

骨太の方針など持ち回り閣議で決定

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026(内閣官房・内閣府本府)、日本成長戦略について(内閣官房)、地域未来戦略(地方創生に関する総合戦略の変更)(内閣官房)、規制改革実施計画(内閣府本府)を高市早苗内閣は今日(2026年7月21日)決定(閣議決定)。

骨太の方針2026と労働時間法制

内閣府の公式サイトには「令和8年(2026年)7月21日、『経済財政運営と改革の基本方針2026「責任ある積極財政」元年 ~日本の挑戦を起動する!~」(骨太方針2026)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました」とあります。

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026(PDFファイル)

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026概要(PDFファイル)

『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026』15ページには「労働力供給制約下での雇用保険制度における対応の在り方について、2026年内を目途に 結論が得られるよう検討する。心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会において議論を行う」と記載されています。

また(脚注)65には『成長戦略』から抜粋として「裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保な どの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う」などと書かれています。

(人材の育成・能力発揮)
17の戦略分野やエッセンシャル分野を始めとする幅広い人材の育成・確保のため、国・地域における取組を推進する。教育政策、産業政策と雇用政策を始めとする関係政策を連携させ、人材育成を一気通貫で推進する。人づくりの礎である教育の質を向上させる。産学官が連携し、必要なスキルや処遇の明確化、プログラム開発、費用負担の軽減や情報提供の充実、大学の体制強化、社会人による奨学金の活用の更なる向上に向けた検討を通じて、リ・スキリング機会を拡充する。アドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成に取り組む。これらにより、処遇や生産性の向上を図る。
こうしたスキルアップや技能尊重の機運醸成に向けた「全世代型リ・スキリング国民運動」を展開するとともに、2028年技能五輪国際大会の日本開催の準備を進め、技能士・業界団体等の連携による人材育成の取組を推進する。
労働力供給制約下での雇用保険制度における対応の在り方について、2026年内を目途に結論が得られるよう検討する。心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会において議論を行う。(脚注)65
国家公務員が持てる能力を遺憾なく発揮し、国民生活と国益を支える役割を果たせるよう、採用活動を幅広く強化するとともに、民間企業等に伍する職場環境の整備、人材マネ ジメントの強化、人事管理機能の高度化、処遇改善を進め、公務を選ばれる仕事とする。

(脚注)65
「成長戦略」から抜粋。
裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。また、変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める。
また、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める。
また、労働時間制度の運用については、時間外労働の実態を踏まえた、36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施するとともに、必要な体制整備については2027年度以降も着実に実施を図る。
あわせて、労働基準監督署にお いて、重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す。
これらの施策について、実施後の政策効果を検証し確認できるよう、あらかじめモニタリングとデータ収集を行うための フォーマットを作成し、厚生労働省と地方支分部局において確実にフォローアップを行う。

『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026』

日本成長戦略と労働時間法制

内閣官房の公式サイトには「2026年7月21日『日本成長戦略』が閣議決定されました」とあります。

日本成長戦略(PDFファイル)

『「日本成長戦略』59ページには(骨太の方針2026脚注65にも引用されているためくりかえしになりますが)「裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。また、変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める。また、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、『つながらない権利』の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める」と記載されています。

(柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等)
心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、2026年夏以降の労働政策審議会において 議論を行う。
裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。
また、変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める。
また、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める。
また、労働時間制度の運用については、時間外労働の実態を踏まえた、36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施するとともに、必要な体制整備については2027年度以降も着実に実施を図る。
あわせて、労働基準監督署において、重大・悪質な事案に対しては厳正に 対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す。
これらの施策について、実施後の政策効果を検証し確認できるよう、あらかじめモニタリングとデータ収集を行うためのフォーマットを作成し、厚生労働省と地方支分部局において確実にフォローアップを行う。

『日本成長戦略』

日本成長戦略概要(PDFファイル)

Outline of the Japan’s Growth Strateg(PDFファイル)

なお高市早苗総理は今年(2026年)4月22日にX(旧ツイッター)に「裁量労働制については、経済界として『健康確保』、『長時間労働防止』、『処遇改善』にしっかり取り組まれるとのご発言も踏まえ、こうした『濫用防止措置』を前提に制度対象の在り方について、見直しの検討を進めていただきます」と投稿していました。

規制改革実施計画と労働時間法制

内閣府の公式サイトには「『規制改革実施計画』は、規制改革推進会議が取りまとめた答申等により示された規制改革事項について、政府として計画的かつ着実な実施を図るため、担当府省や実施時期を定めたものです」とあります。

2026年7月21日に閣議決定された『規制改革実施計画』45ページ~には変形労働時間制および裁量労働制の見直しについて労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)で検討するように、と極めて詳細に記載されています。

1年単位の変形労働時間制について

事項名
1年単位の変形労働時間制における労働日等の特定の在り方

規制改革の内容
労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条の4に基づく1年単位の変形労働時間制 (以下「1年単位の変形労働時間制」とい う。)は、事業場において、1か月を超え、1年以内の期間を平均して、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲で業務の繁閑に応じた労働時間の効率的な配分等を可能とする制度であり、年単位の計画的な労働時間管理を通じて、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮や休日の確保といった労働者に対する便益も見込まれ、我が国の建設業、運輸業、製造業など幅広い業種で、 企業規模にかかわらず導入されており、業種によっては3割を超える労働者に適用され ている。
1年単位の変形労働時間制を導入するためには、同条第1項及び労働基準法施行規則 (昭和22年厚生省令第23号)第12条の4に基づき、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合に おいてはその労働組合(以下「過半数労働組合」という。)、過半数労働組合がない場合に おいては労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)との書面による協 定(以下「労使協定」という。)を締結し、1 か月を超え1年以内の一定期間(以下「対象期間」という。)を平均し1週間の労働時間を40時間以下の範囲内にすること等の条件を満たした上で当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に届け出ることが必要であり、同法第32条の4第1項第4号に基づき、 労使協定において、対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとし た場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下 「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(以下「労働日等」 という。)並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)をあらかじめ特定しなければならないが、同条第2項に基づき、対象期間を1か月以上の期間に区分することとした場合に、最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定め、各期間の初日の少なくとも30日前に、過半数労働組合、過半数労働組合がない場合においては過半数代表者の同意を得て、 当該期間における労働日等を特定しなければならない。
また、厚生労働省は、「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」(平成11年1月29日労働省労働基準局長通達。以下「平成11年1月局長通達」という。)において、「特定された労働日及び労働日ごとの労働時間 は変更することができないものである」としているのに加え、「労働基準法の一部を改正する法律の施行に伴う関係通達の改廃につ いて」(平成11年3月31日労働省労働基準局長通達。以下「平成11年3月局長通達」という。)において、「1年単位の変形労働時間制は、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することがないことを前提と した制度である」とした上で、労働日等の特定時には予期しない事情が生じた場合に限り、就業規則に、休日を振り替えることがで きる旨の規定を設けることなどを条件として、休日振替を認めるとしている。
これに対して、民間経済団体、業界団体、 企業等からは、1年単位の変形労働時間制に おける労働日等の特定の在り方について、以 下に掲げる声や指摘がある。
・天候等を30日前までに予測した上で労働 日等を特定することがそもそも難しく、特 定後に急な悪天候や取引先都合による前工程・納期の遅延等の突発的事象が発生した場合であっても、平成11年1月局長通達及び平成11年3月局長通達などにおい て、一旦特定した労働日等は原則変更できないとされていることが、1年単位の変形労働時間制を導入する際の障壁となって いるほか、導入した場合においても、突発的事象によって予定した作業を行えなかった際に労働日等の変更ができない結果、 時間外労働や休日労働によって補完せざ るを得ないこと、時間外労働の上限規制も相まって納期の遅れなどを引き起こす可能性があることから、労働日等の特定の期限を実情に応じて緩和することや、労働日等の事後変更が認められる事由を拡大す ることを含め、制度の柔軟化が必要であるとの声。
・特に建設業は、他業種と比べて年間の総実労働時間が長く、4週8休(週休2日)を確保できていない場合が多い中、猛暑日の増加や積雪等の気候要因によって労働者が安全かつ効率的に働ける日数が減少するなど一律の労働時間削減が困難となっ ていることから、好天時にはまとまった労働時間を確保しつつ、夏季や冬季には労働 者がまとまった休日を確保できる、1年単位の変形労働時間制の導入促進が労使双方にとって望ましいが、労働日等の特定時には予期できない天候の変動が発生した際、「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(令和8年3月18日厚生労働 省)などを踏まえて作業を中止することが望ましい場合でも労働日等の事後変更ができず、同制度の導入や導入後の支障となっているため、柔軟かつ円滑な対応が必要 であるとの声。
・労使協定の締結や所轄労働基準監督署長への届出といった、1年単位の変形労働時間制の導入に必要な手続が複雑・煩雑で対応困難であることから、当該手続の簡素化や働き方改革推進支援センター等の関係機関による導入のサポートが必要であるとの声。
・労働基準法第32条の2に基づく1か月単位の変形労働時間制(以下「1か月単位の変形労働時間制」という。)については、解釈上、原則として労働日等の変更はできないものの、石炭鉱山である事業場における番方編成による交替制勤務の際に就業規 則に番方転換を行う場合の事由を定め、労働者に事前に明示した上で労働日等を変更することが許容されており、また、裁判例において、業務上やむを得ない必要がある場合に限定的かつ例外的措置として労働日等の変更を許容する余地を示したも のがあり、1年単位の変形労働時間制は、1か月単位の変形労働時間制と異なり最低限の休日確保や連続労働日の上限があるなど、1か月単位の変形労働時間制よりも労働者を保護する仕組みになっていることも踏まえれば、1か月単位の変形労働時間制で許容される変更事由は、1年単位の変形労働時間制に準用しても差し支え ないと考えられるとの指摘。
・労働日等をあらかじめ特定することが必要な趣旨は、規則正しい日常生活が乱されて健康を害したり、余暇時間や私生活の設計を困難にさせたりする労働者の不利益を最小限にとどめるよう配慮するといった点にあり、一旦特定された労働日等が使用者の恣意によりみだりに変更されることを防止する必要があることから、労働者の予見可能性等を確保するために適切な措置を講ずることが必要であるとの指摘。
一方、労働者保護の観点からは、1年単位の変形労働時間制について、以下の声や指摘 も見られる。
・1年単位の変形労働時間制は、法定労働時間の例外を認める制度であり、労働日等の特定を含む必要な各種の要件は、労働者の健康確保や生活時間の設計への配慮のために設けられていることから、要件緩和は行うべきではないとの声。
・1年単位の変形労働時間制について検討する際は、例外を認めるとしても、あくまでも限定的で客観的な条件に基づくものとする必要があり、労働者の予見可能性や健康確保を最優先に考えるべきとの指摘。
以上の声や指摘を踏まえ、心身の健康維持を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点から、1年単位の変形労働時間制について、厚生労働省は、規制改革推進会議での議論や制度運用状況等の実態も踏まえ、予期しなかった事情にも柔軟に対応できるようにすることについて、労働者の予見可能性の確 保についても十分留意しつつ、労働政策審議会において検討し、結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずる。

実施時期
令和8年検討開始、早期に結論、結論を得次第速やかに措置

所管府省
厚生労働省

『規制改革実施計画』

裁量労働制の対象業務拡大について

事項名
裁量労働制の適用対象業務の在り方

規制改革の内容
労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条の3に定める専門業務型裁量労働制及び同法第38条の4に定める企画業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者に委ねる業務に従事する労働者を対象とする制度であり、適正な運用が行われれば、労使双方にとってメリ ットのある働き方の実現が見込まれるものの、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、専門業務型裁量労働制の適用労働者割合は期間を定めずに雇われている労働者全体の約1.1%、企画業務型裁量労働制の適用労働者割合は期間を定めずに雇われている労働者全体の約0.3%となっている。
これに対して、一部の企業や民間経済団体からは、以下に掲げる課題等への対応が必要であるとの声がある。
・裁量労働制は、令和7年に実施された日本経済団体連合会の「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」によると、メリハリを付けて自分のペースで働ける、就労時間が短くても一定額の裁量労働手当等を受け取ることができる、成果に応じた処遇が受けられる可能性があるといった理由により、裁量労働制を適用されていないホワイトカラー労働 者のうち約3割が同制度の適用を希望しているとされている一方、「現行の裁量労働制の対象業務に関する解釈について」(令和5年8月2日厚生労働省労働基準局労働条件政策課長及び監督課長連名通達)においては、対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、企画、立案、調査及び分析の業務とは別に、たとえ非対象業務が短時間であっても、それが予定されている場合は、企画業務型裁量労働制を適用することはでき ないこととされており、我が国の企業においては、企画業務型裁量労働制の対象業務に従事する労働者に全社横断的なプロジ ェクト型業務への参加や安全衛生委員会への出席といった非対象業務も担当させる場合があることから、対象業務と非対象業務の混在が認められていない企画業務型裁量労働制を適用することが困難であ ること。
・規制改革推進に関する答申(令和7年5 月)にも示されたとおり、スタートアップ においては一人の労働者が複数の業務を担当することが一般的であることから、対象業務と非対象業務の混在が認められていない裁量労働制を適用することが困難であるほか、企画業務型裁量労働制を導入する際に必要な労使委員会の設置等が手続負担等の面からスタートアップにおける制度導入の障壁になっていること。
・特定の顧客向けの商品・サービスの企画、立案、調査及び分析を行った上で、それに基づき開発・提案まで行う業務に対しても 裁量労働制を適用するニーズがあるが、現行制度では適用が困難であること。
・グループ会社等で重複する人事・財務・経 営企画などの間接業務を別会社に集約・標 準化し、効率化を目指す、いわゆる「シェアードサービス業務」がグループ化を進める企業を中心に活用される中、「シェアードサービス業務」の中でも企画、立案、調査及び分析を行う業務に対しても裁量労 働制を適用するニーズがあるが、現行制度では適用が困難であること。
一方、令和元年に実施された厚生労働省の 「裁量労働制実態調査」においては、①労働基準法第38条の3第1項第2号に規定する労働時間として算定される時間及び同法第38条の4第1項第3号に規定する労働時間として算定される時間(以下「みなし労働時間」という。)と実際の労働時間の間に、専門業務型裁量労働制の適用労働者では平均し て46分、企画業務型裁量労働制の適用労働者では平均して1時間8分の差がそれぞれ 見られること、②専門業務型裁量労働制及び企画業務型裁量労働制の適用労働者のそれぞれ約2割が裁量労働制の適用に対する満足度について「不満である」又は「やや不満である」と回答していること、③適用労働者の苦情の内容として「業務量が過大である」 「労働時間が長い」「賃金などの処遇が悪い」「人事評価が不適切である」などの点が挙げられていることなどを踏まえ、制度の趣旨に沿っていない運用への懸念については、労働者の健康確保や長時間労働防止、適切な処遇確保等の観点から、制度の濫用防止措置について検討する必要がある。
特に、みなし労働時間については、企画業務型裁量労働制指針等において、対象業務の内容並びに対象労働者に適用される賃金・評価制度を考慮して適切な水準のものとなるようにし、対象労働者の相応の処遇を確保することが必要とされていることを踏まえ、適切に設定されているかなど、実態を明らかにし、制度の趣旨に沿っていない運用の懸念がある場合には、適切な措置を講じて、未然に防止するべきである。
これに対して、公衆衛生学の観点からは、 裁量労働制の運用について、以下の指摘がある。
・長時間労働や概日リズムの乱れ、心理的に仕事から距離を置けないこと、裁量のない労働者への制度の適用、努力に見合わない報酬や評価等が生じた場合には、健康上のリスクとなりやすい。
・使用者には、正確な労働時間の管理や裁量に見合うタスクの設定、適切な成果の評価が求められるほか、健康・福祉確保措置として、勤務間インターバル(企画業務型裁量労働制指針等に基づき、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保することをいう。)、深夜労働(労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させることをいう。)の回数を1か月について一定回数以内とすること、 使用者が把握した労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除、年次有給休暇の連続取得の促進等の予防的措置を講ずることが重要であり、さらに、時間外の連絡方法に関するルールの作成や仕事を与える管理監督者に対する心理的安全性に関する教育の実施、労働者に対する労働時間等の自己管理能力を醸成する教育の実施等も考えられる。
以上の声や指摘などを踏まえ、心身の健康維持と労働者の選択を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点から、厚生労働省は、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について労働政策審議会にお いて見直しの検討を開始し、結論を得次第、 必要な措置を講ずる。

実施時期
令和8年検討開始、早期に結論、結論を得次第速やかに措置

所管府省
厚生労働省

『規制改革実施計画』

規制改革実施計画(PDFファイル)

実施事項説明資料(PDFファイル)

労働政策審議会(労政審)労働条件分科会

今月(2026年7月)7日に労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会が開催されました。

この日の資料「経済財政運営と改革の基本方針2026(案)」等について(PDFファイル)には(閣議決定される前の)骨太の方針2026(原案)、日本成長戦略(案)における労働条件分科会に関係する部分を事務局(厚生労働省)が抜粋していました。

東京新聞は今月(2026年7月)14日に労働政策審議会の労働条件分科会に関するウェブ記事『裁量労働制で連合「労働時間の適正把握、義務化を」 政府がモデル扱いする日立で「不適切運用」』を配信しています。

東京新聞のウェブ記事には「政府が裁量労働制の『代表例』と位置づけてきた日立製作所で、実労働時間を過少に申告するなど不適切な運用があったとの東京新聞の報道を受け、連合(日本労働組合総連合会)の菅村裕子委員は『労働時間の適正把握を義務化する必要性が高いと、報道も含めて認識した』と指摘した」と書かれています。

(略)報道では、制度適用者の過労死ラインを超える長時間労働や、それを過少申告する社内のシステムについて現役社員が証言した。日立の委員はこの分科会にも使用者代表として名を連ね、議論を左右する存在だ。

制度の適用拡大を求める使用者側の意見に対し、菅村委員は「制度のさらなる拡充は、不適切な運用や長時間労働を招きかねない」と批判。日立の委員から、裁量労働制についての言及はなかった。経団連の鈴木重也委員は「裁量性を確保するため乱用防止策の具体的検討が必要」としつつ、労働時間の把握の規制強化については触れなかった。

東京新聞『裁量労働制で連合「労働時間の適正把握、義務化を」(略)』

また今月(2026年)7月15日の連合(日本労働組合総連合会)ニュース(労働条件分科会で、裁量労働制などの緩和不要と生活時間保障に向けたルール強化の必要性を改めて主張)には「7月14日、第210回 労働政策審議会 労働条件分科会が開催され、『日本成長戦略(案)』『骨太の方針2026(案)』などを踏まえて議論が行われました」とあり、規制改革実施計画(案)のことは記載されていません。また東京新聞が報道した日立製作所のことについてもふれられていません。

(略)
裁量労働制について
今回も使用者側委員からは、裁量労働制は適正に運用されれば生産性向上や柔軟な働き方の実現につながる制度であり、濫用防止策とセットで見直すべきとの発言が繰り返されました。
これに対し、労働者側委員は、現場の実態として、裁量労働制は長時間労働になりがちであり、適切な裁量や処遇が確保できていないといった課題は、加盟組合へのヒアリングでも確認しており、長時間労働や健康被害を増やしかねないとして拡充や緩和に強く反対しました。

労働時間制度について
労働者側委員は、労働者の健康確保について明確なエビデンスが確立している、勤務間インターバル制度の導入義務化や長期の連続勤務規制の導入、「つながらない権利」の法制化などが必要と訴えました。あわせて、長時間労働の是正や、休みをとりやすい環境整備こそが生産性を高めることが明確になっていることも主張しました。
他方で、使用者側委員からは、時間外労働の月45時間以上年6回までの規制や変形労働時間制の緩和を求める意見がありました。これに対し労働側委員は、長時間労働の常態化や過労死等を招きかねない規制緩和はあってはならないと反論しました。

連合ニュース『労働条件分科会で、裁量労働制などの緩和不要と(略)』

*本日のnote(ノート)記事に関連する記事はマガジン『裁量労働制の見直し(対象拡大)最新情報をお届け』に掲載しています。

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