あの頃の私に、渡したかったもの|36年目の精神科訪問看護師の自己紹介
注意や指摘を受けると、その場で固まってしまう新人でした。
自分の意見を伝えるなんてもってのほか。頭が真っ白になって、ただ下を向いて立っている。
わからないなら聞いてと言われても、声をかけるタイミングがわからない。声をかけたときの、先輩の態度そのものが恐怖でした。怖いから同期にこっそり聞く。すると、そのやり取りをまた指摘される。職場で私が発する言葉は、「すみません」くらいしかなかったかもしれません。
涙がこぼれる前に、トイレに駆け込む。そんな日々でした。
これが、36年前の私の話です。
18歳で看護の道に入り、20歳から看護師として働いてきました。いまは56歳、看護師として36年目。現在は精神科の訪問看護師をしています。一般科も精神科も経験して、転職もいくつもしてきました。履歴書に書けば、それなりに長い経歴になります。
でも、これは「泣いていた新人が、強くなりました」という話ではありません。
36年やってきて、変わったことと、変わらなかったことがあります。
変わったのは、しんどさの正体を分けて見られるようになったことです。いま起きていることは、自分の問題なのか。相手の問題なのか。職場や組織の問題なのか。それとも、働き方そのものの問題なのか。かつては全部をひとまとめにして「私が悪い」と背負っていたものを、いまは切り分けて考えられるようになりました。
変わらなかったのは、理不尽への疑問です。同じ看護師同士なのに、まるで階級を付けるかのような職場環境。それが当たり前のように許されていることには、いまも反感を抱いています。
強くなったというより、見えるようになった。それがいちばん近い気がします。
なぜあの人は私にだけ冷たいのか。なぜあの先輩は新人を選んでいびるのか。なぜ上司は守ってくれないのか。
新人の頃、トイレで泣きながら「私の何がいけないんだろう」と探していた答えの多くは、私の中にはありませんでした。相手の側と、職場という場所の側にあったんです。
それが見えるまでに、随分かかりました。
ここに書いているのは、あの頃の私に渡したかったものです。
自分だけを責める前に、何が起きているのかを整理するための見方。気合いでも、我慢でも、きれいごとでもなくて、36年いろんな職場を見てきたからこそ書けるものを、ここに残していきます。
このアカウントでは、こんなときに読める記事を書いています。
人間関係で消耗しているとき
指導といびりの違いが分からなくなっているとき
辞めたいけれど、決めきれないとき
今の職場が合わないのか、看護の仕事そのものがつらいのか
続けるために何を変える必要があるのか、考えたいとき
最後にひとつだけ。
私はいまでも、答えの出ないことをたくさん抱えています。36年やっても、割り切れないものは割り切れない。だからここは、正解を配る場所ではなくて、自分の状況を整理し、納得できる判断材料を見つけるための場所だと思ってもらえたらうれしいです。
いま迷っていることがあるなら、まず「自分」「相手」「職場」「働き方」のどこに問題があるのか、一つずつ分けてみてください。それだけで、しんどさの正体が少し見えてくることがあります。
トイレで泣いていたあの日の私と、いまのあなたに向けて、書いていきます。
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さとみ|看護師歴36年、現役の精神科訪問看護師。職場の人間関係、辞めたい迷い、これからの働き方を整理する記事を書いています。
