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朝がしんどかった理由は、見落としていた“たった15分”でした

目覚まし時計が鳴るずっと前に
胸の奥がざわつくような焦りで目が覚める。

頭の中に真っ先に浮かぶのは、今日中に返さなきゃいけない
メールの束と、進めないといけないデザインの修正指示
そして一向に減らないタスクリスト。

「あぁ、早く起きてPCを開かなきゃ」と、息を詰めるようにして
重い体を起こし、這うようにしてデスクに向かう朝。

皆さんは、そんなふうに1日を始めてしまった経験はありませんか?


自由になったはずなのに、息ができなかった日々

少し前まで、私の朝はまさにこの
「息を詰めるような焦燥感」から始まっていました。

会社員を辞めて、念願だったフリーランスという働き方を選んだ私。

「これからは、自分の好きな場所で、好きな時間に働けるんだ」

独立を決めたときは、そんな明るい希望で胸がいっぱいでした。
けれど、いざ駆け出しのデザイナーとして一人で働き始めてみると、
現実は想像していた「自由」とは少し違っていたんです。

「仕事が途切れたらどうしよう」
「クライアントさんの期待に応えられなかったらどうしよう」
「もっとスキルを磨かないと、誰にも選んでもらえなくなるんじゃないか」

そんな不安が、常に背中に張り付いているような感覚でした。

駆け出しだからこそ、とにかく圧倒的な量をこなさないといけない。
休んでいる暇なんてない。
そう思い込んでいた私は、起きている時間のすべてを仕事に
捧げるような日々を送るようになりました。

朝、ベッドから跳ね起きると、顔を洗うのも
そこそこにPCの電源を入れます。

ブルーライトを浴びながら、タスク管理ツールにずらりと並んだ
「やることリスト」と睨めっこ。
チャットの通知を確認し、昨晩のうちに来ていた修正依頼に目を通す。

「よし、まずはこのバナーの修正を終わらせて、次に見積もりを作って……」と、朝一番のエネルギーをすべて「タスクの消化」に注ぎ込んでいました。

それがフリーランスとして生きていくための「正解」だと、
当時の私は疑わずに信じていたんです。

休むこと=サボること
だと自分に言い聞かせ、
少しでも仕事から離れると強い罪悪感に苛まれていました。


枯渇していく心と、ただの「作業」になっていくデザイン

でも、そんな働き方を続けていて、心と体がいつまでも持つわけがありませんよね。

朝イチからフルスロットルでエンジンを回し続けると、どうなるか。

お昼を過ぎる頃には、もう頭がボーッとしてきて、
夕方には完全に「ガス欠」状態になってしまうんです。

モニターの前に座ってはいるものの、
マウスを握る手はピタッと止まったまま。

デザインのアイデアを出そうとしても、頭の中は真っ白。
引き出しを開けても開けても、中身がからっぽになっているような、
そんな恐怖を感じるようになりました。

私が大切にしたいと思っていたのは
「人と人を紡ぐ」ようなデザインです。

クライアントさんが届けたい想いを丁寧に汲み取り、
それを必要としている誰かに届ける。
そのプロセスや関係性を何よりも大切にしたいと思って、
独立の道を選びました。

それなのに、あの頃の私のデザインは、
ただ画面上のピクセルを動かすだけの「作業」に
なってしまっていたように思います。

「クライアントさんがこう言っているから、
とりあえずこの色にしておこう」

「早くこの案件を終わらせて、次のタスクに取り掛からなきゃ」

自分の心に「余白」が全くない状態では、
誰かの想いに寄り添うことなんてできませんでした。

相手の言葉の裏にある「本当の願い」に気づくこともできず、
ただ表面的な要望をなぞるだけ。
結果として、提案したデザインに対して
「なんだかちょっと違う気がする」と言われてしまい、
何度も修正を重ねるはめに……。

焦れば焦るほど、視野が狭くなり、空回りしていく。

「私、何のためにフリーランスになったんだっけ?」

夕暮れ時の薄暗い部屋で、一人PCの画面を見つめながら、
そんなふうに途方に暮れた日のことを今でも鮮明に覚えています。


ふと立ち止まって見つけた、小さな違和感

そんなギリギリの生活を続けていたある朝。

いつものように重い体を引きずってデスクに向かい、
タスクリストを開こうとしたとき、ふと窓の外に目をやりました。

そこには、朝日を浴びてキラキラと光る街路樹と、
ゆっくりと流れる静かな朝の時間が広がっていました。

その景色を見た瞬間、私の中で何かがプツンと
弾けたような気がしたんです。

「私、今日1日を『タスクをこなすためだけ』に始めようとしている」

私たちは、仕事をするために生きているわけではありませんよね。

もちろん、生きていくために仕事は必要ですし、
責任を持ってやり遂げなければならないことはたくさんあります。
駆け出しの私にとっては、なおさら目の前の仕事一つひとつが
命綱のようなものでした。

でも、「やらないといけないこと」だけで
自分の24時間を埋め尽くしてしまったら、
私の心はどこで呼吸をすればいいのでしょうか。

朝起きて一番に感じる感情が「不安」や「焦り」だとしたら
その日1日はずっと不安と焦りに追いかけられることになります。

朝の気持ちの持ち方や、最初の一歩の踏み出し方が、
その日全体の「心の土台」になってしまう。
そのことに、私はようやく気がついたんです。

「もし、この朝の時間の使い方を少しだけ変えてみたら、
何かが変わるかもしれない」

それは、藁にもすがるような、小さな思いつきでした。


スケジュール帳に書き込んだ「自分のための時間」

私は実験として、あるルールを自分に課してみることにしました。

それは、「朝起きてからの最初の15分間は、絶対に仕事のことは考えず、
自分の『幸せ』のためだけに使う」というものです。

具体的に何をしたかというと、タスク管理ツールの
「やることリスト」の一番上に、仕事のタスクではなく、
こんな予定を書き込んでみました。

・お気に入りのコーヒー豆を挽いて、ゆっくりハンドドリップで淹れる
・ずっと読みたかった雑誌のページを、ただパラパラと眺める
・窓を開けて、外の空気を感じながら少しだけストレッチをする

最初は、ものすごく勇気がいりました。

だって、頭の中には
「早くあのメールに返信しなきゃ」
「あのデザインの修正、今日中に終わるかな」
という声がグルグルと渦巻いているんですから。

「こんなことをしている間に、
他の人はもっと仕事を進めているんじゃないか」
という罪悪感が、チクチクと胸を刺してきました。

でも、一度決めたことだからと、
自分に言い聞かせてキッチンに立ちました。

お湯を沸かし、コーヒー豆をガリガリと挽く。
そのときのゴリゴリという手に伝わる振動や、
部屋いっぱいに広がる香ばしい匂い。

お湯を注ぐと、コーヒーの粉がふっくらと膨らみ、
ポタポタと落ちる琥珀色のしずく。

そのプロセスをただ静かに見つめているうちに、
不思議なことが起きました。

さっきまで頭の中で鳴り響いていた「焦りのサイレン」が、
少しずつ、少しずつ遠ざかっていったんです。

淹れたての温かいコーヒーをマグカップに注ぎ、
お気に入りの椅子に座って一口飲む。

じんわりと広がる温かさと苦味を感じながら、
窓から差し込む朝の光を浴びたとき。

「あ、私、いま息ができている」

そう、はっきりと感じました。

たった15分。
時間にすればほんのわずかな時間です。

でも、その15分間、私は「誰かのため」や
「やらなきゃいけないタスクのため」ではなく、
純粋に「自分の心地よさ」のためだけに時間を使うことができたんです。


「自分の幸せ」を優先することは、サボりなんかじゃない

この小さな朝の実験を何日か続けていくうちに、
私の仕事への向き合い方、そしてパフォーマンスそのものが、
劇的に変わっていくのを感じました。

朝一番に「自分のための幸せな時間」を過ごすと、
心のバッテリーが満タンに充電されたような感覚になります。

その満たされた状態でPCを開き、
タスクに向き合うと、どうなると思いますか?

まず、クライアントさんからのメールに対する
受け止め方が全く違ってくるんです。

以前の私なら、修正依頼のメールを見るだけで
「うわ、また修正だ。早く終わらせなきゃ」と身構えてしまっていました。

でも、心に余白ができたことで、
「なるほど、この方はこういう不安があるから、この部分を変えたいんだな。だとしたら、こういう別の見せ方を提案してみたら安心してもらえるかもしれない」と、
一歩引いて、相手の本当の想いに寄り添えるようになったんです。

デザインに向き合うときの視野も、ぐんと広がりました。

焦ってピクセルをいじっていたときには決して思いつかなかったような
柔らかくてあたたかいアイデアが、自然と湧いてくるようになったんです。

そのとき、私はひとつの確信にたどり着きました。

朝、仕事以外の『自分の幸せ』を予定に入れることは、
決して「サボり」なんかじゃない。

それは、自分自身を健やかに保ち、
結果として仕事の質を最大化するための、立派な「戦略」なのだと。


「やらないといけないこと」の前に、まずは自分を満たす

私たちはつい、「自分のこと」を後回しにしてしまいがちですよね。

「この仕事が終わったら休もう」
「時間ができたら、あの本を読もう」
「今週末こそは、ゆっくりお茶を飲もう」

でも、日々のタスクは波のように次から次へと押し寄せてきて、
いつまで経っても「全部終わる」日なんて来ません。

やらないといけないことを先に片付けてから自分を満たそうとすると、
私たちの心のバッテリーは、どんどんすり減っていくばかりです。

だからこそ、順番を逆にする必要があるんだと私は思うんです。

朝一番の、まだ誰にも邪魔されていないまっさらな時間に、
まずは「自分の幸せ」を最優先で予定に組み込む。

タスクリストの一番上に、「私を満たすための時間」を配置する。

もちろん、やらないといけないことの計画を立てることも、
プロとして働く上ではとても大切なことです。
私自身、今でもタスク管理はしっかり行っていますし、
期限を守ることは絶対のルールにしています。

でも、それと同じくらい、いや、それ以上に
「朝一番に、どんな気持ちで1日をスタートさせるか」が、
その後のすべてのパフォーマンスを左右するのだと、身をもって学びました。

自分の心がカラカラに渇いている状態では、
誰かに優しくすることも、誰かと誰かを紡ぐような良い仕事を
することもできません。

コップの水が溢れ出すように、
まずは自分自身をたっぷりと満たしてあげること。
その溢れ出た分のエネルギーで、目の前の仕事や、
周りの人たちに還元していく。

それが、無理なく、長く、自分らしく
働き続けるための秘訣なのではないでしょうか。


あなたにとっての「充電タイム」は何ですか?

この文章を読んでくださっている方の中にも、
昔の私のように「休むのが怖い」「いつも何かに追われている気がする」と、息苦しさを感じている方がいるかもしれません。

もしそうだとしたら、明日の朝、
たった5分でも、10分でもいいので、
「仕事と全く関係のない、自分がちょっとだけ幸せになれること」を
やってみませんか?

・ベランダに出て、ただ空をぼーっと眺める
・お気に入りの入浴剤を入れて、朝風呂に入る
・好きな音楽を1曲だけ、目を閉じてじっくり聴く
・誰の目も気にせず、好きなノートに今の気持ちを書き殴る

正解なんてありませんし、「誰かが良いと言っていたから」で
選ぶ必要もありません。

あなたが心から「心地よいな」「ホッとするな」と
感じられるものであれば、なんだっていいんです。

大切なのは、その時間を「タスク」にしないこと。

そして、「こんなことしていていいのかな」という
罪悪感が湧いてきても、
「いやいや、これは私が今日1日を笑顔で過ごすための、
大事な充電時間なんだ」と、
堂々と自分を甘やかしてあげることです。

朝の気持ちの持ち方が、1日の過ごし方に直結する。

だからこそ、やらないといけないことに立ち向かうための
準備として、朝一番に「幸せを感じる時間」を作ってみる。

私はこの考え方に出会えて、そして自分で試してみることで、
フリーランスとしての働き方が、そして何より「生き方」そのものが、
とても楽になりました。

まだまだ駆け出しで、失敗したり悩んだりすることばかりの毎日ですが、
この「朝の充電ルール」だけは、
これからもずっと大切にしていきたい私のお守りです。

皆さんの心のバッテリーを満タンにしてくれる
「充電タイム」は、一体どんな時間ですか?

もしよければ、いつかどこかで、
皆さんの朝の過ごし方のお話も聞かせてもらえたら嬉しいです。

今日という1日が、皆さんにとって少しでも心地よく、
穏やかなものになりますように。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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