御徒町エレジー番外編【ラーショの魔力】
今日は土曜日、週末恒例の朝ランを済ませ、シャワーを浴びて髭を剃る。
土日は基本的に、髭を剃らないのだが、今日は外出する用事があるのだ。
それは何かと言うと、マッサージである。
遡ること、先週の土曜日。
十条商店街をフラフラと徘徊していると、オープンしたての接骨院が無料キャンペーンをやっていた。
店前で呼び込みしているスタッフがマッサージをタダでやると言うので試しに入ってみたのだ。
ベッドに腰かけて待っていると、ガッシリとした体格のオネーサンが、担当してくれた。
「ハーイ!ではうつ伏せになってくださーい」
日々のデスクワークとスマホの見過ぎで、常に首から背中にかけてガチガチに固まっている事を伝え、マッサージ開始。
スッ… ピタッ。
グッ、グッ。
う、うまい。
このオネーサン、うまい!
俺のツボというツボを的確に押さえてくれている。
アーーーッ、○クゥゥゥゥー♡
「ハァーイ、終わりですぅ」
えっ!もう終わり?
「次回予約されてきます?」
も、もちろんだ!
次もオネーサンでオネシャス!
「あー、ごめんなさい、普段赤羽の方にいるんですよぉ」
「でもちゃんとカルテにお身体の状態残しておきますんでぇ。」
ふ、ふざけんな。
相性ってもんがあるんだよっ!
圧倒的消化不良、まるで寸止め。
何なら逆に凝り固まった部分が露呈して、メチャクチャ気になってきた。
仕方ない、昔通っていたマッサージ店に予約しとこう。
場所は練馬駅。
そこそこ時間がかかるので、気軽に行ける場所ではない。
池袋に出て、西武デパートで焼き菓子を差し入れに購入する。
ランチを軽くどこかで食べて一休みしてから、マッサージだ。
時刻は11:00ちょっと過ぎた頃。
久しぶりの練馬駅。
まぁ、あまり変わっていないな。
まずは駅前の喫茶店「アンデス」でコーヒーでも…
な、ない!なくなってる!

ネットで調べたら、2020年に閉店になっていた。
そうか、そんなに久しぶりだったのか。
行きたかった、ここに来るのは今日のセットリストに入っていたのに…
トボトボと駅前に戻り、高架下を歩く。
ん?ん?
何だ!あの赤い看板は?
ラ、ラーショ!

こんな所にラーショ!
正式名称「ラーメンショップ」
ネギラーメンが有名な、北関東中心に店舗が多く、都心ではあまり見かけないチェーン店である。
各店舗ごとによって味が異なるため、一期一会的な要素を持つラーメン店である。
さっきまでのおセンチな気分が一気に吹っ飛ぶ赤い看板。

俺の座右の銘。
「ラーショを見たら、入れ!」
勝手な先入観かもしれないが、割とすぐに店舗が変わってしまうのがラーショの印象だ。
以前、同じ練馬区の大泉学園で見つけたラーショを食事したばかりでやむなくスルーしてしまい、後日行ったら別のラーメン店に変わっていた事があった。
次に練馬駅に来るのは何年後かは分からない。
行こう、ラーショへ!
本当は井の庄の「濃菜麺」に行こうと思っていたが、あそこは超人気店だ、次がある。
ここは次はないかもしれん。
そして、店前に立つ。

店内に入る。
ネギチャーシューか辛味噌ネギチャーシューか少し迷ったが、イチオシは辛味噌のようだ。

缶ビールと共に、辛味噌をタップし、カウンターへ座る。

卓上の調味料と厨房を眺めながらラーメンを待つ。
マッサージ前に酒を飲んでもいいのだろうか。
普通に考えたらダメなんだろうなと思っていたらラーメン到着。

いいヴィジュである。
そして、俺は知ってる。
表面はチャーシュー、ワカメ、ネギのせいで温度が下がっている事を。
それを踏まえて別盛りにする事も可能なのだが、しっかりと忘れていた(テーブルに注意書きが貼られていた)

だが麺をリフトすると、モウモウと湯気が上がり、徐々に温度差が均等になってくる。

どれどれ、ひと口啜る。
う、うわぁ…
豚骨と味噌と背脂が化学反応を起こして、脳の血管が破裂しそうな塩味とトロミ。
コレ、コレェー!
スープを完飲したら、死んじゃうんじゃないかと思うほどの背徳感、これぞラーショ!
口溶けの良いチャーシューを頬張ると突然…
「アナタ、トロットロって言うのね」とメェちゃんが現れた。

「ウメェ、ウメェ」と俺の中のメェちゃんが叫び出す!

いい、とてもいい!
コレぞ、ラーショ!
明日顔がパンパンに浮腫んでしまっても後悔はない。


「ごっそさん」
いやぁ、堪能した。
久しぶりのラーショ最高だ。
食後に、練馬の商店街を腹ごなしに散策してみる。


そしてこう思う。
マスクを持ってきて良かった。
さっきから異臭がする。
それは残念ながら、モルボル並みに臭い自らの息だった。
次回へと続く。
