[経済政策] 財源を心配する「30%のあなた」へ。なぜ高市政権は増税せずに全員の給料を上げられるのか?
こんにちは、葦原翔です。
今、日本の経済政策の潮目が、誰も気づかないほどの速度で、しかし決定的に変わりつつあります。石破前政権が維持しようとした「緊縮財政」や「増税先行論」の重苦しい空気から、高市政権が掲げる「積極財政による高圧経済」へと、政策の舵がバキバキと音を立てて切られているのです。
足元で執行された18兆円規模の補正予算、長年タブー視されてきた「プライマリーバランス(PB)の凍結」、そして2026年6月に閣議決定を控える令和9年度予算の指針「骨太の方針2026」。
これらが目指しているのは、一過性の景気対策ではありません。日本経済の「基本OS」そのもののアップデートです。
しかし、こうしたニュースを前にして、私のNoteの読者のなかにも、静かに眉をひそめている方々がいます。
特に「食品の消費税0%(生活必需品の完全無税化)」といった大胆な減税・成長戦略に対し、世論調査を見ても全体の約30%の人々が反対の声を上げています。
彼らの反対理由は、一言で言えば「財源の心配」です。
「毎日誰もが買う食品の税金をゼロにしたり、18兆円もの予算を組んだりして、本当に国の財政は大丈夫なのか?」
「ツケが将来の世代に回るだけではないか。社会保障が破綻してしまうのでは?」
私は、この「財源を心配して反対する30%の方々」の視点は、極めて知的で、かつ真っ当な責任感に基づいたものだと考えています。
自分の家計や会社の経営に責任を持っている人ほど、「収入(税収)を増やさずに支出(予算)を増やせば、いつか破綻する」と考えるのが自然だからです。
ですが、あえて最初に結論を言わせてください。
国家のマクロ経済は、家計簿とは全く違うルールで動いています。
むしろ、今このタイミングで「財源が心配だから」と増税のブレーキを踏み続け、減税を拒むことこそが、国の財源を最も破壊する行為なのです。
なぜ、増税をせずに(あるいは大胆な減税を断行して)経済を成長させ、私たちの「名目所得(額面の給料)」も「実質所得(お財布の購買力)」も拡大できるのか。
そして、なぜあなたの心配する財源問題が綺麗にクリアされるのか。そのカラクリを、少し長い散歩をするように、構造的に紐解いていきましょう。
第1章:肥料をケチる農家、未来に投資する農家──過去30年の「選択」を振り返る
私たちは長年、「国にお金がないなら、みんなで痛みを分かち合って税金を納めなければならない」というストーリーを刷り込まれてきました。
しかし、これは経済という「畑」の仕組みを完全に見誤った議論です。ここで、ある二人の農家の話をさせてください。
ここに、手元に予算がない二人の農家がいます。
一人の農家は、「お金がないから」と、肥料を買うのを諦めました。肥料なしで種を蒔いた結果、育った野菜はヒョロヒョロで、収穫はほんの少し。
食べるだけで精一杯で、翌年の肥料を買うお金はやはり手に入りませんでした。これが、過去30年間の日本が続けてきた「緊縮財政・増税路線」の姿です。
一方で、隣の農家は違う行動に出ました。彼は「秋に収穫する予定の立派な野菜」を担保にして、先にお金を借りてたっぷり肥料(施肥)を買い、畑に撒いたのです。
畑は栄養満点になり、秋には見事な大豊作を迎えました。彼は、大量に売れた野菜の収入で借りた肥料代をあっさりと支払い、手元には前年の何倍もの利益が残りました。 これが、高市政権が目指す「積極財政」の姿です。
【二人の農家の選択】
● 緊縮農家:予算がない ➔ 肥料をケチる ➔ 収穫激減 ➔ さらに貧困へ(過去30年の日本)
● 積極農家:収穫を担保に借金 ➔ 肥料を投入 ➔ 大豊作 ➔ 借金返済+大儲け(高圧経済)
国債を発行して未来に投資することは、この「隣の農家」と同じです。税金をむしり取る前に、まず「肥料(投資)」を投じて経済のパイ(収穫量)を大きくする。
作物が大量に実り、農家(民間)が大儲けすれば、わざわざ税率を上げなくとも、国に入ってくる税金の総額(税収)は自然と過去最高に膨れ上がります。
第2章:高圧経済(ハイ・プレッシャー・エコノミー)の正体
では、具体的にどうやってその畑を繁らせるのか。ここで登場するのが、高市政権のキーワードである「高圧経済(ハイ・プレッシャー・エコノミー)」というアプローチです。
高圧経済とは、一言でいえば「政府の政策によって、わざと少しだけ『人手不足』や『モノ不足』の状態を作り、経済にポジティブなプレッシャー(高気圧)をかけること」です。
これまでの日本は、長らく「低圧経済(デフレ)」でした。モノが余り、人が余っていたため、企業は価格を下げ、給料を削って生き残るしかありませんでした。誰もお金を使わないから、経済の気圧は下がりっぱなしだったわけです。
高圧経済では、政府が「財政政策」「金融政策」「物価対策」という3つのエンジンを同時にふかして、この気圧を急上昇させます。
【高圧経済を創り出す3つのエンジン】
① 財政政策 ── 政府が先端技術やインフラに大規模な予算を投じ、強制的に「注文(需要)」を作る。
② 金融政策 ── お金を借りやすくし、民間企業が国内に工場を建てたり、設備投資をしやすくする。
③ 物価対策 ── 最も重要な盾。エネルギーコストなどを抑え込み、生活コストの爆発を防ぐ。
この3つが合わさり、世の中に「仕事はあるけれど、作る人が足りない!」という強烈な人手不足(売り手市場)が生まれると、何が起きるでしょうか。
企業は、隣の会社に大事な社員を引き抜かれないために、あるいは新しい人を採用するために、「競い合って給料(ベースアップ)を上げざるを得ない状況」に追い込まれます。
これこそが、国から言われて渋々上げるのではない、市場の圧力によって生まれる「自発的で持続的な賃上げ」のメカニズムです。これにより、まず私たちの「名目所得(給料の額面)」が拡大します。
第3章:18兆円の補正予算が証明した「生きた投資」と「物価の盾」
「理屈は分かったけれど、現実にそんなうまくいくのか?」
そう思われる方に注目してほしいのが、石破緊縮路線から決別してすぐさま実行された「18兆円の補正予算」の実績です。
この予算の賢いところは、ただお金をばら撒いて消費してもらう(赤字国債を消費的な歳出に消す)のではなく、「日本の供給能力を強くすること(=肥料)」と「物価上昇を抑え込むこと」に全力を注いだ点にあります。
この予算が日本の経済を牽引したプロセスは、大きく3つの柱で成り立っています。
① 輸出の強靭化:円安を「稼ぐ力」に変える国内回帰
これまで日本は、円安になっても工場が海外に移転していたため、思ったように輸出数量が伸びませんでした。
高市政権は経済安全保障の観点から、先端半導体(ラピダス等)や蓄電池の国内製造拠点への投資をこの補正予算で最速化させました。
結果として、国内のサプライチェーン(部品供給網)が復活し、円安のメリットをダイレクトに「国内の売上と雇用」として取り込める、稼げる輸出構造を作り上げました。
② 公共投資:地方を潤す「外部経済」の構築
防災・減災や老朽化インフラの更新に対する投資は、地方の建設・IT産業にダイレクトに仕事をもたらしました。
これは一過性の公共事業ではありません。「通信網の多重化」や「物流の自動化インフラ」など、民間企業が日本国内でビジネスを圧倒的に効率よく行うための土台(外部経済)を国費で作ったのです。
土台が強くなれば、民間の生産性は勝手に上がります。
③ 物価対策:エネルギー問題への直接介入という「盾」
どんなに給料の額面(名目所得)が上がっても、電気代やガソリン代がそれ以上に高騰しては、家計の購買力(実質所得)は目減りしてしまいます。
そこで補正予算は、エネルギーコストの抑制に集中投下されました。激変緩和措置(補助金)による足元の火消しと同時に、次世代SMR(小型モジュール炉)の社会実装や安全が確認された原発の再稼働プロセスを迅速化。
「物価の上昇スピード」をエネルギーの力で抑え込み、「給料の上昇スピード」がそれを追い抜く状態を作ったのです。
【実質所得が拡大する構造】
[名目賃金の上昇(分子)] ── 輸出・公共投資で企業が大儲けし、人手不足で給料UP!
÷
[物価の上昇率(分母)] ── エネルギー政策で電気代や燃料費を徹底的にコントロール!
=
【実質所得(お財布の購買力)の拡大!】
これによって、「物価高で生活が苦しいから無理して給料を上げる」という悲壮な防衛的賃上げから、「儲かっているし、人が欲しいから給料を上げる」という健全な構造への転換が始まったのです。
第4章:食品消費税0%に反対する「30%のあなた」へ贈る、複式簿記の真実
さあ、ここからが一番大切な本題です。
「それでも、食品の消費税を0%にしたり、18兆円もの補正予算を組んだりしたら、確実にその瞬間の税収は減るし、国の借金は増える。その穴埋めはどうするんだ?」という疑問に、真っ正面からお答えします。
結論から言いましょう。食品の消費税を0%にしても、国の税収総額は減るどころか、中長期的に増える可能性すらあります。
なぜそんな魔法のようなことが起きるのか、家計簿ではなく「複式簿記」の視点(誰かの支出は、誰かの収入であるという原則)から、3つのカラクリを解き明かします。
① 「浮いたお金」は消えない。別の場所で100%課税される
食品の消費税が0%になると、家計全体で年間数万円から十数万円の「お財布の余裕」が生まれます。
反対派の人は「その分、国の税収が消える」と考えますが、それは国民がその浮いたお金をすべてシュレッダーで裁断して捨ててしまった場合だけです。現実の人間はそんなことはしません。食品にかからなくなったそのお金は、必ず別の場所に回ります。
「いつもより少し良い服を買おう」 ➔ 衣服の消費税、アパレル企業の法人税、店員の所得税に化ける
「週末は家族で旅行に行おう」 ➔ 旅行消費税、観光業の法人税、ガソリン消費税に化ける
「子供の習い事を増やそう」 ➔ 教育産業の売上になり、塾講師の給料(所得税)に化ける
つまり、食品の段階で国が取り損ねた税金は、形を変えて別の経済活動の現場で100%回収されるのです。お金は社会を回り続ける限り、どこかのタイミングで必ず税金として国庫に戻るようにできています。
② 消費税は「罰金」である。生活必需品への罰金を外すと、経済が加速する
経済学には「税金とは特定の行為へのペナルティ(罰金)である」という側面があります。高級スポーツカーやブランドバッグに罰金をかけても、経済全体への影響は限定的です。
しかし、「生きるために絶対に買わなければならない食品」に罰金をかけ続けるとどうなるでしょうか。
家計は生き残るために、食費以外の支出(服、レジャー、外食、趣味)を極限まで削り落とします。これが日本全体で起きた結果、あらゆる産業の売上が一斉に冷え込み、デフレが深刻化しました。
食品の消費税を0%にするということは、「生きることへの罰金を解除する」という意味を持ちます。
もっとも消費に回りやすい「生活費の負担」をダイレクトに軽くすることで、世の中にお金が猛烈な勢いで回り始めます。
経済のパイ(名目GDP)そのものが底上げされれば、食品単体での税収減など遥かに凌駕する規模の「法人税」や「所得税」が、国に自然増収として入ってくるのです。
③ 「社会保障の財源」という大いなる嘘
「でも、消費税は社会保障の財源だと法律に書いてあるじゃないか」という反論があるでしょう。
これも複式簿記の視点で見れば、単なる「財布の仕切りの見せかけ」に過ぎません。
政府はお金を一般会計という一つの大きながま口で管理しています。消費税で集めたお金に「これは医療費」と名前が書いてあるわけではないのです。
これまで日本政府は、社会保障費が足りなくなると、消費税を上げて対応しようとしました。
しかし、増税するたびに不況になり、所得税や法人税が減って、結果として社会保障を支えるだけの十分な財源を確保できませんでした。
真に社会保障を維持したいのであれば、やるべきことは「税率の引き上げ」ではなく、先ほどの隣の農家のように、高圧経済によって「畑を潤して現役世代の所得を増やし、社会保険料の担い手を強くすること」です。食品減税はそのための最も強力な「起爆剤」なのです。
国家の財政健全性を測る国際的な基準は、借金の「絶対額」ではなく、「GDP(経済の規模)に対して、借金が何パーセントあるか(債務残高対GDP比)」です。

どんなに借金の額(分子)が少し増えたとしても、それ以上に高圧経済によって名目GDPという経済のパイ(分母)を大きくすれば、借金の「比率」は勝手に下がっていきます。
先ほどの農家が、大豊作のおかげで肥料代の借金を楽々と返せたのと同じです。増税を我慢して分母を大きくすれば、財政はむしろ健全化に向かうのです。
第5章:令和9年度「骨太方針」という地殻変動──日本経済のOSを書き換える
そして、この「増税なき成長」のロジックを、一時的なブームではなく、日本の国家予算のレギュラーな仕組みとして定着させるのが、いま水面下で激しい議論が進んでいる「骨太の方針2026(令和9年度予算指針)」です。
高市首相は、従来の「あれもこれも」とメニューを並べただけの骨太方針を否定し、極めてシンプルで強力な「5つの原則」を導入しようとしています。これが実現すると、令和9年度からの日本の予算編成は以下のように劇的に変わります。

このOSアップデートがなぜ重要なのか。それは、民間企業の「未来への予見可能性」を180度変えるからです。
これまでは、「補正予算で急に予算がついたから、とりあえず今期だけ動こう」という出たとこ勝負の経営をしていた企業が、当初予算の段階から国が「中長期の成長投資枠」を保証してくれるとなれば、安心して「数年先を見越して国内に最新の工場を建て、高給で若い人材を正社員として雇う」という長期的な投資の決断を下せるようになります。
国がルールを変えることで、民間の眠れる資金(企業の内部留保や個人のタンス預金)が、一気に経済の循環へと引っ張り出される。その大転換の設計図こそが、令和9年度の骨太方針なのです。
結論:経済とは「未来への確信」という心理学である
私のNoteの読者である皆様なら、きっとお気づきでしょう。
経済という複雑なシステムを動かす最後の、精度が高い最大の原動力は、数式でも予算書でもなく、「明日は今日よりも良くなる」という、私たち人間の確信(マクロの期待心理)です。
「来年は増税されるかもしれない」「社会保障が危ないからお金を貯め込んでおこう」と国民全員が身構えている社会では、どんな経済対策も効果を失います。
高圧経済の本質とは、政府が強気にエンジンを回し、エネルギーを安定させ、増税というブレーキを外してみせることで、国民の心から「デフレの恐怖心」を追い出す心理戦でもあるのです。
財源を心配して、枯れかけた畑からさらに年貢を搾り取ろうとする真面目な緊縮論は、一見すると誠実に見えますが、結果として全員を共倒れにさせる「最悪の選択」でした。
食品消費税の0%化は、国の財源を「削る」政策ではありません。民間という土壌に強力な肥料(水分)を与え、そこから生まれる果実(税収の自然増)を最大化するための、最も合理的な財政投資なのです。
今、私たちが選ぶべきは、正しく肥料を撒き、畑の可能性を信じてパイを広げ、結果として国も、企業も、家計も、すべてが豊かになる「増税なき成長」のリアリティです。
財源を心配していた30%の誠実なあなたにこそ、この「新時代の国家経営のロジック」が、一筋の希望の光として届くことを願っています。
さて、日本の予算のOSが書き換わるこの大転換期、皆様のビジネスや生活の設計をどうアップデートしていきますか?
ぜひ、Noteのコメント欄で皆様の知的な意見をお聞かせください。
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