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【第4回】SNSアカウント売買の危険性に迫る国際論文“Exploration of the Dynamics of Buy and Sale of Social Media Accounts” を読み解く

〜どうやって3.8万件も調べたの?研究のやり方を紹介〜

これまでの記事では、SNSアカウントがどこで売られているのかや、それが詐欺などの犯罪に使われている実態を紹介してきました。

今回は、研究者たちが実際にどうやって3.8万件もの販売情報を集めたのか、その手法に迫ります。

※本記事は、国際研究論文 “Exploration of the Dynamics of Buy and Sale of Social Media Accounts”(p.3〜5)「第3章 研究手法(METHODOLOGY)」に基づき、わかりやすい内容に構成しています。


SNSアカウントって、どうやって調べたの?

調査の流れは、大きく3つのステップに分かれています。


ステップ①:アカウント売買市場の収集(手動調査)

まず最初に、研究チームはSNSアカウントが売られている取引サイトや掲示板を探すことから始めました。

普通に検索できる「公開市場(オープンウェブ)」だけでなく、Torブラウザなどを使ってしかアクセスできない「地下市場(ダークウェブ)」も調査対象に含めました。

地下市場では、アクセスするだけでなく登録が必要だったり、ページが見えにくかったりするケースもありました。そのため、これらのデータは一つずつ手作業で収集されています。

その結果、合計58の売買市場(掲示板やウェブサイトなど)を特定することができました。


ステップ②:データ収集(半自動)

次に行ったのは、実際に売られているアカウントの情報を集める作業です。

ここでは、自動で動くプログラム(クローラー)を使って、多くの売買市場からアカウントの販売広告を収集しました。具体的には次のような情報を取り出しました:

  • アカウントの名前や説明

  • フォロワー数や価格

  • SNSプロフィールへのリンク(ある場合)

さらに、リンクが含まれていたアカウントについては、SNSのAPI(公式のデータ取得機能)を使って、以下のような詳しい情報も取得しました:

  • アカウントの作成日

  • 投稿の内容や回数

  • 使用している言語や国の情報など

こうして集められたデータは以下の通りです:

  • 38,253件のアカウント販売広告

  • うち11,457件は実際のSNSプロフィールを取得

  • 投稿数は20万件以上にのぼりました

売られていたアカウントを数で見ると、YouTubeが一番多く、Facebookが一番少ないという結果でした。

でもこれは、あくまで「売買広告の数」の話です。
実際にどのSNSのアカウントが犯罪に使われたかについては、また別の分析が必要です。


ステップ③:不正利用の追跡と分析最後に行ったのは、集めたアカウントがどのように悪用されていたかを調べる作業です。

ここでは、以下のようなポイントを分析しています:

  • アカウントがどのSNSでどのように使われていたか

  • プロフィールや説明文、フォロワーの動きに不自然な点はないか

  • 投稿内容に詐欺やスパム、フィッシングなどの兆候がないか

  • 同じような説明文・連絡先・パターンを持つアカウントが多数存在しないか

さらに研究チームは、「クラスタリング」という分析の方法を使って、似たようなプロフィールや説明文を持つアカウント同士をグループ分けしました。

こうすることで、同じ人がまとめて売っていたり、同じ目的で悪用されていたりするアカウントのパターンを見つけ出そうとしたのです。


図で見る!3つのステップの全体像

ここまで紹介してきた3つのステップを、図でまとめると次のようになります。

図1:評価の仕組み

この章でわかったこと(まとめ)

  • SNSアカウントは、世界中で本当に大量に売られていた(3.8万件以上)

  • 自動プログラムと手作業の両方を使って、SNSの実際のアカウントと投稿まで徹底的に調査

  • クラスタリングなどの手法で、売り手のパターンやネットワーク構造も明らかに

  • 調査の流れは、図にあるように3ステップに整理されている


🌱 rose(私)の現場での気づき

私も日ごろ、サイバー防犯ボランティアとして、SNSの違法投稿を見つけて通報する活動をしています。
その中で、この論文で書かれている内容とそっくりな実例を、たくさん見てきました。

たとえば――

👀 外国語で投稿していたアカウントが、ある日を境に「日本語の闇バイト募集」に切り替わることがあります。
おそらく、そのアカウントは誰かに売られたあとで悪用されたのだと思います。

また、

何ヶ月も普通の投稿だけを続けたあと、突然、違法な投稿に変わるアカウントもあります。
これは、“しばらく目立たないようにしてから悪用する”やり方のように見えます。
こうすることで、周囲に気づかれにくくしているのかもしれません。

さらに、
📝 文章の言い回しや使っている言葉が、他のアカウントとそっくりなケースもよくあります。
これは、論文で紹介されていた「似た投稿をまとめて分析するクラスタリング」という手法と、とてもよく似ています。

このように、研究の内容と、私が実際に目にしている現場の動きが重なっているのです。
だからこそ、この研究は「机の上の話」ではなく、今まさに起きている現実の問題を解き明かすものだと強く感じます。

※この問題の解決には、社会全体での理解と法整備が必要です。
私たちのオンライン署名活動にも、ぜひご協力ください:
https://www.change.org/safe-sns-japan


次回は…詐欺の中身に迫る!

次回の【第5回】では、売られたアカウントがどんな詐欺に使われていたのか?
研究チームが実際に追跡した「詐欺のパターン」や「投稿の特徴」について紹介します。

「当選しました」「副業しませんか?」──
その裏にある“仕掛け”に迫ります。お楽しみに!


🔗 参考論文
Exploration of the Dynamics of Buy and Sale of Social Media Accounts
https://arxiv.org/abs/2412.14985

翻訳・構成:rose(サイバー防犯ボランティア)


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