SNSの『多数派』は、買ってつくられる時代に
合成インフルエンサーと売買アカウントが交わるとき
■ SNSの『多数派』は、もう買える時代です。
あなたのフォロワーの中に、『月額116万円で作られた人格』が混ざっているかもしれません。
これは陰謀論ではありません。
先月2026年1月、英国の新聞が報じた事実です。
英国オブザーバー紙(The Observer)は、米国のスタートアップ「ダブルスピード(Doublespeed)」が100万ドルの投資を受けたと報じました。
投資したのは、シリコンバレーの有力ファンド、アンデルセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz/a16z)。
AirbnbやInstagramにも投資してきた著名なベンチャーキャピタルです。
問題は資金の大きさではありません。
その企業が何をしているのか、です。
■ 月額116万円で、何ができるのか
ダブルスピードは、
実在するスマートフォンを大量に並べた「ボットファーム」(SNSアカウント育成農場)を構築
数千のSNSアカウントを同時に運用
AIで『合成インフルエンサー』を生成
TikTok、Instagram、YouTubeへ大量投稿
という仕組みを提供しています。
価格は月額最大7,500ドル。
日本円で約116万円。
年間では約1,400万円です。
企業にとっては、複数のインフルエンサーを起用するより、効率的で管理しやすい選択肢になり得ます。
しかも、運用は実際のスマートフォンを使うため、従来のボットより見分けがつきにくいとされています。
■ 一見、普通のアカウント
報道で紹介された例では、
60代女性を名乗るアカウント
「健康アドバイザー」「3児の母」といったプロフィール
足の痛みに関するアドバイス投稿
特定商品の紹介
一見、どこにでもある投稿です。
しかし
AIである表示がない
広告である表示がない
見る側は、それが本物の人間なのかどうか判断できません。
■ 本当に怖いのは、ここからです
これは単なるフォロワー水増しの話ではありません。
もし同じ意見が一斉に流れたら。
もし同じ商品を何人も勧めていたら。
もし同じ考えがタイムラインを埋めたら。
私たちは自然にこう思います。
「みんなが言っている」
「多数派なのだろう」
「安心かもしれない」
でもその【みんな】が製造されていたら?
それは情報ではなく、多数派の製造です。
■ 被害はどう増えるのか
ここが重要です。
SNSアカウントの売買は、日本でも地下市場だけでなく、公然の場でも存在しています。
売られたアカウントは、過去の投稿履歴やフォロワーを持ったまま第三者に渡ります。
それは『信頼の仮面』です。
その仮面に、AIで量産された人格が乗る。
すると何が起きるか。
投資詐欺が「人気アカウント」から勧められ
闇バイト募集が「普通の人」の投稿に見える
違法な販売行為が「信頼できる体験談」に見えてしまう
正体が分からないまま、共感と信頼が積み上がる。
被害は、静かに広がります。
■ 問題はAIそのものではない
ここで視点を変えてみます。
問題は「AIが存在すること」でしょうか。
それとも、本物と偽物を区別できなくなる構造
そのものなのでしょうか。
本物の体験談と、作られた体験談。
本物の共感と、設計された共感。
本物の人気と、買われた人気。
それらが同じ数字を持つようになったら。
私たちは何を基準に判断すればよいのでしょうか。
失われるのは真実でしょうか。
それとも、信頼でしょうか。
■ 私が署名活動をしている理由
私は警察から委嘱を受け、一市民のサイバー防犯ボランティアとして、闇バイト募集や詐欺関連投稿を通報してきました。
凍結されても、また別のアカウントが現れる。
その背景にあるのが、アカウントの売買です。
そこに、
『多数派を製造する技術』が加わったら。
本物と偽物の境界は、さらに曖昧になります。
本当に怖いのは、人工的に作られた多数派に、現実の人々が加わってしまうことです。
そうなったとき、それはもう『偽物』ではありません。
現実の世論そのものになってしまいます。
だから私は、SNSアカウントの不正売買を、法律で禁止すべきだと訴えています。
これは規制のための規制ではありません。
被害を防ぐためです。
本物の声を守るためです。
■ あなたのタイムラインは大丈夫ですか
あなたが見ているその投稿。
その共感は本物ですか。
その多数派は実在していますか。
その専門家は実在人物ですか。
もし区別がつかないなら、SNSは「便利な空間」から、「操作可能な空間」に変わります。
技術は進みます。
資本も動きます。
このサービスが日本語展開されるのも、時間の問題です。
そのとき、日本にはそれを止める法的な備えがあるでしょうか。
この問題を、あなたはどう思いますか?
もし共感いただけたら、 SNSアカウント不正売買の法規制を求める署名活動をご覧ください。
本物の声が埋もれない社会を、 一緒に考えていただければ幸いです。
サイバー防犯ボランティア rose
