【第6回】SNSアカウント売買の危険性に迫る国際論文“Exploration of the Dynamics of Buy and Sale of Social Media Accounts” を読み解く
研究チームがたどった“その証拠”
🚨売られたアカウントの“その後”を追え!
「売られたアカウントは、実際どう使われていたの?」
前回(第5回)論文第4章の紹介にあった「3万8,000件の販売広告」——
この広告に登場していた“本物のSNSアカウント”は、その後どうなったのでしょうか
今回は、論文第5章SNSアカウント売買の“その後”に迫ります。
研究チームは、売買広告に記載されたアカウントリンクなどをもとに、実際にアカウントを追跡。
プロフィールや投稿内容、フォロワーの動きなどを調べることで、その“使われ方”に迫りました。
🔍 SNS上に残された“手がかり”を調査
調査対象となったのは、広告の中でSNSアカウントのURLが確認できたもの(約2,000件)。
研究チームはこれらのアカウントについて、次のような視点で調査を行いました:
📱 どのSNSのアカウントだったか?(X、Instagram、YouTubeなど)
📝 プロフィールや説明文に不自然な点はないか?
📢 投稿に詐欺・スパム・フィッシングの兆候がないか?
🧑🤝🧑 フォロワーの特徴や急な変化はないか
🔁 似たような説明・文言・連絡先のアカウントが大量に存在していないか?
🧠 AIと人の目で「怪しい使われ方」を発見
分析は2段階で行われました。
① 自動分析(AI的アプローチ)
大量のデータを処理するために、投稿内容やプロフィールを数値化して比較し、
「似たパターン」のアカウントを**自動的にグループ化(クラスタリング)**しました。
こうして、共通する特徴(例:「副業しませんか?」の投稿/同じURL/似た連絡先など)を持つアカウントの集団が見えてきました。
② 人力によるチェック
さらに一部は、研究チームが実際に人の目でチェック。
スパム投稿や詐欺広告の可能性を、経験的に判断しました。
👀 こうした“目視チェック”は、AIだけでは気づけない細かい違和感を補ってくれます。
📊 調査結果:少なくとも約2割のアカウントが悪用された可能性がある
研究チームが追跡した11,457件の売買アカウントのうち、約19.5%にあたる2,259件がSNS上で削除・非表示状態になっていたことが確認されました。
これらのアカウントは、運営側からの停止処分や、詐欺に使われた後に削除された可能性が高いとされており、研究チームはこの割合を「悪用されたアカウントの最低推定値(lower-bound estimate)」と位置づけています。
つまり、
• 少なくとも5つに1つのアカウントが、悪用の疑いで運営側により削除された可能性があるということになります。
• 逆に言えば、実際に悪用されたアカウントの数はこれ以上である可能性が高いのです。
“This is a lower-bound estimate of the malicious use of accounts.”
(これはアカウントの悪用に関する下限の推定値にすぎない)
なお、この調査は「販売広告にURLが記載されていたアカウント」に限定されており、
**URLが記載されていなかった多数のアカウント(販売総数38,253件のうち26,796件)**は対象外となっています。
したがって、実際の悪用割合はさらに高い可能性もあると考えられます。
なぜなら:
✅ 調査できたのは、「URLが記載されていたアカウント」のみに限定されていたため
❌ URLが不明だったアカウント(全体の多くを占める)は、追跡できなかったため
“This is a lower-bound estimate of the malicious use of accounts.”
(これはアカウントの悪用に関する下限の推定値にすぎない)
🔴 つまり、実際にはもっと多くのアカウントが、詐欺や犯罪に悪用されていた可能性が高いのです。
🧩 なぜこんなことが可能なのか?
買い手は、アカウントの「元のユーザー情報」「フォロワー」「過去の投稿」などをそのまま利用できます。
これにより、
✒️ “信頼されやすい見た目”の詐欺アカウントを簡単に作れる
🚪 SNS運営側からも見逃されやすい
という、危険な温床ができてしまうのです。
🎓 まとめ:アカウント売買は「ただの取引」ではない
この章からわかること:
✅ 売買されたアカウントの多くが、実際にSNS上に存在していた
✅ その一部は、明らかに詐欺やスパムなどの悪用目的で使われていた
✅ AIと人間による丁寧な分析で、“犯罪利用の証拠”が浮かび上がった
✅ 19.5%という数字は「最低ライン」であり、もっと多い可能性も論文で示されている
🔜 次回予告(第7回)
詐欺の投稿内容そのものに迫ります!
「副業しませんか?」「当選しました!」
そんな投稿が、どんなアカウントから、どんな風に拡散されていたのか?
さらに詳しく見ていきます。
📘 参考論文
Exploration of the Dynamics of Buy and Sale of Social Media Accounts (arXiv)
翻訳・構成:rose(サイバー防犯ボランティア)
