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【2000スキ感謝!連載小説】おののもん-京都あやかし奇譚-①

地獄へ売られる宿命を背負った、美しき青年・若様。
閻魔に仕えたと伝わる平安の貴人・小野篁の血を継ぐ。
代々、閻魔の側近として力を持つ一族は、
畏怖の念を込めこう呼ばれていた。
小野ノ者(おののもん)
後継者である若様は、地獄に身を捧げる日を迎える。
「わしはこれから冥府に売られる身や」
しかし、その宿命の裏には一族を揺るがす陰謀が隠されていた。
真実を知った護衛・小太郎は、敬愛する主を救うため、すべてを懸ける。
「あなたが地獄へ堕ちるなら、僕も共に堕ちましょう」
人と怪異が交錯する京都を舞台に描く、主従の絆と反逆の物語。
幽世の果て、その先に待つのは。
救いか、それともさらなる絶望か。

第1話 「血を継ぐ者たち」

闇が幽昧に深い平安の世。
地獄の閻魔に仕えたと伝わる貴人がいた。

名を、小野 篁(おのの たかむら)。
これは──
現代を生きるその血を継ぐ者の物語。

「小太郎ー、はよおいでー」

丹塗りが映える橋の前で若様が僕を呼ぶ。
端正な顔でニコニコと手招きする若様を見て僕は肝を冷やす。

「若様!火ぃダメですって!火気厳禁!」

今にもキセルに火を灯そうとする若様に向かって
僕は大声で叫び駆け寄った。

「京都はそこらへんが文化財、燃やしたらえらいことです。
それと、その猫!どこで拾ってきたんですか?
返してきなはれ」

いつの間にか若様の腕に抱かれていた真っ白な猫は
地域猫なのか人懐こく、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしている。

「え〜、小太郎はひどい男やのぅ。
こんな別嬪さん置いてけなんて」

「あ、ほんまや可愛い……でもダメですよ。
猫は僕が預かります。
今日から留守になるのに連れて帰れへんでしょう」

溜息をつく僕が若様から猫を引き離すと
からかうかのような笑みを浮かべる若様は

「わしはこれから冥府に売られる身や。
最期くらいわがまま許してぇや」

と甘い声で懇願する。

「さっきも同じこと言うて、吸うてはりましたやん」

ピシャリと反撃したものの、
内心では煙なんざいくらでも吸うてください、と
そう思っていた。
それを素直に言葉にできず悪態をついてしまう自分が歯痒い。



今夜、若様は一族のお役目を果たすため地獄へ行かれる。
今日のために僕は物心ついた頃から
護衛兼付き人として若様をお守りしてきた。

でも、本音は──
ずっと心の中がぐちゃぐちゃや……
何で若様が犠牲にならなあかんねん。

宿命?

クソみたいな呪いやわ。
そんな言葉で
大事な人との別れを飲み込めるほど
僕は出来た人間やない。

何より──
若様を、
地獄の閻魔さんなんかにとられたくない。

このまま若様の手をとって
一緒に逃げようって言うたら
どんな顔、しはるやろか……

(続きを読む)


<次回予告>

「若様、お願いがございます」

その言葉が、二人の運命を別つ。

──最期までお守りします。

次回 第2話【決意】


キービジュアル : 若様(桜色の髪)と小太郎(黒髪)

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この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称などは、
実在の人物や事象とは一切関係ありません。

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