もがく中堅デザイナー、キャリアの分岐点。なぜ、私はここにいるのかという自問自答の果てに
こんにちは!初夏の陽気を通り越し、すっかり真夏日が続いていますね🌻⚡️
先日、「もがく中堅デザイナー、キャリアの分岐点」という複数社合同開催イベントにて、登壇する機会をいただきました。
この記事はそのときお話しした内容の書き起こし記事(+α)です。
気づけば「全部やらなきゃいけない人」になっていた自身の経験をもとに
・どのようなことにもがき、どのような思考のもとで決断をしたのか
・現在の環境でマネージャーとして取り組んでいること
をまとめています。
ご自身の現在のポジションや今後のキャリアに「もやもや」を抱いている方にとって、何かヒントになることがあれば幸いです🌿
なぜ私はいま、ここにいるのか


私は2023年に弁護士ドットコム株式会社に入社し、2024年から同社クラウドサイン事業本部にてプロダクトデザインチームのマネージャーをさせていただいております。

本日お話しすることはこちらの3点です。
#1 歩んできたキャリア、分岐点、選択
#2 いざ“マネジメント”に向き合ってみて
#3 マネジメントへの生成AI活用
#1 歩んできたキャリア、分岐点、選択

まずは歩んできたキャリアにおいて、私がどのような分岐点に立ち、どのような選択をしたかについてご説明します。

まずは自分のキャリアの変遷と、転職の背景についてをご紹介します。
美術大学時代はデジタル関係のデザインを学んでいました。フリーランスのデザイナーとしても活動し、歯科医院用の予約管理システムのデザインや、ゴルフスクールのLPなどWebデザインの制作に従事していました。
このままWebやUIデザインのプロフェッショナルを目指すことも考えましたが、デザインの真価を発揮する力をつけるには、デザイン以外のものを知り、デザインというものを俯瞰して捉える必要があるのではと感じ、あえてデザイナーではない職業を選択することにしました。
そして、事業会社にてtoC向けプロダクトのUXディレクターとしてキャリアをスタートしました。そこでは主にプロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントの業務に携わりました。
プロダクトの体験設計を行ったり、要件定義書を作成したり、デザイナーさんやエンジニアさんと協力しながら仕様をすり合わせる仕事は非常に楽しかったことを覚えています。
なにも知らない自分が多くの失敗をしたにも関わらず周囲の方々は温かく支えてくれ、成長を見守ってもらえる素晴らしい環境でした。
一方で、広い領域で仕事をすることにとてもやりがいを感じつつも、デザインの“作り手”としての経験を積みたいという気持ちが大きくなりました。
最も速く、経験が積める環境を求め、映像・デザイン制作会社に転職することを決めました。
制作会社では、7年ほどの間プレイヤーかつリーダーのようなポジションでクライアントワーク中心にお仕事をさせていただきました。デザイナーとしての経験と、リーダーとしてチーム運営の経験を積むことができたなかで、自分の行動によって事業や会社に貢献できることを実感し、そしてその度合いを大きくしていくことにやりがいを感じました。
しかし、事業の拡大とともに社内にさまざまな軋轢が生じてしまい……。
ここではじめて”マネジメントの重要性”を意識するようになりました。

私は人生において分岐点に立ったとき、自分のなかの選択軸に従って選択をすることにしています。
その選択軸は「自分の欲求に従うこと」と、「想像できない方へ進む」というものです。

ただ、そのような選択軸に従っても、経験を積むごとに自身のキャリアへの疑念が大きくなっていきました。
周りには事業を立ち上げ邁進する同期、フリーランスで活躍し高い評価をされる友人、自分よりいいデザインをする後輩がいる……。一方で自分自身は広く深く経験を積んできたはずなのに、「デザイナーとしての強みがわからない」状態になっていました。
自分には「これなら誰にも負けないぞ」といえるものが、あるのだろうか。ここからなにを目指して、どのスキルを研鑽していけばいいのか。
迷いと焦りを抱えていました。

そうして考えた結果、
事業の成長に伴走できるデザイナーのあり方を追求すること
人の自己実現
※人が本来持っている可能性を最大限に発揮し、自分らしく生きるうえで、成長や幸せを追求していくこと
そのふたつを両立させられる人になりたい。と考えるようになりました。
マネジメントという専門性を身につけることで、それができる人に近づけるのではないか。
そう思いたち、今度は将来的にマネジメント業務に携わらせていただける環境を求め転職活動を行いました。結果、現在のクラウドサイン プロダクトデザインチームにご縁をいただきました。
#2 いざ"マネジメント"に向き合ってみて


クラウドサインのプロダクトデザイナーとして業務に従事するなかで、半年ほどでマネージャーに任用いただくことになり、優秀なメンバーが揃うチームを引き継ぐことになりました。
チームのデザイナーのみなさんや、事業部のみなさんとの信頼関係は順調に築けており、非常に楽しく働いていましたが、それまでチームを束ねていたマネージャーの方々が事業部でも存在感のある優秀な方で「これまでチームのみなさんが培った信頼感のうえに自分の仕事があるのだ」と思うと、大きなプレッシャーを感じる日々でした。
周囲の方の助けを借りて、なんとか自分を動かしてもらいながら、最終的には「人と自分とを比べても仕方がない」という、それは「諦め」のような……普遍的な事実に行きつきました。

同時期に、上長との1on1で言われた
「佐川さんが、チームに精一杯向き合って一生懸命良くしようとしていることはわかるよ。でも、佐川さんは、チームをどうしていきたいの?」
という言葉が胸に刺さり、一歩踏み出さなければいけないということに気づきました。
「人と自分とを比べても仕方がない」という諦めと、
「私がチームをどうしていきたいかの問いに答えを出さなければこの先には進めないのだ」という事実に、腹をくくるしかないと思いました。
そして、自分ができるマネジメントをやってみよう!と決心をしました。


マネージャーの仕事とは、「チームの成果を最大化すること」です。
自分ができるチームの成果の最大化について考えた末に、この組織にはデザイナーとして持続可能な能力開発環境が必要だと考えました。
まずはそのチームの成功を支えてきた文化と歴史を尊重し、成功を持続させること。
そしてその「成功」をもたらす手段を洗練させていくために、能力開発を推進していくこと。

ただ、能力開発については特に難しさを感じていました。
私たちのチームは、マネージャーとデザインリードとデザイナーの三者で対話を行いながら目標設定と振り返りをします。ただ、全社的なポータブルスキルの定義はあっても、デザイナー向けに具体化されたものはありませんでした。
デザイナーにとって必要なスキル項目や自身のスキルレベルが不明瞭で、目標設定や振り返りの際に、自分の成長性を把握したり、納得感を持って成果をすり合わせたうえで次の目標を設定することが難しい状況でした。
私自身が感じていた「現在地が分からない」「どこを目指して成長していけば良いのか分からない」と似た、あるいは同じものがそこにはありました。
この課題を解決するために、デザイナーのスキルラダーを策定しました。

策定においては、
・プロダクトデザインチームのデザインリード
・コミュニケーションデザインチームのマネージャー
と協力し、デザイナーのみなさんからのフィードバックも取り込み完成にいたりました。
完全にゼロから策定を行なったわけではなく、ポータブルスキルについては会社で用意されているポータブルスキルの項目をベースにしました。
既存の考え方や評価制度との整合性を保ちながら、デザイナーの具体的な業務での行動がイメージできるように言語化を進めました。
他にも、デザイナーとして成果を発揮するための土壌となるプロダクト理解というスキル、さらにテクニカルなスキルを基礎と専門に分けて策定しました。
デザイナーのスキルラダー(一例)
・デザイナーのソフトスキル・メタスキル・高度なメタスキル
・クラウドサインのプロダクト理解
・クラウドサインのプロダクトデザイン[基礎]
・クラウドサインのプロダクトデザイン[専門]
今後は、適宜アップデートをかけながら、デザイナー自身が現在位置を認識でき、成長目標を立てたり、中長期的にキャリアを考えたときに、今何をすべきかを決める際の補助ツールとしての活用を目指しています。
ジュニア〜ミドルレベルのデザイナーはプロダクト理解とプロダクトデザインスキル[基礎]を高めることを目標にスキルを開発していく。
ミドル〜シニアレベルのデザイナーは、プロダクト理解とプロダクトデザインスキル[基礎]の上に、[専門]スキルを開発し自身の強みを構築していく。
そのような活用をしていきたいと考えています。
※開発する[専門]スキルは個人の志向や特性を活かした上で決定し、不足しているものがあれば追加していく想定
能力開発に必要な環境として、もうひとつ、個人のスペシャリティを開発するための体制の強化も行っています。

チームの中に専門性ごとに細分化したサブチームを組成し、事業貢献と能力開発を両立する環境づくりを進めています。
立てた成長目標を、実行していくことは容易いことではありません。
そこで、個人が立てた能力開発目標を計画性をもって進行するために、事業の状況との関連性を持たせたうえでアクションプランを策定し、チームメンバーで状況を開き合いながら個々のアクションプランの実現を支援し合っています。
実際にスペシャリティが発揮されている事例を数点ご紹介させてください。

エンジニアリングに関する深い理解のあるデザイナーは、DesignOpsというテーマで業務フローの改善に積極的に取り組む「デザインエンジニア」として活躍しています。深い技術理解を武器にGASやツールのウィジェットの開発を行い、デザインシステムやツール、ワークフローの整備を行うことでデザインチーム全体の生産性を向上させたり、データ間の相互連携が実現できています。そのおかげで、デザイナーは機能開発のディスカバリーフェーズに集中することができ、本質的な課題の発見と解決に取り組める環境が整備されつつあります。

アクセシビリティへの関心が強いデザイナーは、社内のアクセシビリティチームに参画し、PdM・エンジニアと協力してプロダクト全体のアクセシビリティ向上に努めてています。社内外への啓蒙活動はもちろん、全盲の方をお招きしたアクセシビリティチェックイベントを企画の中心人物として開催を推進。彼の高い専門性と行動力が、デザイナーはもちろん事業部全体のアクセシビリティに関する意識を向上させ、プロダクトにより安定した品質をもたらしています。

またあるデザイナーは、より多くの人に、より明瞭に情報を認識できるプロダクトを目指し、プロダクト全体の文字の視認性を高めるという中長期的な取り組みを推進しています。
最近では生成AI(Cursor)を活用した開発フローの構築を行いました。その成果として作業時間の約70%を削減することができ、限られたリソースの中で最大限成果を出すための手段を模索しながら生成AIを活かしたデザイナーの働き方の実例を示してくれています。
このように、個人の志向や得意な分野を活かしたスペシャリティが発揮できる環境を今後も強化していきたいと考えています。
#3 Manegement x Generative AI

最後に、マネジメントへの生成AI活用の事例についてご紹介します。

一つ目は、スキルラダーを策定する際に活用した事例です。
クラウドサインのプロダクトデザイナーとして必要なスキル項目の検討はおおむねついていたため、生成AIにはスキル項目のレベルの定義の叩き台を出してもらう作業をメインに手伝ってもらいました。
こちらは比較的想像がつきやすい事例かと思います。

二つ目の事例は、非同期コミュニケーションのプラクティス分析です。
プロダクトデザイナーは、打ち合わせなどの同期的なコミュニケーション能力の他にSlackやFigma、Jiraなどのツール上で行う非同期的なコミュニケーション能力の重要度も高い仕事です。
しかし、そこに対するPDCAサイクルを客観性を持って回すことは容易ではありません。そこで、非同期コミュニケーションのログを生成AIを活用して分析し、広く適用可能な要素を抽出できないかという試みをはじめています。
誰もが個人の資質を生かしながら、さらに質の高いコミュニケーションを発揮するために、マネジメントにおける生成AIの活用を考えていきたいと思っています。
さいごに

“デザイナーとしての強みがわからない”ともがいた末、
事業の成長と人の自己実現を両立させる環境づくりをするためにここにいます。
その根源にあるのは、さまざまな経験を経ていくなかで強く自覚するようになった「人のことが好きだから、人のためになんとかできることを増やしたい」という、デザインをしたい、成長したいという気持ちよりも心の奥深くにある種の欲望です。
この欲望を糧に、デザイナーという軸と、マネジメントというもうひとつの軸を組み合わせ自分なりの価値を発揮していきたいと思います。
私たちが新たに挑んでいくこと

日本の「契約のかたち」を進化させたクラウドサインは、「取引」そのものをスマート化を目指し、新たな挑戦をはじめています。
ビジネスの中心にある契約から、取引のスピードと価値を高め進化させていくことが、私たちの事業部の新しいミッションです。

プロダクトデザインチーム・コミュニケーションデザインチーム合同でマガジンも運営しておりますので、ぜひご興味がありましたらお読みください🐟

Special thanks💐
今回、一緒にイベントを開催してくれたみなさまをご紹介させてください。
登壇社のみなさま
株式会社LayerX:林さん(@taka_piya)
株式会社RightTouch:木村さん(@5o5o_wagon)
株式会社estie:Kioさん(@k7a_design)
サポートしてくださったみなさま
株式会社LayerX:@hashccさん/ @t_psycoさん / @_reirei_melody / 森さん
株式会社RightTouch:@me_me_sheepさん / @saaa_touchさん
株式会社弁護士ドットコム:@fkchaaangさん / @tsukkyo_designさん / 藤井さん / @saku_238さん / 当日遊びに来てくれた@kuroinu123さん / スージーさん / 激励してくださったクラウドサインのみなさま
ほんとうにありがとうございました!今後ともよろしくお願いいたします!
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