書けと言っても書けないこともある
奥さんが「長戸大幸〜その人生」を書けってそそのかす。長戸大幸とは、私が20歳の頃から40年間在籍したビーイングという音楽制作会社の創立者であり音楽プロデューサーのことだ。
1990年代には、ビーイング・ブームなんて言われて、所属アーティストが軒並みミリオンセラーを記録、2000年代にも大阪でGIZAという会社を立ち上げ、そこでも数々の女性アーティストのヒットを生み出したフィクサー的存在である。
しかしながら、なかなか表舞台には出てこず、インタビューも受けないので「謎の存在」として音楽業界では名前だけが一人歩きしている、そんな人物だ。
おまけに、写真や素顔もこのご時世なのに滅多に現れず、まるでブルーズ界のロバート。ジョンソンのごとき存在と言えるのかもしれない。
そんな彼のもとで40年間、その姿を身近で観察し続けてきたのは確かに私くらいしかいないだろう。音楽プロデューサー長戸大幸の人生と人となりを語るには悪くない証言者だと、我ながら思う。
しかしながら、それが伝記としても小説、もしくは脚本としても面白おかしく表現できるかと言ったら、それはまた次元の違う話しだ。
いっそ、AIチャッピー、もしくはジェミニちゃんと相談してなんとかならないかな、と思ったりもする。AZに相談して文芸春秋社の編集者さんでも紹介してもらおうかな、とも思う。
きっと、面白いストーリー、ナラティヴなんてのができるに違いない。
そうは分かっちゃいるけど、私にゃ、ムリですよ、現状は。
そりゃ文才の問題もあるけれど、それ以上に本人がご存命のうちは、本人を傷つけるようなこと私が書けるわきゃないじゃないですか。ところが、例えば元側近が美辞麗句を並べ立てたって、そりゃ記録としても文章としても全く読者の興味も惹かなければ内容として陳腐なものに成り下がるしかない。
ジャーナリスティック、だから客観的中立な記事なり文字なり原稿が記述には必要なのだ。
それを書くには、外部のライター&編集者が必要だ、と私は切に考える。
誰かインタビューしてくれないかなぁ? 率直な意見として。それが売り物になるのならば?
私は、正直、長戸大幸さんを音楽業界の天才プロデューサーとしてその名声を後世に遺したい。
ただの関西の不動産経営者として一代で億万長者になった敏腕なんて肩書きで世間に知られたくはない。
ま、本人が何を望んでいるのかは、さすがに神のみぞ知る領域なのかもしれないが。
口なしになって頂かなければ、私は書けることも書けないし、言えることも言えない。
徒然なるままに、ただ初夏の夜の夢のごとし。
「長戸大幸〜その人生」ただそれは、語るに充分すぎる価値あるストーリーには違いない。
