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ガソリン車の残香、EV化の荒波へ。

■電動化に8割が未対応、ホーチミン・ハノイで露呈した現実。
・最近のニュース、「電動化に8割が未対応。インフラ、法制度、費用、支援政策の不足が主要因で、ホーチミン・ハノイで露呈した現実」。
・ホーチミン市とハノイ市で「ガソリン車から電動車への移行に対する市民の準備が進んでいないことが明らかになった。インフラや法制度、費用、支援政策の不足が主な要因である」。
・6月26日にホーチミン市で開かれたセミナーによれば「調査結果として両都市の約80%の市民が電動車への移行に未対応である。問題は認識不足ではなく、実施条件の不備にあるとした」。最大の障壁は「法的枠組みである。ベトナムでは電動車に関する包括的な法律が未整備で、技術基準や法的責任、リスク対応が明確でない」。
・例えば「バッテリーの発火事故時の責任主体が不明確であり、移行の基盤が欠けている」。電力インフラの不足も深刻である「ホーチミン市の車両をすべて電動化した場合、電力需要は約4万6000MWに達する可能性がある」。

■送電網や変電所の整備、少なくとも約1兆以上が必要。
・送電網や変電所の整備だけで「少なくとも約1兆120億円が必要となり、充電設備や車両、支援策を含めると総額は約1兆4460億円を超える見通しである」。一方「充電ステーションの配置は未整備で、支援政策も利用者の行動を変えるには不十分とされる」。
・このため「段階的な移行が必要とされ、バス、タクシー、配送車といった高頻度で運行される車両から優先する案が示された。実現すれば、ホーチミン市の二酸化炭素排出量は約80%削減できる可能性がある」。また「グリーン転換全体でも課題が浮き彫りとなっている。ベトナムのグリーン経済規模は現在4〜4.5%にとどまり、多くの生産活動や都市化が依然として化石燃料依存型である」。
・技術、金融、人材の三要素のうち「とりわけ人材不足が顕著で、15〜24歳の失業率は9〜10%、非公式労働は約64.5%に達している」。再生可能エネルギー分野でも「政策やインフラ面の制約が企業活動を妨げている。電力価格の不透明さ、投資手続きの長期化、用地確保の難しさに加え、送電インフラの不足により、完成済みのプロジェクトでも稼働できない事例がある」。
・電力需要は「近年急増しており、猛暑期には系統負荷が5万8000MWを超え、1日の消費電力量が10億kWhを上回ることもある。電力供給は維持されているものの、需要拡大と化石燃料依存により負担は増している」。電力当局は「水力発電の拡張や風力・太陽光発電の開発、さらには洋上風力や原子力の検討を進めるとともに、送電網の近代化を進めている。同時に、省エネルギーの推進が短期的に実行可能な対策として重視されている」。

■電動化に対する庶民の生の声。
・余談、ベトナムの平均月収(都市部で約6万円〜9万円程度)に対し、新車購入は数年分の年収に匹敵する大きな投資である。多くの市民は、5年〜7年のローンを組み、日々の生活を切り詰めてようやく手に入れたガソリン車を「生活の足」として維持したい。
・「ローンを払い終えるまでは買い替えなど論外だ」という庶民の生の声は、単なる拒絶ではなく、家計上の物理的限界である。また電動車(EV)は補助金が不十分でガソリン車より割高感があり、中古市場も未成熟であるため、「乗り換えに伴う資産価値の損失」を補填する手段が提示されていないのが現状だ。
・ではどうしたら良いのだろうか。全車両をEVへの買い替えではなく、タクシーや配送車など、高頻度走行車両の「電動ユニットへの換装(エンジンからEVモーターへ載せ替え)」に対する補助金制度の導入。また政府主導で「ガソリン車からEVへ乗り換える際の旧車買取価格を補填する基金」を創設し、個人のローン負担を軽減させるスキーム。さらに集合住宅や職場での「公的充電ポイント」整備を優先し、法的に「充電場所の設置義務」を開発業者に課す等が求められる。
・電力法等の改正において、EV充電のための特別電力料金設定や、バッテリーリサイクルの義務化を明確に規定し、投資リスクを最小化するには、官民一体の動きが必須だろう。ベトナムのモータリゼーションにおいて電気が主流になることは必然である。しかし、ニュースで指摘された「グリーン経済規模4〜4.5%」という数字が示す通り、現行のインフラで急激な転換を行えば、電力負荷は4万6000MWに達し、電力系統を破綻させるリスクがある。
・現在の「8割が未対応」という数字は、市民の意識の低さではなく、移行をサポートする「社会インフラのコスト設計」が未完であることを示す。真の成功は、最先端のEV導入を急ぐことではなく、現状のローン負担や電力網の負荷を考慮した「現実的なロードマップ」の提示にある。一般市民の買い替えサイクルに合わせてインフラを拡充していくーーー欧州などで見られる『既存車のEVコンバージョン(改造)支援』のような柔軟な法整備が、ベトナムの国民性(DIY精神や手先の器用さ)にはむしろマッチするのではないか。ガソリン車の残香を惜しみつつ、この「人々の暮らしに寄り添った電動化」の模索こそが、ベトナム経済と市民生活を両立させるベター案と捉えている。


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