『週刊 ゆきおとこ』 第19号
第 19号 2025/5/12 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― ウィリアムズ 『春など』 より
生気なく のろのろと
とまどい 春が近づく
裸のまま 寒そうな
新しい世界に 入っていく事しか
ほかには 何も分からずに
一面 おなじみの冷たい風
■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ
~ ピッツバーグ (2)
色あせたハンカチ ― かつては黄色だった
― を連ねたロープの家
玄関には
青い軍服を着た青年の写真
壁土に埋め込まれた十字の勲章と
MARATHON の時計
― 青春を奪われた時計は ベトナム時間で止まっている
時々 自分の将来を想像してみる
死んだ町を捨てて 都会に憧れて出て行った娘
警察から通知がきたきりの息子
ある朝 居なくなった妻
しかし
家族を失った家にも そこには家族がいたのだろう
― 自分の周りにも家族がいたように
寄付で集められた古着を選り好みし
朝と夜と
アパラチアから日が昇る前から
カリフォルニアに夕陽が沈むまで 配給の皿に並ぶ
戦禍で片腕を失ったボランティアに支えられながら
引退した盲導犬に励まされて
なんとか生きている
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