『週刊 ゆきおとこ』 第23号
第 23号 2025/6/9 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― E.E.カミングス 『時まさに』 より
時は まさに
春
泥んこ かぐわしく
小さな びっこの風船売り
かすかに 笛
■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ
~ ナッシュビル (1)
はじめて押した扉は
オーク調の
わざと汚したようなオイルウォッシュで
カラン と お決まりのカウベルが
私の胸の 最初のひとつを鳴らした
子供のような店長が 作り笑顔
― 今なら もう騙されない それには
店の奥サイドには
100メートルほどのカウンター
いや 100メートルはないが
その先にステージがあった
特別 いい雰囲気のステージではなかった
今思えば
でも 憧れに負ける年齢には
そこで 熱風を吐き出す自分を見てしまうものだ
可能性なんてものは
自分で作り出すしかない と気が付くには
もうすこし時間がかかった
その頃はまだ
掌にぶら下がる重さだけが 自分の可能性だった
そんな時代の
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