『週刊 ゆきおとこ』 第81号
第 81号 2026/7/20 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― ポーニー族 『出陣歌』 より
どうれ ほんものかしら
どうれ ほんものかしら
わたしの いのち
かみさまは どこにでも
どうれ ほんものかしら
わたしの いのち
■ 連載夜話 ― 『ジェットドリーム』
~ 明るく行こう
【あなたのオープニング】
オープニング曲 :「ミスター・ロンリー」 by フランク・プゥルセル
今日という一日の最後を飛び立って
今では あの街の喧騒も はるか雲の下へと置いてきました
遠く なつかしく見える灯は さて いつの記憶のものでしょう
今宵の空のスチュワードは
旅路をしずかに見守る月の明かりと
そして 星々はさらに雲海に煌めいて
この夜間飛行を 安らかに導いてくれています
最高の夜に あなただけのジェット気流に乗って
あこがれの旅へとテイクオフ
今夜のフライトのお供をするのは
パイロットの ○○○(あなた)
そして 不思議の国の王子たちが
旅先のご案内役をつとめてまいります
【ミズーリ】
アメリカ中西部
数多くのネイティヴ・アメリカンの部族の名で語られる州
ある意味 ここが 本当の "アメリカ" です
ミズーリ という名は
もともと スー・インディアンの部族の名前でした
この先住民らが築いた文化は ミシシッピ文化と呼ばれています
ミシシッピ川流域には
アメリカ有史以前の
彼等が生きた痕跡としての遺跡が残されています
ミズーリ族は
アメリカ大陸を侵略しにやって来たヨーロッパ人と
最初に遭遇したインディアンと言われています
しかし アメリカの歴史の教科書にあるとおり 彼等は
ヨーロッパ人に虐殺されて 淘汰壊滅されてしまいました
その後 わずかに生き残った彼らの集落は
アメリカ各地に強制移住させられました
今では これらは
名目だけのインディアンの地として 観光客を集めています
カンザスシティ
セントルイス
スプリングフィールド
いずれも アメリカを代表する大都市ですが
一歩抜け出ると そこは西部劇そのままの荒野に連なります
そして あなたの姿を見つけると
岩屋に警戒の狼煙が上がり
闘いの太鼓が どこからか近づいてきます
【今夜のアルバム】

Guitar - Pat Metheny
Bass – Jaco Pastorius
Drums – Bob Moses
Bright Size Life
殺伐とした
もはや生命の涸れた荒れ野がつづくような時 でも
気にせずに行こう
角砂糖一個分くらいの誤解なんて よくある話
自分のための銀の匙は 自分がいちばん よく知っている
彼等は
少々高いところに登った気分だった てだけさ
でも この可能性の大陸は 誰のものでもない
太陽は 平等に人を照らし
川は 誰の耳にもヒントをつぶやき
風は ときには悪い噂を吹き飛ばしてくれる
さあ もうすぐ 自分たちの国の 新しい夜明けだ
くよくよせず 明るく行こう 前だけを向いて
Sirabhorn
水禽うつ森の 王宮 閉じられた絵の王女
喜びが封殺されても なお 至高の眼差しがもれいづる
語る人の少なからず
うわさは瞬時に万国をとびて 涙が海となり
巡礼を忘れた時代でさえも
その尊き響きが 耳の底に残る
私たちが忘れてしまった 純心の王女よ
満月が見守る今夜は すこしだけ
外に出て お話しくださりませんか
その夢を
Unity Village
森の 殺され 奪われ
焼かれて 灰となる
いずくに結ばれるか
風の神々の 手を握り合う時
烽火を合図に 白い騎兵と闘う
信じる神のため
愛する家族のため
Missouri Uncompromised
とられても なお立つ それが スーの誇り
命は 石にかわり
大浪に はこばれて 岩となり
竜巻が削って 山になった
だから
スーは 山を崇める それは
彼等の守護神の証だから
やがて 命は 土を耕し
花を咲かせて 実を落とす
落ちた実は 木となり 森となり そして
命がふたたび 生まれいづる
だから スーは
森を大切にする それは 彼等自身だからだ
Midwestern Nights Dream
揺れる火を囲んで 眠る子らが腕の中
夢にみるのは 大きな砂糖菓子の国か
ここには あまりに何もない
無限に作られる 星の物語と
ピューマにとらた子守歌 以外
母も 婆さんも そのまたご先祖も
この 永遠に何もない赤い土に暮らしている
そして 私も そしてきっと 私の子供も
遠い彼女らは
今夜と同じ月を かつて見上げただろうか
そして 遠い彼女らは
私が居なくなった夜に 同じ月を見上げるだろうか
永遠に 何もない この赤い土の上で
Unquity Road
抜け出そうとして
騙され そして
消された歴史
繰り返し 赤い顔は追いやられ
閉じ込められて
最後は屠殺される
生き残ったのは
馬と 幻が馳せるだけの風の草原
それでも 抜け出すしかなかったのだ
この 異国の神の不実から逃れるためには
獣が分け与えてくれた毛皮
父親ゆずりのナイフ一刀
それから星占い
その全財産を 抱え込んで
Omaha Celebration
それから私は
恋のチャンスを手にいれて 嫁を娶った
かつてないほどの祝福の言葉をもらい
一点の濁りも無い酒で 月に乾杯する
しばし 幸せを運ぶ馬車にゆられたころのはなし さ
それも 幸福と 不幸とは 隣りあわせ
星が占った
めぐる浮気の彗星には 勝てないものだ と
幸せの時は流れて
ボクの手には 空っぽの酒瓶と
親友である 欠けた月がうかぶ盃だけになった
Round Trip / Broadway Blues
夢の物語と現実を 行ったり 来たり
もはやこれから先は どちらかが分からなくなる
檜のステージに悲しく歌うのは 青く錆びた自由の女神
それとも 愛しきひとのかげ
喧騒の洪水と 幻惑の光の土砂降りのなかに
なつかしき星 降る砂漠を思い出すしかない
でも 手には 往復切符が握られている
だから 時刻表に最終列車があるかぎり
ボクらには 帰る国があるのさ
【あなたのエンディング】
エンディング曲 :「夜間飛行」 by レーモンド・ルフェーブル
さて 夜は
すっかり 夢の中へと溶け込んでいきます
遠くに聞こえた歌は 幻でしょうか
それとも 明日の予告編でしょうか
そんな素敵な物語が きっと
あなただけの旅の始まりとともに 扉を開けて待っています
さあ あともう少し
不思議のつづきを あなた自身の夢の中で
今夜 お送りしたアルバムは
パット・メセニーで 『ブライト・サイズ・ライフ』
フライトのお供をいたしましたパイロットは
わたくし ○○○ でした
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