『週刊 ゆきおとこ』 第52号
第 52号 2025/12/29 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― ツェラン 『死のフーガ』 より
夜明けの黒いミルク
夕方に
昼に
朝ごとに
夜ごとに
飲み また 飲む
蛇と戯れる男が
暗くなると 書き始める
■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ
~ 化石の谷 (1)
赤い日陰の下 せせらぎはなく
そしてただ 太陽に打たれているだけ
枯れ木では コオロギは救われないよ
理屈っぽくて 空っぽのヒヤシンス・ガール
9時 死を告げる最後の鐘ひとつ
君の家の庭に埋めたアレ
ああ ヤツがその爪で アレをほじくり返す
不思議が合成された香水 と
哀しい光の中で 彫刻されたイルカが泳ぐ
骨をなくした死体ども
瞼が無い目よ あなたには 「無」が見えますか
ドアがノックされるまで チェスのお遊び そして
時間だ 急げ!
さようなら さようなら さようなら
川には 空き瓶 サンドイッチの包み紙
彼女が行ってしまった
犯された地球 非現実の都市の褐色の霧
人間というタクシーが エンジンを震わせて客待ちをする町
機械仕掛けの女と 旦那気取りの男の物語
川が油とタールの汗をかく ウェイ ア ララ レイア
今でも 背骨はカヌーの底板の上に
ただ ハンサムで背が高い「復活」のことを考えたまえ
雷が曰く
ここには水はなく 石ばかりの砂の道
水さえあれば
乾いた空気の中で
スミレ色の骨はもはや 誰も傷つけまい
勇気と解答の鍵と迎えの船をやろう
狂った亡霊たちよ
シャンティ シャンティ シャンティ
~ T.S.エリオット 『荒地』
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