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『週刊 ゆきおとこ』 第43号

第 43号   2025/10/27 刊           ▲ 雪男の記事一覧



― グレイな気分で

 
 ハレの日よりかは 曇り空
 たいして目出度いことなど 人の世には
 浮かれ調子は その寂しさから
 カラっぽの空など 雲でおおわれていてくれ

 思い出話は 粗さがし
 咲かせた花の大きさばかり
 色のことなど 誰も気にもかけず
 香りなきこと 造花のごとく咲いたらしいと
 

 

■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ

      ~ アルバカーキ (3)


芸術といわず
 精神的なものの
 教訓的なものの
 「言葉」は 誰のまわりでも語りかけてくる 
たとえば
 神社や
 先祖の墓や
 祭り囃の中で
 我々は 自分でない自分を感じる事ができる
護るべき文化的アイデンティティとは そういうものだ
ただ 奪って 食べて SEXするだけじゃない
 ― 人間の命とは

しかし そのアンカーを失ったとき
嵐を逃れるための 家を失ったとき

我々の船は 幽霊船のように漂流し
 流されて
  最後は 世界の西のはてにある瀑崖から突き落とされる
そして その滝壺で待っているのは
 ヘレナではなく いつも メフィストフェレだ

つぎに「美」 に襲われて 苛まれる
 その音が
 その線が
 その一語が そこに必要か と
すると
 自分が求めていた「美」が何だったか 分らなくなる
すると
 次の単音が弾けなくなり
 線分を引く手が止まり
 1ワードに口をつぐむ
この壁は 思っていた以上に分厚くて
 ネバネバとしてて
           ひつこい
その結論としては「妥協」しかないのだが
 それを赦せる理由を見つけるまでに 相当な時間が必要だろう
それが その 十年二十年という時間
 ― 妥協できるようになるまでの時間が
妥協さえあれば
 そこから完璧さが生まれてくるというのに
 ― 不思議なことだ
 

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