『週刊 ゆきおとこ』 第21号
第 21号* 2025/5/26 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― ブラス 『朝の歌』 より
蛾の息は ひと晩中
ピンクの薔薇のあたりを ちらちらと
耳を澄ませば 耳の中で 海がざわざわ
窓の四角が白む
つや消しの星を呑み込み
お前は 音符を握っている
くっきりと 母音の風船
■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ
~ チェロキーの森 (2)
やがて北側には
ミッチェル山系 ジェームズ湖 ピスガの森
しかしもう この辺りは
チェロキー族らの手に戻ったという噂だ
何かまた 大きな戦争があったのか と尋ねたら
いや 今のアメリカ人には
この森で彼らと対等に戦える人間はいない
彼らは
アメリカ人に排除されたその後も
狩猟世界から抜け出せなかった分
この山や川や森を今でも知り尽くしている
もう何世代も 代替わりをしているというのに だ
きっと 彼らの先祖の霊が
彼らの元を離れず
彼らの信念を守り続けてきたのだろう
あるいは
語り継がれる神話や歌には
そのような霊智が隠されていたのかもしれない
我々の気づかないメッセージとして
ビルトモア・エステートの
この豊かな自然には不釣り合いな城を追い越した辺りから
我々と40号線は
火薬の匂いがするデュポンの岳の懐に包まれてしまった
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