『週刊 ゆきおとこ』 第50号
第 50号 2025/12/15 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― ベドウィン 『サバの哀歌』 より
命が終わるとき
あるのは
砂漠の風のささやき
ラクダの鈴の音
■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ
~ コープフォート (5)
標高 1575m : サライナ
もはや我々は
"昔" を上っているのか
"今" を下っているのかが分からない
変化のない朝日のなかで
いつものように ジョギングを愉しんでいるのか
あるいは それは
ベッドの中で目を閉じて 沈み込む朝の妄想の第一番目なのか
そんな風に
窓の外は 霧に包まれて
病院のカーテンのように 何もなく真っ白に揺れて
ときどき姿を見せる岩山は 看護婦のように
わたしを追い越して
先へ ゆき過ぎていったり
後ろに 飛ばされたりした
一瞬に 霧が晴れて 夜空には
オーロラの光が 目前で静かに燃えていた
とうとう 天国まで来てしまったのか
しかしなぜか 悲しくも惜しくも無かった
ハウンドドッグは 不思議な心の平穏の中にあった
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