『週刊 ゆきおとこ』 第18号
第 18号 2025/5/5 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― ベリマン 『夢の歌』 より
子供の頃
何度も何度も 聞かされた
「退屈なのは 才覚がない てこと」
してみると
僕には才覚がないらしい
死ぬほど退屈だから
■ 朝4時の詩歌 ― 薬玉 ―
いのり
門前に 潤おふ 菖蒲のつるぎ
あけた窓
風馬旗ふく 五月
天風 おこりて 地
火水に 蓋はるるか
覚めて
つぼみ 割りし
春陽が 悪戯
( 2023.5.1 の再掲)
■ ジジ雑庵 ― くすだま ―
端午の節句 しかし 我が家の5月5日は
鯉幟に喜ぶには 子に大きく 孫はまだない
それどころか 父母の命日で
こどもの昔を懐かしむこともなくなってしまった
ただそれでも 何か五月らしいものを と
徒然していて見つけたのが「くすだま」
要するに 匂いのきついものを玄関に吊るしておけば
悪霊退散の効果あり と聞く
縁起物だから 年中行事として続けるのも悪くない
さてそれでは と 「薬玉」をググってみる
が あまり具体的な情報がない
売られているものは 装飾のみとして薬草は入れずに
ただのリースリング状態のものばかり
でも 縁起のものなので できるだけ薬草を入れてみたいし そして 薫風香る我が家 というイメージを
そこで 入手可能で匂いが立つものを探してみた
・ローズマリー … 我が家の庭にある
・ヨモギ … 昔はそこらじゅうに生えていた邪魔者だったが
・にほい菖蒲 … 実はうちの庭の池に少しだけ生やしてある
・ミント … これは ロッテにお願いしよう
・丁子(クローブ)
… 中華料理用の香辛料入れのどっかになかったか
・白檀 伽羅 … 仏さんに分けてもらう
・ショウガ ニンニク タマネギ
… ドラキュラ対策の定番メニュー
でも ショウガ以外はちょっと違うかも
・ジャコウ … 手っ取り早いのは香水だが そこまでお金を使ってもねえ・・・
・ジンコウ … 沈丁花はあるのだが これの葉は使えるのだろうか
・ドクダミ ナンテン … 庭の嫌われもの 臭いから却下
・月桂樹 … 生の木があるが ここは乾燥ローリエで
・イタリアン・ハーブのメジャーなもの
(バジル オレガノ ディル タイム)は一応はある
・インド・スパイス … クミン カルダモン ガラムマサラ
なんならカレー粉もあるにはあるが
そんなの匂ってきても うち カレー屋ちゃうし
これらのハーブを袋に詰め込んで 匂い袋かボールにする
紅茶を入れるための網目のボールがあったが これを卸すには少々もったいない
そこで 100円均一 でみつけたのが 石鹸袋
― これなら通気性は抜群 大きさもまあまあ
でも 「玉」 じゃない
「くす玉」 だからボールでなければ ご利やくがなさそうな気がする
手ごろに 籠になりそうなものを探して見つけたのが
「セパタクローの編み方」 ― これだ
その次がタルチョ
チベット仏教風に 五色の紐を垂らす ― これは 長いほうが良いらしい
色は 青→白→赤→緑→黄 という具合に順番が決められている
タルチョ・セットたらん 五色リボンのをさがしたがなかった
仕方がないので 手芸コーナーでカラー紐を五色購入した ― これで思っていたよりもコストが上がってしまった
これを 角力取のまわしの下がりのように ただぶら下げているだけでは 味がない
面倒だが 飾り紐的に編み込む
あとは見てくれ 造花か何かで胡麻化そうかと思ったら 小さなドライフラワーが売られていた
よし これでラストを飾ろう
ちなみに 緑は庭にいっぱいある
そうやって完成したのが こちら

それで 肝心の匂いはというと
まるで 怪しいエスニック料理屋の店先のよう
せめて 猫除けぐらいにはなるのか
次回の課題は 香りのブレンドだな
■ 古典鑑賞 ― 「あやめぐさ」 和泉式部 ほか ―
卯の花の 咲く月立てば
めづらしく 鳴く霍公鳥
あやめぐさ 玉貫くまでに
昼暮らし 夜わたし 聞けど
聞くごとに 心つごきて うち嘆き
あはれの鳥と 言はぬ時なし
― 大伴家持 (万・4089)
五月になれば
ホトトギスが愛らしく鳴きはじめ
玉にアヤメグサを差すころまで
昼と 夜と
ああ 素敵だね と言わない時はない
アヤメグサ は 一般的に ニオイショウブ のこと
五月の節句に浴せば良いという 菖蒲湯に入れる葉で
軒先や薬玉などに吊るして 今でも厄除けに使われている
さて 万葉集の歌の多くには このアヤメグサを薬玉に挿すというシチュエーションが 五月の時節風物として定型化されていて ほとんどの歌では 慣用句的に五月を導くように使い回しされている感じがする
一方で 「玉に挿す」という 何やらエロチックな響きに惑わされる歌も
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