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『週刊 ゆきおとこ』 第76号

第 76号   2026/6/15 刊                  ▲ 雪男の記事一覧



― ミショー  『連れてってくれ』 より

 
 現代がかった馬
 見せかけの雪のビロード
 犬ぞりどもを喘がせて
 くたびれた枯葉の群と共に 
 
 

■ 連載夜話 ― 『ジェットドリーム』

      ~ 恋のロデオ



【あなたのオープニング】


 オープニング曲 :「ミスター・ロンリー」 by フランク・プゥルセル

 今日という一日の最後を飛び立って 
 今では あの街の喧騒も はるか雲の下へと置いてきました
 遠く なつかしく見える灯は さて いつの記憶のものでしょう

 今宵の空のスチュワードは
  旅路をしずかに見守る月の明かりと
  そして 星々はさらに雲海に煌めいて 
  この夜間飛行を 安らかに導いてくれています

 最高の夜に あなただけのジェット気流に乗って
 あこがれの旅へとテイクオフ

 今夜のフライトのお供をするのは
 パイロットの ○○○(あなた)
 そして 不思議の国の王子たちが
 旅先のご案内役をつとめてまいります
 


【ナッシュビル】

テネシー州に属するアメリカ南部の大都会 ナッシュビルへ
 テネシー ―― かつての南北戦争時代
 北軍と南軍の ほとんど境界線にあった州でした
今でも アメリカの内史において
 その激戦が語られる町ともいわれています
たとえば 車で 30km ほど南へ下ると
 Franklin という古戦場のエリアがあります
ここでは 南軍の戦史記念館やモニュメント
 南軍の病院だったパイル病院など
 南北戦争のおもかげが保存 あるいは再現されています
現代アメリカの都会部とはちょっと違う
 時代にとりのこされたような町並みの景色を経験できるでしょう
一方で ナッシュビルは
 いわゆるカントリー&ウェスタンの町としてPRされています
 カントリー博物館や それらの音楽イベント
 ―― 町興しには 皆 熱心です
もしあなたが カントリー・ミュージックの大ファンならば
 一生に一度のナッシュビルを 夢に見ていることでしょうから
あるいは
 日本が模しているライブハウスや DJクラブ
 アメリカンスタイルのショップ・デザインは
 この町では いつでも どこでも
 そのオリジナルを存分に楽しむことができます
  


【今夜のアルバム】

Banjo, Guitar – John Hartford
Guitar – Clarence J. White, Gram Parsons
Guitar, Banjo – Roger McGuinn
Bass – Roy M. Huskey
Bass Guitar, Mandolin – Chris Hillman
Drums – Jon Corneal, Kevin Kelley
Piano – Earl P. Ball
Steel Guitar – Jaydee Maness, Lloyd Green

 

You Ain't Going Nowhere

どこにも行かないで!
ボクは ロデオの上でそう叫んだ 
キミは何処へ行こうとするの?
こんなボクを残して
 コイツとは まだ ケリがついていないというのに
キミの横の 次は そいつの番だから ねえ
帰って来て!
 ボクは それまでに こいつをカタづけるからさ
だから どこにも行かないで!
 

I Am A Pilgrim

そしてボクは 巡礼者になった
最初は キミを探していたんだよ でもね
あれから キミの事はもうどうでもよくなったんだ
それは ボクが神様に出会ったから
神様は ボクを導いてくれた 
落ち込んでいて どうしようもない時に 
それから ボクは 聖地巡礼の旅に出た 
ボクの知らない街 でも 誰もボクのことを知らない
 

The Christian Life

それからボクは 神に仕えることになった
毎日お祈りをし 花を供えて 香を焚いた
毎日 言葉で世界を描き 今年の種を植えて 
太陽に感謝し 雨にお礼を言った
そんな大地に 腹ばいに身を投げてみて
 初めて「神の声」を聴いた
 

You Don't Miss Your Water

しかし 人は奪い合う 何でも
恋人も 土地も 山も そして 川の水も
時間はどうだろう 彼らは急ぐけど
 それは 時間が欲しいからじゃないみたい
そんな時間に キミが流されていくのを見たよ
キミは 自分が流されている って気づいていなかったけれど 
岸では皆大騒ぎさ
 助けてやれ!! て狂ったように泣き叫ぶ女や 
 ざまあみろ!!! と 石を キミに向かって投げつけるヤツ 
でもキミは ボクと目を合わせると
 あっという間に流れ去って 消えてしまった
それが ボクがキミを見た 最後だった
 

You're Still On My Mind

でもね
ボクの心には キミがいる ずっと
なぜだか ボクは
 キミの事が忘れられない
ケトルのお湯が沸いて
 蒸気が噴き出す時に 
寒い朝 スズメが
 水たまりの水を飲もうとして 自分の顔を思い出した時に 
場末の路地裏のバーから
 バンジョーの陽気な調子が聴こえてくる時に 
バス停の女の子の金色の髪が
 風もないのに揺れているのを ぼんやり見ている時に 
 

Pretty Boy Floyd

いつからか 土曜日の午後は
 キミの為にだけある って思っていた  だから
キミの事だけを考える事にした
その日が雨なら
 ボクは キミに黙って傘を貸すことを考える
その日が晴れなら
 ボクは キミを何処に誘い出そうかと思案する
風薫る原っぱのベンチで
 キミの子供のころのことを聞き出そうか と
 

Hickory Wind

ヒッコリーの日だまり ~ キミの思い出に揺れる時 
なぜか 涙があふれてくる
 きっと どこかで
 元気にしてるんだろうね て
せめて この揺れる影に キミの影があれば  なんて
いまでも思ってしまうけど もう
 キミは 影ですらなくなってしまった
 

One Hundred Years From Now

そして 100年 ボクは
何処を旅しているだろう
もう キミのことは忘れられただろうか
きっと ボクのことを覚えている連中なんて
  誰も いないよね
でもボクは 独りぼっちなんかじゃない
ボクには たくさんの仲間がいて
 たくさんの良い思い出が 背中のカバンに詰まっている
そして ボクはまた 新しい宝物を探して歩く 
 あの山を越えて
  あの川を渡って
   あの海を泳いで
    ・・・
 

Blue Canadian Rockies

山は どこまでも 青い
その彼方では
 いつの日にか見た 若さのようなモノが踊っているのだろうか
それとも
 タケルノミコトが 最後の詩を歌っているだろうか
でも ボクには見える 
白青い馬にのったボクが 駆けていくところを
そのまま ボクは馬と一体になって
 光になって
 またさらに その向こうの青い山脈を目指す
 

Life In Prison

そんな事を考えていて ふと気が付くと
ボクは 牢屋に放り込まれていた
看守は毎日必ず ボクに一言の 嫌みな事をいうのが日課らしい
ときどき 詩的なことも言うが
 たいがいは 折込広告のような事しか言わない
毎週 土曜日の午後 面会に来るやつがいる 
 ―― 知らない奴だ
 自分の言いたいことだけを言って
 リンゴを差し入れして 帰っていく
あれは誰? と看守に聞いたら
 「お前だ」 と言われた
 

Nothing Was Delivered

自分が 自分に リンゴを差し入れる そして
ボクが そのリンゴを食べたなら
  何も 残らないじゃないか
何もないものを ボクは差し入れた ってこと?
そうすると
 ボク自身が居なかったことになる

   ああ ボクの体が消えていく・・・  そして

牢屋には 齧られたリンゴだけが残された
 


【あなたのエンディング】


 エンディング曲 :「夜間飛行」 by レーモンド・ルフェーブル

 さて 夜は
 すっかり 夢の中へと溶け込んでいきます

 遠くに聞こえた歌は 幻でしょうか 
 それとも 明日の予告編でしょうか

 そんな素敵な物語が きっと 
 あなただけの旅の始まりとともに 扉を開けて待っています

 さあ あともう少し
  不思議のつづきを あなた自身の夢の中で

 今夜 お送りしたアルバムは 
 ザ・バーズで 『ロデオの恋人』

 フライトのお供をいたしましたパイロットは
 わたくし ○○○ でした

 

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