『週刊 ゆきおとこ』 第68号
第 68号 2026/4/20 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― グレイン 『チャップリン風』 より
ゲームに欠かせない作り話 それでも
路地には淋しいお月様
空っぽのゴミ箱と
聖なる笑いの杯
浮かれ気分を探索してみれば
荒野に鳴く仔猫の声が聞こえる
■ 連載一話 ― 鹿島の月
すでに墓石の下に入ったと聞く
京都の腐れ俳子がツレの ヤスハラ
海開きした須磨浦ビーチで 月を思いながら鼻唄を歌ったそうな
あのパラソルの下 娘は15才 行平のだんな様
その昔の遊び仲間が懐かしく思い出されてきて
ワレも月を想像しに鹿島まで と思い立った
伴とするは
ボディガードがひとり
雲のような坊主がひとり
坊主は 黒ずくめに麻のショルダーバッグの襟がけ
背中には 大事にしているアイドルのポスターを背負っている
手にはカラコロとなる杖を握り
それを 誰かれが咎めるでもなく
空と土とを交互に尽きながら 歩き出した
もうひとりは 聖人でも俗人でもない
― あだ名は コウモリ
― 鳥なき島に連れ行かすには ちょうどいい
隅田のマンションを出て 清澄白河から大江戸線
門前仲町でメトロに乗り換えて 行徳まで
エスカレーターを降りて地上へ ― ただし 楽園ではない
タクシーには乗らず
瘦せこけた足を試さんと
山梨のある人がくれた檜笠を各々かぶり 3人は歩き出した
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