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東京借景|大阪① 東三国で旧友とたこ焼きを

 大阪出張のついでに、単身赴任中の旧友に会うことになった。梅田のカプセルホテルに荷物を預けてひとっ風呂浴びて、待ち合わせに向かう。夕方の御堂筋線は混んでいたが、新大阪駅で大半が降りた。次の東三国駅で降りると、小雨が降っていた。

 改札で旧友と合流する。「せっかく大阪に来たんだから」と、彼がおすすめする駅からすぐのたこ焼き屋へ入る。外観は民家っぽい。中に入ってどう考えても和室だったであろう二階に案内された。やはり民家だったのだろう。改装したんだろうなと思いながら、とりあえず生を頼んだ。ビールを待つ間に、自然と浪人時代の話になった。

 予備校の寮で出会ったのは、もう四半世紀も前のことだ。高校生でもなく、大学生でもない、宙ぶらりんな一年だった。受験に失敗して真面目に勉強すべきなのであろうが、私も彼もなんとなく麻雀にハマってしまっていた。終電で一駅隣に移動して繁華街外れの雑居ビル四階の麻雀屋で、深夜料金で安く打たせてもらっていた。四時間ほど打って始発前に一駅ダラダラと川沿いを歩いてると、陽が昇ってくるころに寮に着く。朝飯を一番乗りで食べて、狭いベッドで眠りにつく。

「浪人時代って、なんだったんだろうな」などと笑っているうちに、一杯目のビールが終わっていた。頼んだおかわりビールと一緒にたこ焼きが、ソースと塩で4個ずつ届いた。足りなきゃ頼めばいいしと、たたききゅうりとすじポンをつつきながら、昔は多く頼んだ方が得だからと大量に頼んで、それでも全部食べてたなあと思う。

なんだかんだたこ焼きは美味しい。

もうそんなに食べられなくなった。そういえば、久しぶりに会う人とは、なぜ昔話から始まるのだろう。

 とは言え酔いも回ると口もいやしくなる。たこ焼きを追加で二皿頼む頃には、話題はすっかり近況に移っていた。お互い、子供はもう中高生である。浪人なんかさせたくないなあと言い合う。そして旧友は大手証券会社で働き、毎朝四時に起きて海外のマーケットを確認してから出社するという。浪人時代、昼近くまで寮で寝転がっていた姿しか知らない私には、不思議な気もするが、それが自然な気もする。昔話は、いつ終わったのだろう。

 三時間ほど経った頃、「明日四時起きだから」と彼は席を立った。久しぶりに会う人とは、なぜ昔話から始まるのだろう。結局、今回も答えはわからなかった。

 東三国駅の階段を昇る友人の背中を見送りながら、今日は平日なのでもう少しだけ、と私はまだ小雨が続いている大阪の夜を歩くことにした。



次回|東京借景 大阪②
「三国で三十年ぶり、オジャパメンを」
8月14日(金)公開予定


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