村上春樹の『夏帆』を読んでみたい & 心の中の文芸ベストイレブン
村上さんの新作『夏帆』が発売された。より正確に言うと、発売されたようだ。私はドイツに住んでいるので、日本にいた頃のように、書店で実物を見ることもできないし、アマゾンでポチることもできない。
私は昔から村上さんのファンで、いつも新作が出るたびにワクワクしながら購入していたけれど、こんなふうに、物理的に読みたくても読めないのは初めてだ。電子書籍で買うこともおそらくできるのだろうけれど、やっぱ紙の本で読みたい。
なので、日本に戻ったときの楽しみの一つとしてとっておこうと思っている。じらされているというか、プレゼントを待ちわびている子どものような気分になる。これはこれで悪くない。
熱心なハルキストからすればまだ日が浅いかもしれないけれど、村上さんの作品との付き合いはもう20年以上になる。読み始めたのは確か、高校生くらいだった。当時サリンジャーとか、ドストエフスキーとか、カミュとか、海外の文学にどっぶりはまっていた私にとって、村上さんの作品はまさに宝の山だった。
小説、紀行文、エッセイ、対談集、たぶんほとんど読んでいると思う。翻訳を手掛けられた作品もだいたい読んだ。ねじまき鳥はたぶん20回、アンダーグラウンドなんてたぶん30回は読んだ。受けた影響は計り知れない。
これだけ彼の作品を読んできたにもかかわらず、彼が訴え続けている、良き物語の力、とか、小確幸とか、卵と壁だったら卵の側につく、とか、そういったものの意味や力を、ときどき信じられなくなる、というか、そういうものの存在自体を、見失いそうになるときがある。
自分がやっていることに自信がもてなくなったり、色々なことがうまくいかなかったり、将来の不安に押しつぶされそうになったりするとき、もっと安易で、イージーなストーリーにすがりつきたくなる。
人のことなんてどうでもいい。楽をして、コスパをかけず、金持ちになって、好き放題に生きたい。弱者になるのは自業自得。いいじゃないか、放っておけば。そんなナラティブに引き込まれそうになる。SNSが拍車をかける。
でも、そんなとき、私を支えてくれるのが、私の中に息づいている作家たちだ。村上さんだけではない。彼だけだったら、私はたやすくダークサイドにおちてしまうだろう。
私の心の中には文芸界のスター軍団がいて、私を(たぶん)正しい方向に導いてくれる。今サッカーのワールドカップが行われているので、サッカー風にラインナップしてみた。
GK エーリッヒ・フロム【GERMANY】
※鉄壁。『自由からの逃走』は最高。読むたびに新しい発見がある
DF スピノザ【NETHERLAND】
※論破不可。『エチカ』は私のバイブル
DF ガルシア・マルケス【COLUMBIA】
※魔術師。小説も素晴らしいし、自伝も面白好き
DF 河合隼雄【JAPAN】
※ムードメーカー。子育てについてはどれほど彼に助けられたか
MF ゲーテ【GERMANY】★TEAM CAPTAIN
※頼れるキャプテン。思想の泉
MF ドストエフスキー【RUSSIA】
※狂気と天才のはざま
MF アルベール・カミュ【FRANCA】
※彼のような作家が現代にいたらどれだけ頼もしいか
FW JDサリンジャー【US】
※孤高のストライカー。あの文体は誰にも真似できない
FW フランツ・カフカ【CZECH】
※いつも想像力の無限さを教えてくれる
FW 村上春樹【JAPAN】
※バランスのとれた稀代のファンタジスタ
え?1人足りないって? はい、あとの1人は私です。
村上さん含め、偉大なメンバーに揉まれながら、自分や、他の人を幸せにできる人間になれるよう、細々と頑張っていきたいと思います。
だいぶ話が脱線したけれど、夏帆を読めることを心から楽しみにしています。
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