「〇時間しか寝ていない」を自慢するのはリーダー失格
睡眠時間を自慢するのはリーダー失格
最近、ある政治家が「〇時間しか寝ていない」と語ったことが話題になりました。
この手の発言を耳にするたびに、私はあることを思い出します。以前、大手乳業の経営者も同じように「ほとんど寝ていない」と胸を張って語っていました。
寝る時間を削って働くことが「努力」や「責任感」の象徴としてみられるのでしょうか。そんな時代は変わりました。睡眠に関する研究が進み、睡眠不足は判断力や集中力、記憶力を低下させることが広く知られています。
それでもなお、「私はほとんど寝ていない」とアピールするリーダーを見ると、私は少し違和感を覚えます。いや、むしろ時代遅れをマスメディアが助長しているかのようにさえ見えます。
国のリーダーも、企業のトップも、多くの人の生活や人生を預かっています。だからこそ、誰よりも冷静で的確な判断が求められる立場です。
そのような責任ある立場にいる人が、「忙しいから寝ていない」「睡眠時間は数時間しかない」と語ることは、本当に誇れることなのでしょうか。
私はそうは思いません。
睡眠は適切な判断をするための「仕事の一部」です。
スポーツ選手が試合前に十分な睡眠を取るように、医師やパイロットが体調管理を徹底するように、リーダーにも最高のコンディションで重要な判断を下す責任があります。
もちろん、緊急事態では睡眠時間を削らざるを得ない日もあるでしょう。それは政治でも企業でも同じです。
しかし、それが常態化し、それを「頑張っている証拠」として語るのであれば話は別です。本来、自分自身の健康や体調を管理することも、リーダーの重要な仕事ではないでしょうか。
私自身の人生を振り返ってみても、「忙しくて寝ていない」「血圧が高い」「休む暇もない」と口にするリーダーを何人か見てきました。早朝4時からメールで突然の会議開催、忙しいと言いながら、必要のない出張を繰り返し、報告書などは全く無し。
しかし、その周囲では何が起きていたでしょう。
部下はさらに長時間働き、「自分はさらに休めない」となります。無理が続けば、疲労が蓄積し、心身の不調を抱える人も出てきます。
リーダーの働き方は、組織全体の文化になります。
だからこそ、「私は寝ていない」という言葉は、知らず知らずのうちに周囲へ「寝なくても働くべきだ」というメッセージを送ってしまう危険性があります。
本当に優れたリーダーとは、「忙しい」ことを自慢する人ではありません。
限られた時間の中で優先順位を整理し、周囲に仕事を任せ、必要な休息を取りながら、最善の判断を積み重ねられる人ではないでしょうか。
さらに、国という視点で考えてみても、睡眠不足は決して個人だけの問題ではありません。
もし重要な局面で、リーダーの判断力が睡眠不足によって鈍っていたとしたら。その遅れや判断ミスが、国や企業に大きな損失を与える可能性もあります。
現代社会では、安全保障や経済、災害対応など、一瞬の判断が大きな影響を及ぼす場面が少なくありません。
だからこそ、「睡眠を削って頑張る」のではなく、「十分な睡眠を取り、最高の状態で判断する」ことこそが、本当の責任感なのではないかと思います。
また、これはリーダーだけの話ではありません。
日本は慢性的な睡眠不足の国とも言われています。仕事や家事、育児に追われ、十分な睡眠が取れない人も少なくありません。
疲れ切った状態では、物事を冷静に考えることが難しくなります。家庭でも、職場でも、社会でも、より良い判断をするためには、まず心と体を休めることが必要です。
「睡眠は時間の無駄」ではありません。
未来への投資です。
もし日本全体が、もう少し睡眠を大切にする社会になれば、一人ひとりの心に余裕が生まれ、家庭も職場も、そして社会全体も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
私は、睡眠時間を削ることを誇るリーダーではなく、「しっかり休み、しっかり考え、最善の判断をする」リーダーが評価される社会であってほしいと願っています。
そして私たち一人ひとりも、「忙しいから眠れない」を当たり前にするのではなく、より良い人生とより良い社会のために、睡眠の価値をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
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