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✏️私の相棒文具 ― 赤ペンがくれた時間のぬくもり

「あなたにとって、手放せない文房具は何ですか?」
そう聞かれたら、私は迷わず一つのペンを思い浮かべます。

私の文房具―― Pilot社のV-Corn赤ペン
赤く透明のボディに、水性インクがゆらゆらと光を反射し、インク残量が見えるタイプのペンです。
30年前、私が大学生だった頃に愛用していた一本。
その頃はずっと、私にとっての“相棒”のような存在でした。


🎓 大学時代の相棒

大学時代の私は、勉強も実習も、すべてを全力でこなしていました。
授業中のノートには、青や黒とともに、赤いペンで自分なりの強調を書き込んでいたのを覚えています。
V-Cornの滑らかな書き味は、まるで思考の流れをそのまま紙に刻むようで、勉強のリズムを作ってくれる存在でした。

インクが減っていくのを眺めながら、「ああ、今日もよく頑張ったな」と思えたあの感覚。授業中、寝てしまって、ノートにインクが漏れ広がったことも記憶に残っています。
何度も芯を替えられるシャープペンとは違い、V-Cornは“使い切る”という実感がありました。
一本のペンを使い終えるたび、何かをやり遂げたような小さな達成感があったのです。


🖋️ 30年越しの再会

そんなV-Cornを、最近になって偶然文具店で見かけました。
赤・青・黒の3色が並ぶ中で、残りわずか、最後の一本。
思わず手に取り、胸の奥がじんわりと熱くなりました。

「まだ、あったんだ――」

懐かしさと嬉しさが混ざり合い、迷うことなく購入しました。
あの頃と変わらないデザイン。透明なボディと、細くシャープなペン先。
持った瞬間、大学の教室やカフェでノートを広げていた自分の姿がふっとよみがえりました。

文房具には、記憶が宿っているのかもしれません。
手にした瞬間に、あの頃の自分の呼吸や、心の温度まで思い出せる。
まるでタイムマシンのような力があると思うのです。


🍎 教える今と、学んだあの頃

現在、私は日本語教師として大人に平日の夕方、そして日曜の朝に子供達を教えています。
その丸つけやコメントを書くときに使っているのが、あのV-Cornの赤ペン。

大学時代、私は“学ぶ側”としてノートに赤を重ねていました。
今は“教える側”として、生徒のノートに赤を走らせています。
30年の時を経て、同じペンが違う役割を果たしている。
そのことに、なんとも言えない感慨を覚えます。

赤ペンのインクがノートににじむたび、私自身が学んできた時間が、生徒たちの未来へと少しずつつながっていく気がします。
「この言葉の使い方、よくできたね」
「ここ、もう少しがんばろうか」
そんなやり取りを重ねるたびに、赤いインクが、ただの色ではなく“人と人をつなぐ線”のように感じられます。


🌿 「消えゆくもの」の中にある美しさ

最近では、文房具よりもスマートフォンやタブレットが主流になりつつあります。
メモもデジタル、スケジュールもアプリ。
私自身、デジタルの便利さには助けられています。

けれども、V-Cornのようなペンは、そんな便利さの中では“絶滅危惧種”かもしれません。
インクがにじみ、紙が少し波打つ――そんな“アナログの手触り”は、どんな最新技術でも再現できません。

だからこそ、私は思うのです。
文房具は、ただの道具ではなく「自分の記憶と感情を形にするもの」なのだと。
効率では測れない価値が、そこにはあるのだと思います。


✨ 赤ペンがくれる小さな誇り

「もう次が手に入るかわからない」と思いながら、私は今もこのV-Cornの赤ペンを使っています。
生徒の答案に丸をつけるたびに、過去と現在が少しずつ重なり、あの頃の情熱がよみがえります。

ペンのインクが紙の上を走るとき、私は“自分の原点”に戻っている気がします。
そして同時に、今の自分の歩みを確かめる時間にもなっています。

V-Cornは、私にとって「努力の証」であり、「教える喜びの象徴」であり、「時間の橋渡し」でもあります。
1本のペンに、こんなにもたくさんの思いが詰まっているなんて、昔の自分はきっと想像もしていなかったでしょう。


🕊️ おわりに

文房具には、使う人の人生が映ります。
消耗品のはずなのに、手に馴染むほどに「物語」を刻んでいく。
私にとってその物語の主人公は、この赤いペンでした。

時代が変わっても、書くという行為は人の心を支える力を持っています。
もしあなたにも、“昔から大切にしている一本”があるなら、どうか引き出しの奥から取り出してみてください。

一緒に戦った思い出、自分のパワースポットが復活し、自分自身に力を与えてくれます。



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