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m_oonote
「“あの目が、何もかも語ってた”って娘が言った」
――唐津赤十字病院で見た、“沈黙の中で交わされた深い会話”
70代の父は、脳出血により突然倒れ、
意識は戻ったが、言葉はもう出なかった。
右半身まひと構音障害――
家族の呼びかけにうなずくことしかできない日々。
それでも、娘は確かに感じたという。
「父は、言いたいことを“目”で全部伝えてくれてた」
「“大丈夫、わたし来たよ”って言ったとき、目に涙がたまってた」
面会に入った娘が声をかけた瞬間、
父の目に光が浮かんだ。
「父さん、大丈夫。わたし来たよ」
そのとき、声はなかったけど、
うなずくでもなく、涙がひと粒だけこぼれた。
「“あの目が、“ありがとう”と“ごめん”を両方言ってた気がした”」
後日、娘はこう語った。
「もう、声じゃなかったけど…
父のあの目は、
“ありがとう”と“ごめん”を両方言ってた気がした」
認定調査で聞いた「“視線”でつながることの重み」
調査中、看護師がこう語った。
「言葉が出なくなっても、
“視線”や“目の表情”で会話されるご家族って多いです。
それは“言葉以上”の力を持つこともあります」
唐津赤十字病院には、
**“声を持たない人の気持ちを見守る医療”**があった。
「“話せんでも、伝わることがある”と気づかせてくれた時間だった」
父はその後、静かに旅立った。
最後まで言葉は出なかったけれど――
娘はこう語った。
「“話せんでも、伝わることがある”。
…父がそれを教えてくれた」
唐津赤十字病院は、
“沈黙のまま、想いを残せる病院”だった。
