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メルカリの売り上げだけで、2週間生活してみた


ある日、突然ひらめいてしまった。

メルカリの売り上げだけで生活してみたらちょっとだけ面白いかもしれない、と。


「メルカリの売り上げで生活するってどういうこと?」と思う方もいるはずなので、簡単に説明しておく。

メルカリは、出品したものが売れたらメルカリ内の「残高」にお金が入る。その残高を、登録した銀行に振り込むことで手元にお金がくるという仕組みなんだけど、振り込みをせずに「メルペイ」というキャッシュレス決済として使うこともできる。

今回は、そのメルペイだけを利用して生活していくというわけだ。


……意味?

もちろん、意味なんてない。意味がないから楽しいことだってある。むしろ、全てのことに意味を求めていたらつまらない。

子どものころに観ていた「1ヶ月1万円生活」には憧れた。制約の中でお金を節約しながら生活していく姿は、めちゃくちゃかっこよかった。限られた中でやりくりするからこそゾクゾクするはずだ。

決してドMというわけではないけれど、自分にもそういう制約を課して生活してみようというわけだ。今回は、試しに2週間やってみようと思う。


メルカリというのは、すぐにお金が入るわけではない。商品を出品し、売れて発送をする。そして、相手が受取評価をして初めて残高が増えるという仕組みである。

そのため、いきなり明日からメルカリの売り上げで生活することはできない。そこで、以下のように準備期間と簡単なルールを設けることとした。

①15日〜30日を準備期間、翌1日〜14日をドM縛り期間とする。
②縛り期間は、現金を使っての支払いは不可とする。全てメルペイ支払いのみで生活をすること。
③縛り期間にも、売って残高を増やすことは可能とする。


ルールは至ってシンプルである。2週間の縛り期間を生き延びるために、準備期間でできる限りメルカリの残高を増やせばいいということだ。 


まず、縛り期間にどれくらいのお金が必要になるかを考える。

自分は大食いなので、食費は惜しみたくない。1日約1,500円だとして、2週間で20,000円ほどと見積もった。高いなどの異論は受けつけない。交通費や交遊費は、だいたい5,000円ほどか。


次に、家のもので何が売れそうかを考える。

家を見渡していると、なぜか水筒が3つくらいあった。保険の勧誘とか、学校のビンゴ大会の景品とかでもらったものだっけ。こんなに必要ないし、手放そう。

ギターも2つあった。高校生のころに、バンドマンに憧れてお小遣いで買ったんだった。そこそこ頑張ったけど、うまくならずに終わっちゃったなあ。1つは置いておくとして、もう1つは売っちゃおうか。

押し入れに眠っていた炊飯器も思い出した。ああ、これは一人暮らしのときに使っていたものだっけ。初めて一人暮らしをすることが決まって、母が買ってくれたものだ。思い出はあるけど、今は使っていない。手放すいい機会なのかもしれない。

懐古的な気持ちになりながら、売るものを考えていった。

これらで、いくらくらいになるんだろう?
水筒が3つで4000円くらい、ギターは7000円くらい、炊飯器は4000円くらいといったところか。まだ少し足りない気がする。

結局、他にも使っていない食器やゲームソフト、着ていない服、読んでいない本などを売ることにした。これで、だいたい想定の額に到達しそう。


売るものが決まったら、いよいよ出品だ。

商品を絶妙な角度で撮影して、説明文を考える。ちょっと勉強したんだけど、タイトルは長く書くほうがいいらしい。少しでも検索に引っかかるように、キーワードを羅列するのだとか。本文も興味を惹くように考えて……って、なんかnoteの有料記事を書くみたいだな。よく考えたら、noteで記事を売るための手法は、こういうところでも活かしていけるのか。

そんなことを考えながら、水筒・ギター・炊飯器と、次々に出品していく。これが意外と疲れる。

AIで自動入力をする機能もあるみたいなので、試しにギターの出品で使ってみた。すると、「アメリカでしか売っていない限定品のギター。輝く赤色が美しい」みたいに書いてくれた。自動入力はありがたいんだけど、これ島村楽器の売れ残りで買った、オレンジ色のギターなんだよな。

まあ、AIもたまにはおちゃめな部分を見せてくれるってことで、なんとか出品をし終えた。


──ピロン。

メルカリの通知が入る。

「コメント失礼します。購入を検討しているのですが、お値下げは可能でしょうか?」

値下げ依頼だ。メルカリでは、このコメントがかなり多い。もちろん、値下げをするのもしないのも自由だけど、最初から値下げを前提として高めに値段を設定するのもテクニックらしい。


「コメントありがとうございます。500円でしたらお値下げすることが可能です。よろしくお願いいたします」

購入してもらえるだけで嬉しいので、値下げを承諾。これだけ値下げをしたら、向こうとしても安い買いものだろう。


……シーン。


いや、買わないんかい。

コメントがきても、無視をされることが日常茶飯事らしい。


目に見えない相手に苦戦をしながら、なんとか月末までに出品したもののほとんどを売ることができた。


総売り上げ額、26,080円。


 * *


翌月の1日になり、縛り期間が開始した。

準備期間で予定額に達したので、あとは生活していくだけ。正直、もう余裕だと思った。

手始めに朝食を作ろうと、近くのイオンに買い出しに行った。ソーセージや卵、牛乳を買って、お会計。セルフレジでちゃちゃっと商品を通す。

さあ、支払い方法をメルペイに……って、え?


支払い方法に、メルペイを選択する欄がない。


おかしいと思って店員さんに聞くと、クレジットカードやAEON Pay、WAONなどしか使えないとのこと。

ふだんは現金支払いがメインの自分。メルペイを使える店舗が限られているということを、初めて知った。キャッシュレス決済ができるからといって、全ての方法が使えるわけではないのか。知らなかった。

今の時代はキャッシュレス決済が発展してきているとはいえ、そもそもキャッシュレス決済を導入していない店舗もあるだろうし、導入していたとしてもメルペイが使えるとは限らない。こりゃ、店選びを慎重にしないといきなりルール違反で終了なんてこともありえる。予期せぬ壁にぶち当たることになった。

申し訳ないけどイオンでの買い出しはキャンセルさせてもらって、なんとかメルペイが使えるスーパーを見つけた。この2週間は、主にこのお店にお世話になることになりそう。よろしく、ライフ。


俺は、仕事がある日と休みの日では、こんな感じで自炊と外食を分けている。

【仕事がある日】
朝 → 自炊(寝坊したらパン)
昼 → 外食(お弁当なんて作れない)
夜 → 自炊(瀕死の日は外食)

【休みの日】
朝 → 自炊(寝坊したら無し)
昼 → 自炊(遊びに行ったら外食)
夜 → 自炊(飽きたら外食)

まあ、基本ぐうたらで気分屋の人間なので、そのときの気分によっていろいろ変わる。

お酒が好きだから飲みに行きたいけど、さすがに予算オーバーなので自粛。たまにスーパーで缶ビールを買って飲む程度にする。


 * *


そんなこんなで平凡な日々を過ごして、気づいたら5日が経過した。メルペイが使えるお店もだいぶわかってきた。

5日が経過した時点で、使ったお金は7,985円。まだ18,095円も残っている。

なんだこれ、余裕すぎじゃないか。まあでも、今回の目的はこの期間の生活費をメルカリで稼ぐということだったから、極貧生活をする必要もないし。

んー、でもさすがに余裕がありすぎる。
あ、そうだ。我慢していた飲みでも行くか。

お金に余裕があるのをいいことに、仲の良い友人を誘って行きつけの居酒屋へ。1杯目は絶対にビールだと、おじいちゃんが教えてくれたんだ。

ビールで乾杯をして久しぶりに飲んだけど、うますぎた。お酒は我慢をすればするほど美味しい。

友人と近況を話しながら、2時間ほど飲んだ。そろそろ帰るか……ということで、お会計の時間。


「14,800円」


エ、コンナニノミマシタカ?


完全にやらかした。ふだんなら割り勘をするんだけど、俺は現在縛り期間。現金を使うことはできないため、割り勘もできない。ということで、なくなく全額を俺がメルペイで支払うことになった。


残高、3,295円。


──終わった。

完全に終わった。残り9日で3,295円って、意図せず極貧生活に突入じゃないか。何をしているんだ俺は。


1日に1,500円ほどを使う自分が、9日を3,295円で生き延びるのは当然無理なので、追加でものを売る必要が出てきた。お金がないなら作ればいい。

売り上げ金が残高に入るのは少し時間がかかるので、すぐ売れそうなこの子を売ることにした。


さようなら、可愛い可愛いミュウ。

生きるとは、こういうことなのだ。

人気があるミュウは即売れてすぐに発送したので、2日後には残高を増やすことに成功した。


2日間で2,780円を使っていたけど、プラス12,500円で、残高は13,015円。


残り、7日。


 * *


そこからは、余裕ぶって居酒屋に行くこともなく、メルペイが使えるライフで買い出しをしては自炊をする毎日に。


そして、ついに2週間の最終日。最後の晩餐は、大好きなオムライスを作ると決めていた。メルペイが使えるいつものライフに、卵・挽肉・玉ねぎなどを買いに行った。2週間ありがとう、ライフ。明日からは近くのイオンと復縁するかもしれないけれど、今回の縛り生活では間違いなくこのお店がMVPだったよ。

買い出しを終えて、残高は1,472円。本当にメルペイだけで生活はできた。

この日に食べたオムライスは、人生で一番美味しかった気がする。なぜだかわからないけど、感動した。


こうして、メルカリの売り上げだけで生活する日々は無事に終了。


今回は売らなきゃ生活ができないわけだから、必死になって家中のものを吟味した。ふだんはなかなか処分することができずに困っていたものも、意を決して手放した。

メルカリで売れるものを探すことは断捨離に繋がるし、自分の思い出をふり返るいいきっかけにもなった。

メルカリの売り上げだけで生活をしていく中でも、キャッシュレス決済についての知識やお金のありがたみなど、いろんなことがわかった。

グダグダだったかもしれないけど、これは全部実話。本当になんの意味もない挑戦だったと思う。でも、達成し終えた後は最高に清々しかった。


今度は、メルカリで売れた額の距離だけ電車に乗れる旅でもしようかな。


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