趣味は「映画鑑賞」って書いてもいいですか?~薄口な映画感想文~#61 MERCY マーシーAI裁判
映画タイトル:MERCY マーシーAI裁判
監 督:ティムール・ベクマンベトフ
出 演:クリス・プラット、レベッカ・ファーガソン、カーリー・レイス、アナベル・ウォーリス、クリス・サリヴァン、カイリー・ロジャーズ 他
鑑 賞 動 機 :まず、AI裁判って何? から始まって、どのように公判が維持されるの?人間はどのように携わるの?等々、疑問がいっぱい。それと、法廷サスペンスってジャンル、大好物なんですよねぇ。
ストーリー :警察は特別警戒区域(レッドゾーン)を設け、治安維持に努めるも犯罪の増加に歯止めがきかず公判をまつ被告たちで収容所はいっぱいになってしまった近未来。そこでは、裁判を迅速かつ正確・公平に進めるため、マーシー裁判所が設置される。その効果はてきめんで、ロサンゼルスの犯罪率は68%減少し人々は平穏を取り戻しつつあった。今日、その裁判所の法廷にいるのは、これまで多くの容疑者を送り込んできたクリス・レイヴン(クリス・プラッド)だった。彼は、妻ニコール(クリス・サリヴァン)〇しの容疑で逮捕され、マーシー裁判所に拘束されている。この裁判所で、レイヴンは90分以内にマーシー裁判所のマドックス判事(レベッカ・ファーガソン)を相手に無実の証明をして有罪率92%を下回らないと制限時間終了後、即刻処刑されてしまう。果たしてレイヴンは自らの無実を証明する事が出来るのか?そして、妻を〇した真犯人は誰なのか?
☆薄口な感想
今の日本の刑事裁判では、被告は明確な証拠が無ければ「推定無罪」なんだけど、この近未来のマーシー裁判所において、被告は「推定有罪」なんですと。おっそろしいですねぇ。
初見では非常に厳しい、そして恐ろしい世の中だ、と思うかもしれません。がしかし、この近未来の世界は、市民一人々々の行動が、タイムラグがあるものも含めて、ほぼ100%映像で確認することが出来るから、基本的に容疑を掛けられたのと同時に、映像という確たる証拠によってリアルタイムで裏取りが出来るんですねぇ。
つまり、この近未来は超絶監視社会でもあるわけです。
でもって、ここで一つ「その映像は本物か?フェイクではないのか?」と、いう疑問が湧くのですが、本作においては、基本的に映像は全て「本物」という前提で話が進んでいるようです。
また、本作の設定で面白い、と思ったのが、「公判の模様はネットで閲覧することができる」(ただし、未成年者は参加できない)、そして弁護士は付かないので、自ら無実の証明をしなければならない、という点です。
まず、この裁判は「被告人は有罪」という前提からスタートするので、AI判事(本作では、マドックス判事)に対し、自分には犯行の動機が無い事、犯行時刻とされる時間帯自分にはアリバイがあり実行は不可能である事、他に動機も犯行を実行できる真犯人がいる事を証明しなければならない。
しかも、印象という抽象的な概念ではなく、映像等の明確な証拠が必要なのです。
これって、結構厳しいなぁ、と思いきや、日時と場所を特定すれば、その付近の防犯カメラや民家に取り付けられている防犯カメラをジャックして、更には、個人が保有している裏アカの映像まで裁判の証拠として利用する事が出来る、っていう・・・。
何かね、超便利なんだけど、デジタルデータは全て把握されてしまっている、というのは怖いですねぇ。
ただ、この世界の住人達がこの現状を受け入れているのは、個人の裏アカまで閲覧が出来るのは、このような裁判とか公的な場合に限られており、日常生活において個人のプライバシーにかかわるようなことが世間に晒されるような事は起きない、個人のプライバシーは護られている、という前提に立っているからだと思います。
そして、裁判が始まり判決が確定するまで90分というのは、凄まじい早さですよねぇ。
現在の日本の裁判は三審制だから、最高裁まで争うと判決が確定するまで何十年とかかることもあります。
もしもめちゃめちゃ長い裁判に巻き込まれてしまったら、その人の人生はどうなるんでしょうねぇ。
被疑者が真犯人なら止むを得ないよね、という話だけど、もしも冤罪だったら?
これは、悲惨としか言いようがない。
まぁ、本作の場合、90分以内に無実を証明しなければ、即処刑だからねぇ。そうなると、早ければよい、とも言えないねぇ。
マーシー裁判所は、判事、検事、弁護士全ての役割を果たしているので、基本的には被疑者と敵対しているけど、時には被疑者に協力するような場面もあります。
被疑者が自らの無実を証明する為に、ありとあらゆるデータを瞬時に探してきて提示してくれるし、状況によっては真犯人確保のため警察に指示も出してくれます。
この辺りは便利、というか頼もしいですよねぇ。
本作の場合は、クリスがマドックス判事を通じて現場にいる現在の相棒のジャクリーン・ジャック・ディアロ刑事(カーリー・レイス)に具体的な指示を出し、現場検証をしたり、容疑者を追って供述を得たりとアクティブな公判となっているのが新鮮!!
そして、この作品のメッセージというべきか、終盤・大詰めになると“AIは万能ではない”というシーンが盛り込まれている。
基本的に、マドックス判事は論理的・客観的に有罪無罪を判定しようとしているし、犯罪捜査においても、デュープロセスを尊重している。
しかし、そこにAIの限界もあり、あと一歩、というところで有効な手段が、所謂“刑事の勘”というやつ。
クリスは長年の現場経験から、犯人の心理を読み、次行動パターンを予想して次の手段を考えるが、マドックス判事は実証されていない手法は執れないと主張する、が、最終的にクリスの直観を信じて許可を出す。
この行動により、マドックス判事はバグを起こす辺り、設定が細かいねぇ~、と感心してしまった。
でも、この直観も現場経験の積上げがあってこそ。今後、AIを駆使して操作する等の手法が広まったら、この“刑事の勘”廃れちゃうんでしょうかねぇ。そして、最後の大どんでん返し、面白かったです。
