現場は理論どおりにいかない。だから、ケースから学び続ける—グループ・コーチングスーパービジョンの記録
CSA(コーチングスーパービジョンアカデミー)で昨年学び、年末からグループコーチングスーパービジョンをスタートした。
スーパービジョンを受けるのは、プロのコーチである。
現場で起きる出来事を客観的に、俯瞰して眺め、その場での対話をヒントに、プロとしてのあり方や取り組み方をアップデートし続ける必要があるからだ。
「見たいように見ない」ために、フィードバックが要る
昨晩の場で、参加者の言葉が印象的だった。私がうまく言語化できていなかった部分を、まさに言葉にしてくださった。
「フィードバックの重要さを感じた。
私たちプロのコーチは、見たいように物を見るのではなく、現実に起きたことを伝えることがすごく重要。
コーチという仕事をしていても、私たちは見たいように見ている可能性があるから、事実を客観的に捉える力の重要性を感じました。」
スーパービジョンの場が、やさしいだけの場ではなく「現実に落ちたこと」を取り扱う場であることを、改めて思い出させてもらった。
扱ったケースは2つ。見えた「現場の複雑さ」
この日はケースを2つ扱った。
ひとつは**「フルスペクトラムモデル」**を活用したケース
もうひとつは、複数のオブジェクトを使って語る**「マジックボックス」**を活用したケース
どちらも共通していたのは、理論や書籍の「理解」だけでは届かない、現場の複雑さだった。
同じ“型”を知っていても、ケースが変わると見え方が変わる。
そして、見え方が変わるからこそ、学びが続いていく。
マジックボックスの「モノの配置」に、言葉にならない情報が宿っていた
特に印象に残ったのは、マジックボックスでのケースだった。
スーパーバイザーとして私は、モノの配置がとても興味深かった。とくに、モノの向きまで含めて印象に残っている。
ケースとしては、チームコーチとメンバー5名のチームコーチングの場で起きていた出来事を、モノで表すことをしてもらった。
たまたまなのかもしれないが、メンバーとして置かれていたのは、
ペン
リップクリーム
マウスウォッシュ
といった、円形で不安定なものだった。
「なぜそれが、そこに置かれたのか」
「その“不安定さ”は、何を表しているのか」
そう考え始めると、配置がただの偶然には見えなくなっていく。
さらに、興味深かったのは——
ご自身が安定するものとして置かれているモノがあったこと。
そして、ご自身を表すモノが、他のモノとそれぞれ同じ距離感になっていたこと。
ここには、言葉より先に“関係性”が現れているように感じた。
「その“同じ距離”は何を守っているの?」
時間が許せば、私はこう尋ねてみたかった。
「その“同じ距離”は何を守っているの?」
距離は、ときに境界線になる。
距離は、ときに安全確保になる。
距離は、ときに親密さを避ける工夫にもなる。
“同じ距離”という現れには、本人が言葉にしていない意図や、守っているものが潜んでいる気がした。
スーパービジョンの場は、こうした「まだ言葉になっていない情報」に触れられる場でもある。
理論は地図。現場は地形。だから仲間のケースから学ぶ
この日の対話を通して、参加者が口にした言葉が、まさに全体を表していた。
「書籍や理論どおりには現場はいかない。
だからこそ、私たちは仲間のケースから学び続けることが本当に重要なんだと思います。
ICFが“チームコーチングを学ぶ人たちにはコーチングスーパービジョンが必要”と言っている意味が、今日すごく実感として分かりました。」
理論は地図。
だけど現場は、いつも地形が違う。
だから、現場を持ち寄って、共に眺める。
そのプロセス自体が、プロとしての感度と誠実さを育てていく。
余韻として残ったこと
「もっと誠実にオープンにクライアントに関わるということを、なぜ自分はやらないんだ」
こんな問いが立ち上がる場は、貴重だ。
スキルを磨く以上に、「あり方」が更新されていく。
スーパービジョンとは、私にとってそのための学びの場なのだと思う。
スーパービジョンのご案内
もしこの記事を読んで、「自分のケースも、誰かと一緒に俯瞰して眺めてみたい」と感じた方がいたら。
銀座コーチングスクールのコーチングスーパービジョンのご案内はこちらにまとめています。
よかったら、概要だけでものぞいてみてください。
https://www.ginza-coach.com/sessions/supervision.html
