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夏の匂い、じいちゃんの笑顔

お盆になると、じいちゃんの家はまるで別世界だった。

大人たちは、笑い声を響かせながら酒を
酌み交わしてしている。

子どもたちは、お互いあまり知らない顔同士でも、
庭や縁側を駆け回って遊ぶ。

笑い声と足音が家中を満たし、
俺もその中に混ざって走り回った。
抱っこされたり、肩車されたり、大笑いしながら汗だくになるまで遊んだ。
小さな俺にとって、お盆は楽しさの象徴だった。

そして、忘れちゃいけないのが、
俺のじいちゃんだ。

じいちゃんは酒豪で、朝から晩まで日本酒をひたすらに飲んでいた。
酔うとオリジナルソングを歌い出す。

今日も〜♪

おいしい酒が〜飲めるのは〜♪

わたるのおかげだね〜♪


と、鼻にツンと抜ける酒の匂い混じりのこぶしのきいた歌声。
じいちゃんの歌声が家に響くと、
俺はつい「あの歌でた!!」と笑っていた。

だが、小学校4年生のあの夏、俺の楽しいお盆は少し違った。

反抗期真っ只中の俺は、
心の中で毒づいていた。

「なんでわざわざ休みなのに、じいちゃんちに行かなきゃいけねぇんだよ…。めんどくせ。」と。

その日も、いつものようにじいちゃんは酔っぱらって歌いながら近づいてきた。
酒臭い息が俺の頬をかすめ、吐きそうになるのを堪えつつ、俺は顔を背けた。

ところが、家の酒が底をつき、
なぜだったかは、わすれたのだが、
酔っぱらったじいちゃんと二人で買い出しに行くことになった。


帰り道、じいちゃんはニコニコしながら
「みんなには内緒だぞ!」と、
アイスクリームを買ってくれた。

嬉しかった。

でも、その気持ちは一瞬で不満に変わる。

おもむろに、じいちゃんはドブの前に立ち止まると
、俺に背中を向け、仁王立ち。

「チョロチョロ…」

ツンと鼻を突く、ヘドロの匂いと混ざった悪臭がたった。


俺は

まじかよ!?汚っ!、臭っ!


暑いし、反抗期だった俺は
そう思ってしまった瞬間、
全身の力を振り絞り、じいちゃんに突撃していった。

バシャーン!

じいちゃんはドブに落ち、
汚水と自分の小便まみれ。
体中擦り傷。

俺は、自分でやったのにも関わらず動揺して

「じいちゃん、ごめ…」

でも、じいちゃんは
泥まみれの顔で大笑いしながら、
「おぉ、酔っ払って足がふらついたぁ〜。」と、
俺を責めることもなかった。

その2年後じいちゃんは亡くなった。

あの日から、
お盆に仏壇に手を合わせるたび、
俺はあの瞬間のことを思い出し、懺悔する。
汚水と自分の小便にまみれて、
笑っていたじいちゃんの顔が、
鮮明に脳裏に焼きついて離れない。

アイスクリームの甘さと、ドブの臭い。
俺の罪と、じいちゃんの深い愛が溶け込んでいた

あの夏を。


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わたる | 介護 | 子育て | 日記 アンタの思い受け取った。ありがとう!俺の魂を震わせてくれた!最高だぜ!

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