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【所信表明】消えゆく酒蔵の「魂」を記録したい。私がnoteを有料化して、全国47都道府県への「伝承の旅」に出る本当の理由

古代の神々への供物に始まり、江戸の物流革命、AIを駆使した働き方改革、そして気候危機に立ち向かうアグリテックに至るまで。全12回にわたってお届けしてきた「日本酒」という小宇宙を巡る第一の旅に、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

皆様にご覧いただき、スキを押していただいたことが、私にとって何よりの励みとなり、日本酒という文化の奥深さを再確認する大きな原動力となりました。

さて、大きな一区切りを迎えた今回は、少しだけ個人的な、しかし私にとって最も大切なお話をさせてください。私がなぜこのnoteを書き始めたのか。そして、次回から始まる新シリーズに向けて、皆様とどのような景色を見ていきたいのかという「所信表明」です。

■ 新シリーズのテーマ:日本酒の「つくり」の変遷と現在地

次回からの新シリーズでは、現在私が持ちうる膨大な資料をフル活用し、「日本酒の『つくり』が歴史の中でどのように変わっていったのか」、そして「その変遷が、今の酒蔵や酒造りにどのような影響を与えているのか(現在地)」という極めて本質的なテーマに深く斬り込んでいきたいと思っています。

■ 私の活動の原点
日本酒アカデミーと「47都道府県」への想い

なぜ私が、これほどまでに日本酒の歴史や文化を伝えることに情熱を注いでいるのか。その原点は、私の普段の活動にあります。 現在、私は「日本酒を世界に広める」ことをミッションとする「日本酒アカデミー( https://sake-ac.co.jp/ 」の講師として在籍しています。当アカデミーでは、日本酒を単なるアルコール飲料として消費するのではなく、大人の教養として深く楽しむための様々な講座を開催しています。

「日本酒伝道師®養成講座」

歴史や造りを基礎から学び、教科書の暗記ではなく「自分の言葉で日本酒の物語を語れるようになる」ことを目指します。講義後の懇親会では、食事や器との掛け合わせを探求する「発見型テイスティング」を通じ、年齢や職業を超えた一生の財産となる「大人の同期」が生まれています。

「酒楽道®(しゅがくどう)講座」

旧・上杉子爵家9代目当主であり日本酒プロデューサーの上杉孝久氏を講師に迎え、お燗の魔法や武家・公家の作法など「酒で遊ぶ」ための深い教養と実践的なおもてなしスキルを提供しています。

「日本全国47都道府県日本酒完全制覇」

さらに、これらのメイン講座に加えて、私はサブ講座として「日本全国47都道府県日本酒完全制覇」という特別講座も不定期で開催しています。

これは、全国47都道府県に点在する魅力的なお酒を紹介しながら、同時に各地域の土地(テロワール)や歴史を徹底的に深掘りしていく講座です。参加される皆様が、ご自身の故郷やゆかりのある土地の歴史を改めて知り、「自分のルーツにある土地で、こんなにも素晴らしいお酒が造られているのか」という強い興味と愛着を持ってほしいという願いから企画しました。

日々、受講生の皆様が日本酒の奥深さに触れ、「知れば知るほど楽しい!」と目を輝かせる瞬間を共有できることは私にとって何よりの喜びであり、このnoteを通じて、さらに多くの方へその熱量をお届けしたいと強く願うようになりました。

■ 「よしかわ杜氏の郷」で直面した、静かで決定的な危機感

しかし、講義室の中で47都道府県の素晴らしい日本酒の事を伝える一方、私は「今まで以上に自ら現場へ動き、見た景色を伝えなければならない」という強い衝動に駆られていました。

その決定的な引き金となったのは、私がアカデミーの講師として、新潟県上越市にある「よしかわ杜氏の郷」へ赴き、講演を行った時のことです。

吉川(よしかわ)という土地は、かつて日本の酒造りを根底から支えてきた技術者集団「頸城杜氏(くびきとうじ)」「吉川杜氏」の一大拠点であり、日本酒の歴史の中心地のひとつとも言える場所です。かつての日本全国の杜氏たちは、冬の農閑期になると過酷な雪山を越えて全国の酒蔵へ向かい、集落全体で酒造りの技術を磨き上げてきました。

しかし、その輝かしい歴史の息づく現場に立ち、地元の方々や造り手と直接言葉を交わした時、私がこれまで「もしかしたらそうなるのではないか…」と頭の片隅で危惧していたことが、「ついに現実のものとして顕在化してしまっている」という強烈な危機感に襲われました。

いったい何のこと?というのは、何百年もかけて築き上げられた強固な杜氏集団のエコシステムが、地方の過疎化や高齢化、そして日本酒事情の大きな変化によって、今、まさに音を立てて崩れ去りつつある。

かつて雪深い集落で語り継がれてきた目に見えない「暗黙知」や職人たちの熱い魂が、語り手を失い、静かに消滅しようとしている。その取り返しのつかない現場のリアルを肌で感じた時、私は強い焦燥感に駆られました。

■ 「広める」から「伝承する」時代へ

その時、私は一つの確信に至りました。 もしかしたら、現在の日本酒産業は「広めていく時代」から「伝承していく時代」へと突入したのではないか、ということです。

「広めていく」とは、美味しさをアピールし、マーケティングを駆使して消費量を増やし、国内外の市場を開拓していくことです。もちろん産業として生き残るためにこれは不可欠です。

しかし、「伝承していく」とは意味合いが全く異なります。それは、目に見えない微生物と対話し、過酷な自然環境と向き合ってきた名もなき職人たちの「魂」や、かつての『つくり』の歴史を、「完全に失われてしまう前」に記録し、次世代の造り手や飲み手へと確実にバトンを手渡していく行為です。

ただ日本酒を知るだけではなく、その根底にある歴史や文化、そして作り手の皆様のことを知り、後世に伝えていかなければならない、という気持ちが私の中で起こっています。

どれほどAIや機械化が進み、海外への輸出が好調になろうとも、「なぜその土地で、その酒が生まれ、誰がどうやってその『つくり』を繋いできたのか」という人間臭い歴史(文脈)が失われてしまえば、日本酒は単なる「アルコール飲料」へと成り下がってしまいます。

私は、歴史の転換点にある今こそ、その魂を言葉にして「伝承」する歯車の一つにならなければならないと痛感したのです。

■ 新シリーズ予告編:歴史資料から読み解く「つくりの深淵」

次回からの新シリーズでは、私が「47都道府県」の講座などを通じて蓄積してきた膨大な専門資料を解き放ち、日本酒の『つくり』の裏側に隠された壮大なドラマを紐解いていきます。例えば、こんな物語をお届けする予定です。

① 自然のバクテリアと闘った「生酛造り」の神秘とメカニズム

現代のように冷蔵設備や科学的知識がなかった時代、先人たちはいかにして腐敗菌から酒を守ったのか。そこには「硝酸還元菌」という自然界のバクテリアを利用し、野生酵母を駆逐して安全な環境を構築するという、驚くべきミクロの生存戦略が隠されていました。

② 明治のイノベーション「速醸酛」の光と影

安全な酒造りを可能にし、日本の酒類産業を近代化させた「速醸酛」の発明。しかし、人工的に乳酸を添加するこの大発明が、結果として日本各地の多様な「蔵付き酵母」の個性を画一化させてしまったという、イノベーションが抱える歴史的なジレンマに迫ります。

③ 気候危機と闘う現代の杜氏

現在、夏の異常高温により、最高級の酒米「山田錦」の心白が形成されず、タンクの中で米が溶けないという致命的な危機が起きています。この崩壊しつつある気候の下で、奮闘する醸造家たちの、現在進行形の死闘を描き出します。

この連載を、単なるお酒の解説にするつもりはありません。自然と科学、そして作り手の奮闘、極めてドラマチックな「知の探求」を皆様と一緒に紐解いていきたいと思っています。

■ 読者の皆様を「共創する仲間」へ。
note有料化の本当の理由

こうした知られざる歴史と文化を紐解く新シリーズを展開していくにあたり、読者の皆様に率直なお願いがあります。

今後の連載から、私は記事を「一部分有料化」させていただく決断をいたしました。
理由は他でもありません。将来、パソコンの前から飛び出し、47都道府県すべての酒蔵の扉を実際に叩き、現場の熱量を取材するための「活動資金(交通費・取材費)」を集めるためです。

今、私の手元にある資料だけでも、日本酒の歴史や技術の素晴らしさを語ることは十分に可能です。しかし、資料を読み込み、受講生に語れば語るほど、どうしても今以上に現場へ行かなければならないという思いが募ります。

文献だけでは決して分からない、現場の様子、今まさに気候変動や労働環境の激変の中で「つくり」を未来へ適合させようと苦闘している職人たちの「生の声」を、自らの足と目で記録し、皆様にお届けしたいのです。

私は、日本酒の魂が時代の中で消滅してしまう前に、それを記録する「伝承の旅」に出ます。そのための取材資金(切符代)を集める第一歩として、まずは私の持てる知識と資料のすべてを注ぎ込んだ新シリーズを一部分有料で展開させていただきます。

もし、これまでの12回の連載を読んで「面白かった」「日本酒をもっと好きになった」と感じてくださったなら。そして、「失われゆく日本の酒文化を、手遅れになる前に記録させよう」「こいつを全国の酒蔵に送り込んでやろう」と思っていただけたなら、どうかこれからの私の活動をご支援いただけないでしょうか。

居酒屋で頼む「一杯の日本酒」と同じくらいの価格で、どうかこの旅の「スポンサー」に、いえ、日本酒の未来を一緒に守る「共創する仲間」になっていただきたいのです。

いただいたご支援は、必ず「最高の記事」と、やがて全国を巡って得られる「現場の熱量」、そして「日本酒文化の発展」という形にして、余すことなく皆様に還元してまいります。

もちろん、日本酒アカデミーの教室で皆様と直接お会いし、ゆかりの土地のお酒で一緒に杯を傾けながら語り合える日も心待ちにしております。

日本酒の未来を考える旅は、ここからが本当のスタートです。グラスの向こう側に広がるまだ見ぬ景色を、皆様と共に探しに行けることを心から楽しみにしています。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!

日本酒伝道師 押尾 弘

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押尾 弘 日本酒の奥深い世界をお楽しみいただけたでしょうか?いただいたサポートは、より精度の高いファクトチェックのための文献購入や、全国の酒蔵探訪、そして「研究」と称した至高の日本酒のテイスティング代として大切に使わせていただきます。応援お願いします!

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