いつになく母の饒舌山笑ふ
山笑ふ(やまわらう) 三春 「笑ふ山」とも
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ー2018年4月28日の日記よりー
先日、神戸の現場帰りに母のところへ立ち寄った。
勝手知ったる妹の家、玄関からとんとんとんと階段を上り2階の母の部屋へ。私からの電話で待っていた母は、ベッドの上にちょこんと座っていた。
母は思いのほか元気そうで、顔の色艶も良い。そっと顔を触ったら肌がツルツルスベスベで手に吸い付くように柔らかい。
「なんか塗った?」
「いいや、なんも塗ってへんで」
「ツルツルやね」
「そうか?いつもこんなんやで」
化粧も手入れも何もしない私も、友人たちに肌を褒めてもらうことがあるが、これは母譲りなのだと確信した。
母の手を両手で包むと冷たかった。
「しっかり食べてちょっとは歩かなあかんよ、花が咲き出して外は綺麗やし」
「一日中、ここで寝てばっかりや」
「ほな、ウチのお父さんと一緒やなぁ……(苦笑)」
歩かないのは私とて同じことで、それ以上、偉そうに母に言う資格はない。
妹も一緒に話をしていると階下から寝たきりの義弟の呼ぶ声が。
「はいはい!今いきます!」
妹は大きな声で返事をしたかと思えば、すぐに階下へと降りていった。
「あの娘も大変やねん」
母がポツリと言った。
「そやな、せめてお母ちゃんしっかりとしてなあかんで、迷惑かけたらあかんしな」
「そやなぁ……」
「ほな、車、待ってもろてるからもう行くわ!お父さん、こないだのポンカン喜んでたで、ありがとうね」
「そうか、それは良かった、宜しゅうに言うといてな」
「うん、ほな」
「気ぃつけて、またな」
「また来るわ!」
手を振ると母も笑って手を振った。
(あれは……来(け)ぇへんくせに!と、思てる笑いやな……)
稀に、妹のことを『自分の母』と言うことがあると聞いたので気になっていたが、あの調子だと大丈夫かも。
妹をよくよくねぎらい、感謝の気持ちを伝えて私は帰ったが、妹には頭が上がらないなぁ……とつくづく思う日々である。
サムネ画像はブラッドオレンジの花
柑橘類の花は大きさは違えてもどれも同じよう
これがあの血のような真っ赤な実になるとは信じがたいのだけれど
