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東北忌壁に残りし津波跡

東北忌 忌日句 東日本大震災とも云う


『あっ、揺れた、あっ、2回!』

 私は地下のオフィスの奥のキッチンに居た。体感での揺れは小さいが、直感で、どこかで大変なことが起こっているに違いないと確信。慌ててオフィスに戻ると、既に夫は廊下の反対に位置する管理室でTVをかけっぱなしにしていた。

「何処?」
「東北でかなり広範囲らしい」
 東京でも震度5で、液状化現象があったりビルのガラスが割れたらしいと慌ただしく次々と情報が飛び込んでくる。

「東京で震度5やったら、震源地はいったいどうなってるんやろ」

 そのうちすぐにTVの画面は、各地からの津波情報を発する人々の声がこだまする如くに響き出した。

「ええ?何あれ!」

 未だかつて見たこともない津波が各地から中継で映し出される。夫と私はTVに釘付けとなり、津波は何度も繰り返し来るということを知る。車で逃げ惑う人々があっという間に津波にのまれていく様子が痛々しい。
 車が流され、家が流され、町の形が崩れていき、次第に夕闇にのみ込まれ、点々とした火災の火が一面に広がっていく。点在する中継カメラやヘリカメラの情報で、それらがまるで鳥瞰図のように脳裏にたたみ込まれていった。

 その後、常なら夕刻になると夫と共に帰宅の道すがら、居酒屋で夕食を摂るのだが、あの日はただ黙々と家まで歩いて帰った。が、家に帰っても四六時中TVの画面から離れることができずにいた。

 地元の人たちは、大津波の怖さを昔からの言い伝えで避難する方法を知っていたという。TVという媒体を通して学んだ私たちは、いつ来るかわからぬ【南海トラフ地震】にどう対応できるのか問われるが、ただただ起こりませぬようにと祈るしかない不甲斐さを思い知らされている。

 

 




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