【予感の味】風まかせ文芸部・第60回お題企画
偶然にも、ある予感を感じたとしよう。それが必然だったと判明した途端、私たちは間違いなくこれは「運命」だと思い込む。
私は予知能力に長けてはいない。
非常に現実的な人間で、占いとかスピリチュアルとかを信じない。
ただし「暦」など、長い年月や経験、事実の現象の積み重ねでできたものは、追いかけるほどに納得がいくのだ。
そんな現実主義者である私が、最近、ちょっとした矛盾を楽しんでいる。言うなれば、予感の味を占めているのだ。
仕組みは分かっている。脳のデータ処理と確証バイアス、ただそれだけ。しかし、理屈では分かっていても、心のどこかで「これは運命かも」という甘い錯覚に浸りたくなる。
そんな時の心理現象は、決まって、半世紀ほどの年齢を超えている自分に驚かされる。その、理性と本能のせめぎ合いが、たまらなく面白い。
寿命を全うする時期が近づくと、時空が遡っていくと聞くが、いえ、聞くどころか、何度も経験しているのだけれども、その潜在する心理的メカニズムによって起こされているのには違いないだろう。
意識のあるうち、もうしばらくは、その予感の味をのんびりと楽しんでみたいと思う今日このごろ。
