【国際法務】国際取引の契約で押さえるべきポイント:準拠法とIncoterms
弁護士の宮本武明です。
国際取引を行う際、契約において重要なポイントとして、「準拠法」と「Incoterms」(International Commercial Terms)があります。この2つを正しく理解していないと、想定外のトラブルに巻き込まれるリスクが高くなります。
本記事では、国際取引契約を結ぶ際に欠かせない準拠法の選択と、Incotermsの基本について解説します。
1. 準拠法とは?なぜ重要なのか?
準拠法(Governing Law)とは、契約に適用される法律のことです。国際取引では、どの国の法律を基準に契約を解釈するかを決めておかないと、紛争が発生した際に法的な判断が困難にります。
準拠法を選ぶ際のポイント
自国法(日本法)を選ぶ
企業にとって自国の法律の方が理解しやすく、紛争時にも有利に進められる。
ただし、相手国の裁判所で訴訟を起こす場合、日本法の適用が難しいケースもある。
相手国の法律を選ぶ
相手企業との交渉上、相手国の法律を適用しなければならないこともある。
ただし、相手国の法制度を十分に理解していないと、不利な契約条件を押し付けられる可能性がある。
第三国の法律(英米法など)を選ぶ
中立的な立場として、イギリス法やニューヨーク州法を選ぶケースが多い。
これらの法律は契約法の判例が豊富で、国際取引での実績がある。
準拠法の指定がないと、裁判や仲裁になったときにどの法律が適用されるのか不透明になり、時間とコストがかかります。
2. Incotermsとは?国際取引の基本ルール
Incotermsとは、国際商業会議所(ICC)が定めた、国際貿易における売主・買主の義務や費用負担、リスク移転の基準を示したルールになります。
多くの国際契約で使われており、本日時点で、2020年版(Incoterms 2020)が最新バージョンとなっています。
主なIncotermsとその特徴
EXW(Ex Works・工場渡し)
売主の工場で引き渡し以降、買主が全責任を負う
FOB(Free On Board・本船渡し)
船積みまで売主の責任、それ以降は買主負担
CIF(Cost, Insurance and Freight・運賃保険込み)
目的地の港まで売主が運賃・保険を負担
DAP(Delivered at Place・仕向地持込渡し)
指定場所まで売主が輸送手配、通関手続きは買主
Incotermsを契約に含めるメリット
取引条件が明確になる → どこまで売主が責任を負うのか明確になる。
国際基準で統一されている → 世界中で共通ルールとして認識されている。
輸送トラブルを防ぐ → 保険や通関手続きの責任を事前に決められる。
Incotermsは「準拠法」ではなく、あくまで貿易条件を定めるものであり、契約上の紛争処理や法的解釈は準拠法によって決まります。そのため、契約書では「準拠法」と「Incoterms」の両方を明記することが重要となります。
3. 実務での注意点
(1) 準拠法の明記を忘れない
「どの国の法律が適用されるのか?」を明確にしないと、万が一の紛争時に不利になる可能性がある。
✔ 例:「本契約は、日本法を準拠法とする」
(2) Incotermsを理解した上で契約する
単に「FOB」「CIF」などを契約に入れるだけではなく、それぞれの意味を正しく理解しておく必要がある。
✔ 例:「本契約における取引条件はIncoterms 2020に基づき、FOB(Tokyo)とする。」
まとめ
国際取引の契約では、準拠法とIncotermsの両方を正しく理解し、適切に契約書に盛り込むことが重要となります。
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