世界は、玄関の外まで来ていた|地方の普通の家庭で、ホストファミリーを約20回続けてきた私の話
※この記事は、創作大賞2026応募にあたり、
固定記事を大幅リライト・再構成した応募版です。
あなたにとって、
「国際交流」という言葉は、どんな色をしていますか。
飛行機のチケット。
英語のテキスト。
どこか遠い場所の話。
私も長い間、そう思っていました。
国際交流とは、
特別な人がするものだ、と。
海外に行き続けた、かつての私
独身時代の私は、とにかく海外へ行きました。
アメリカ。
オーストラリア。
イギリス。
スウェーデン。
語学留学をして、
ホームステイをして、
現地の家庭の食卓に座りました。
旅行では見えないもの。
ガイドブックには載っていないもの。
誰かの普通の暮らし。
普通の会話。
普通の家庭の空気。
それが、私にとって一番リアルな国際交流でした。
そして帰国し、
結婚して、
子どもが生まれました。
夫と、
中学生の娘と、
小学生の息子と、
地方で4人暮らし。
在宅勤務。
使っていなかった6畳の部屋。
それだけが、うちにあったものです。
「もう、あの頃みたいな国際交流は難しい。」
正直、そう思っていました。
でも、違いました。
世界の方から、
うちの玄関をノックしてきたのです。
英語が話せなくても、何とかなった
誤解されそうなので、先に書いておきます。
我が家は、英語ペラペラ家族ではありません。
夫は、ほぼ単語レベル。
息子も、簡単な挨拶程度。
娘と私が、
なんとか単語の羅列で日常会話をするレベル。
それが現実です。
「ホストファミリーって、英語ができないと無理ですよね?」
よく聞かれます。
かつての私も、そう思っていました。
でも、やってみると、
意外と違いました。
単語。
翻訳アプリ。
ジェスチャー。
絵。
笑い。
そして、
「伝えたい」という気持ち。
完璧な英語ではない。
むしろ、かなり不完全。
それでも、不思議と何とかなる。
ホストファミリーを通して、
私はそれを知りました。
普通の家庭の、リアルな現実
SNSで見るホストファミリーは、
きれいな思い出に見えるかもしれません。
でも現実は、
もっと生活感があります。
ベッドではなく布団。
立派な机ではない、
家にあったローテーブル。
食事は何を出せばいいのか。
苦手な食べ物は。
最初は、本当に悩みました。
お風呂の使い方ひとつとっても、
湯船。
脱衣所。
シャワーの習慣。
シャンプーの頻度。
私たちが海外でカルチャーショックを受けるように、
相手も日本でカルチャーショックを受けている。
当たり前のことですが、
一緒に暮らしてみると、それがよく分かります。
洗濯も。
片付けも。
スケジュール調整も。
普通の家庭だからこそ、
負担はゼロではありません。
もちろん、
楽しいことばかりでもありません。
それでも続けてきたのは、
大変さを超えるものが、
確かにあったからです。
子どもたちに起きた、小さくて大きな変化
我が家の子どもたちは、
物心つく前から、
家に外国人が来る環境で育ちました。
だからなのか。
外国人に対する「怖さ」がありません。
特別な国際教育をしたわけでも、
英語教材を与えたわけでも、
インターナショナルスクールに通わせたわけでもない。
ただ、
家に外国の人が来る。
一緒にご飯を食べる。
買い物に行く。
ゲームをする。
それだけです。
学校にALTの先生が来ても、
子どもたちは驚きません。
「家にも来るし、学校にもいる。」
それが自然なことになっていました。
この「自然さ」こそ、
私が約20回続けてきた、一番の理由かもしれません。
40年の時間が変えたもの
私が小学生だった40年ほど前、
地方では外国人に会う機会は、ほとんどありませんでした。
海外は、
テレビの向こう側の世界。
外国人は、
遠い存在。
少なくとも、私にとってはそうでした。
でも今は違います。
コンビニ。
工場。
介護施設。
飲食店。
大学。
小さな市町村の学校にも、ALTがいる。
気づけば、
外国人が隣人になる時代になっていました。
だから私は思います。
国際交流は、
必ずしもホストファミリーでなくてもいい。
地域の国際交流協会のイベントに参加する。
近所の留学生と話してみる。
学校に外国人の生徒がいたら、自然に仲良くなる。
困っている外国人に、
少し勇気を出して、
「何か手伝いますか?」
と声をかける。
特別な善意ではなく、
もっと普通のこととして。
それも立派な国際交流だと、
私は思っています。
世界は、玄関の外まで来ていた
私は長い間、
国際交流は、
「海外へ行ける人のもの」
だと思っていました。
だから若い頃の私は、
飛行機に乗り続けました。
でも今の私は、
6畳の部屋と、
布団と、
家族の食卓と、
時々うまく通じない英語と一緒に、
世界を迎えています。
英語が完璧なわけでもない。
特別な環境でもない。
それでも、
実家時代から現在まで、
約20回。
世界は、
何度も我が家にやってきました。
そして気づきました。
国際交流は、
思っていたより、
ずっと日常の近くにある。
海外へ行ける人だけのものでも、
英語が得意な人だけのものでもなかった。
世界は、
思っていたより、
ずっと前から、
私たちの玄関の外まで来ていたのです。
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