フィリピン里親の話①|18歳でフィリピンの里親になった私|あしながおじさんになりたかった18歳の私
※この話は、以前書いた「18歳でフィリピンの里親になった私」の、もう少し長く、もう少し複雑な話です。
高校卒業が近づいていた頃。
私は、4月から会社員になることが決まっていました。
大学進学ではなく、就職。
実家暮らし。
まだ18歳。
社会人になる不安もありましたが、
同時に、少しだけ自由になるお金ができることに、どこかワクワクしていた時期でもありました。
その頃の私は、漠然と思っていました。
「何か、人の役に立つことがしたい。」
ボランティアなのか。
寄付なのか。
何なのかは分からない。
でも、自分で働いたお金で、自分の意思で、誰かの役に立つことをしてみたい。
そんなことを考えていました。
◆テレビで見た“里親制度”
ちょうどその頃。
たまたま見ていたテレビ番組で、ある話を知ります。
フィリピンの子どもの里親制度。
養子縁組ではありません。
貧困などの理由で学校に通うことが難しい子どもに、毎月の支援を送り、教育を受けられるようにする制度でした。
さらに、手紙で交流もできるという話でした。
その瞬間、
「これだ。」
と思いました。
自分でも不思議なくらい、迷いはありませんでした。
4月から会社員になる。
実家暮らしで、まだ少し余裕がある。
今なら、自分にもできるかもしれない。
そして、まるで、
“あしながおじさん”になれるような気がした。
18歳の私は、そんな風に思ったのです。
◆フィリピンという国との、小さな縁
実は、私にとって「フィリピン」という国は、全く縁のない国ではありませんでした。
小学生の頃。
私のクラスに、フィリピン人の女の子の転校生がいました。
人生で初めて話した外国人。
今思えば、私が初めて「海外」を身近に感じた相手だったのかもしれません。
だからなのか。
テレビで「フィリピン」と聞いた時、
私はどこか不思議な縁のようなものを感じていました。
親は、特に反対も賛成もなく、
「自分で決めたなら」という感じだったと思います。
そして私は、支援団体へ申し込みをしました。
◆18歳で、フィリピンの女の子の里親になる
里子は、女の子希望。
そして、自分よりかなり年下の子をお願いしました。
後日、届いたプロフィール資料。
写真の中には、かわいらしい小学生の女の子が写っていました。
彼女の父親は家を出ており、
母親は都市部へ出稼ぎに。
叔母の家で育てられている、と書かれていました。
18歳の私は、そのプロフィール資料を読みながら思いました。
「この子に、学校へ行く機会を届けたい。」
当時の支援額は月4000円。
そのうち、3000円が現地の支援に使われ、
1000円は団体の運営費として使われていました。
社会人1年目の私にとって、決して大金ではありません。
でも、軽い金額でもありませんでした。
服も欲しい。
遊びにも行きたい。
18歳らしい楽しみも、もちろん普通にありました。
それでも、
「誰かの人生の役に立てるかもしれない。」
そう思うと、不思議と嬉しかったのを覚えています。
◆遠い国から届いた、最初の手紙
支援を始めて間もなく。
彼女から最初の手紙が届きました。
大きな白い紙。
現地の言葉で書かれたメッセージ。
そして、田んぼのような風景の絵。
内容には、日本語訳と英訳が添えられていました。
そこには、
「私を里子にしてくれてありがとう」
と書かれていました。
英語の成績は良い方ではありません。
英語で手紙なんて、もちろん書いたこともありませんでした。
それでも、
「私も返事を書きたい。」
そう思いました。
辞書を片手に、
必死に書いたのは、
簡単な自己紹介。
日本のこと。
本当に、それくらいだったと思います。
やり取りは団体を通すため、
1往復に数か月。
とてもゆっくりした交流でした。
でも、不思議でした。
会ったこともない。
国も違う。
言葉も違う。
それなのに、
遠いフィリピンのその女の子が、少しずつ身近な存在になっていく。
◆この時の私は、まだ知らなかった
この時の私は、まだ知りませんでした。
数か月後。
社会人1年目の仕事に苦しむ私を、
遠い国のその女の子が支えてくれることを。
そして15年後。
手紙だけで繋がっていた私たちが、
初めて、
お互いの声を聞く日が来ることを。
会ったことは、一度もない。
それでも私は、
その瞬間、
「懐かしい」
という感情が込み上げてくることになる。
(続く)
【フィリピン里親の話シリーズ】
① 18歳でフィリピンの里親になった私(この記事)
② 新入社員の頃から、遠い国の女の子に支えられていた|私を励ましてくれた、フィリピンの妹のような存在
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