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『宝森大和の仕事記 〜ホンヨム〜』|① アプリ「ホンヨム」

【主な登場人物】
・景山佳乃(かげやま よしの)……音楽家、ピアニスト、ピアノ教室経営者

・立花香(たちばな かおり)……カフェ『あると』のオーナー、洋介の妻
・立花洋介(たちばな ようすけ)……カフェ『あると』の雇われマスター、香の夫

・宝森大和(たからもり やまと)……作家、元Webライター

カフェ『あると』で、景山佳乃はスマホを見ていた。

画面には、本の表紙が並んでいる。

その中に、見覚えのある実用書があった。

以前、ここへ持ってきた本だ。

「これ、まだ読んでることになってる」
佳乃は、カウンターの向こうにいる立花香に画面を見せた。

「ああ。その本、前にここへ持ってきてたじゃない」
「覚えてるの?」
「大和先生に、最後まで読むコツを聞いてたでしょう?」

言われてみれば、そんなこともあった、と佳乃は思い出した。

本の存在は覚えている。

けれど、どこまで読んだっけ?
その本が今どこにあるのかも分からなかった。

寝室の本棚……。仕事部屋に積んである本のなかだっけ?

楽譜に埋もれている可能性は絶対にない。

佳乃は『ホンヨム』の画面をもう一度見た。

「読書中」と表示されている。

画面の中では、佳乃は今もこの本を読んでいるらしい。

「読んでないなら、ステータスを変えればいいんじゃない?」
香が言った。

「途中で止まった本は、読書中でいいのかな?」
佳乃はステータスを選ぶ。

「途中なんだから、いいんじゃない?でも、わかんないよねー。自分ルールでやるしかないね」
香は自分のスマホを取り出した。『ホンヨム』を開き、佳乃へ見せる。

以前、香が店の棚から出してきたコーヒー豆の本だ。

「読書中」になっている。

「あら。香さんもまだ読み終わってないじゃない」
仲間だ、と佳乃は思う。

「必要なところは読んだのよ、これでも」
香は笑う。

「じゃあ、読了?」

「最後までは読んでないから、読書中にしてる」
香は特に困っていないようだった。

佳乃の本も、香の本も、同じ読書中にある。

けれど、佳乃は読むつもりで忘れていた。

香は必要なところまで読んだ。

同じ棚へ入っていても、事情は違うものだ。

「二人とも、何を見てるの?」
コーヒー豆を量っていた立花洋介が、こちらを見た。

「『ホンヨム』」
佳乃が答えると、洋介も自分のスマホを取り出した。

「俺も使ってるよ」
洋介が、スマホの画面を佳乃の方へ向ける。

「使ってるの?」
洋介がアプリを使うなんて珍しい、と佳乃は思う。

「何で驚くの」
洋介が『ホンヨム』を開く。

表紙が横に並んだ。

佳乃は画面を覗き込み、二段目まで見たところで洋介を見る。

「漫画ばっかりじゃない!」

「漫画も本だよ」
洋介はすぐに答えた。

料理漫画、野球漫画、昔から読んでいる長編漫画。合間にコーヒーの本と、パンについて書かれた本が一冊ずつ入っている。

「このコーヒーの本、前に欲しいって言ってたやつ?」
佳乃が聞いた。

「違う。これはもう持ってるやつ。欲しかったのはねえ」
洋介の指が止まった。

「あれ?何だっけ。外国の人が書いたやつ」

「誰?」
香が意地悪な顔をして問い詰める。

「外国の人」
洋介が狼狽えた。

「ずいぶん絞れたわね」
香の顔がさらに意地悪になった。

「読みたいに入れておけばよかったのに」
佳乃が言った。

「題名を思い出したら入れるよ」
そしてすぐに、洋介は自分の『ホンヨム』を開き直した。

「読みたいって、どこから入れるの?」
香は何も言わず、洋介の隣へ回った。

佳乃はスマホのホーム画面へ戻る。
『記しるし』と『ホンヨム』のアイコンが並んでいた。

少し前まで、宝森大和がアプリを作っていることさえ知らなかった。

今は、宝森が作ったアプリを二つ使っている。

「ほかにもあったりして」
佳乃が言うと、香が洋介の画面を操作しながら顔を上げた。

「何が?」
香が言う。

「大和のアプリ」
佳乃は答えた。

洋介は、そんなに作るものなの?、と言った。

佳乃は、もう一度『ホンヨム』を開いた。

今日は本を一冊も持ってきていないけれど、スマホの本棚には佳乃が読んでいる本、読みたい本が並んでいた。


読みたい本も積読も、全部iPhoneへ。『ホンヨム』は本屋で使うと強い


本屋で気になる本を見つけたとき、家に同じ本があった気がして買うのをやめた。ところが帰宅して探すと見つからない。後日、買おうと思った頃には題名まで忘れている。

こんな失敗を減らせるのが、読書管理アプリ『ホンヨム』だ。

『ホンヨム』には、読了、読書中、積読、読みたいの4つの本棚がある。まだ買っていない本も読みたいへ入れられる。

この仕組みが本屋で便利なのだ。

気になる本を見つけたら、『ホンヨム』を開く。すでに積読へ入っていないか。以前から読みたいと思っていなかったか。その場で確認できる。

Apple Watchでも読みたい本を見ることができるのがポイントだ。店内でiPhoneを取り出さず、手首から題名を確認できる。

読書管理アプリは、読了冊数や感想の記録が中心になりやすい。しかし『ホンヨム』は、本を買う前から使える点が面白い。

『ホンヨム』なら、次に買う本まで一緒に持ち歩ける。

ホンヨム ホーム画面

表紙で探せるホーム画面

『ホンヨム』のホーム画面には、最近の読書、読書記録、読書中、本棚、読みたいの順に情報が並ぶ。

表示項目は多い。それでも画面が数字だらけに見えないのは、本の表紙が中心に置かれているためだ。

最近読み終えた本は最大3冊まで表示される。読書中の本が複数ある場合は、カードを横へ動かして切り替える。

題名や著者名に加えて、登録済みならページ数やメモも確認できる。

ホーム画面には、今月の読了冊数とページ数も表示される。先月との差も分かる。

ただし、ランキングや利用者同士の比較はない。読書目標の達成を競う機能も用意されていない。

数字は、自分が何を読んだか確認するためのものだ。

読了、読書中、積読、読みたいの4分類

本棚では、本を次の4種類へ分けて管理する。

  • 読了

  • 読書中

  • 積読

  • 読みたい

読み終えた本は読了。現在読んでいる本は読書中。買ったまま開いていない本は積読へ入れる。

まだ買っていない本は、読みたいへ登録できる。

ここが『ホンヨム』の強いところだ。

自宅の本棚には、購入済みの本しか置けない。『ホンヨム』なら、書店で見つけた本や、誰かに勧められた本も同じ画面へ並べられる。

次に本屋へ行ったときは、読みたい棚を開けばよい。

ホンヨム 本棚

本をつかんで、別の棚へ移せる

本棚は、表紙を横に並べた表示になっている。

同じ棚の中では、表紙をドラッグして順番を変えられる。別の棚へ移動すると、本の読書状態も変わる。

積読の本を読み始めたら、読書中へ移す。読み終えたら、読了へ動かす。

状態を変えるたびに編集画面を開く必要はない。

表紙をつかんで棚を移す操作は分かりやすい。画面上の分類を変更しているというより、本棚を整理している感覚に近い。

読了へ移した場合は、読了日、ページ数、メモを入力する画面が開く。

本棚の見た目は、ミニマル、木の本棚、書斎の3種類から選べる。記事用の画面では、表紙が見やすい木の本棚が使いやすい。

読みかけの本を消さなくていい

実際の読書は、読了と未読だけでは分けられない。

半分まで読んで止まった小説がある。仕事に必要な章だけ読んだ実用書もある。続きを読むつもりだったのに、本をどこへ置いたか分からなくなることもある。

『ホンヨム』では、こうした本も読書中へ残せる。

長期間動きがなくても、警告は出ない。続きを読むように催促する通知もない。

必要ならメモへ事情を書いておけばいいのだ。

バーコードを読めば、本の情報が入る

本の追加方法は4種類ある。

  • ISBNバーコードの読み取り

  • ISBNの手入力

  • 題名から検索

  • すべて手入力

手元に本がある場合は、裏表紙のISBNバーコードを読み取る方法が早い。

カメラを向けてISBNが認識されると、本の情報を検索する。情報が見つかれば、題名や著者名などが入力された登録画面へ進む。

バーコードを読めない場合は、ISBNを手で入力できる。ISBN-10とISBN-13の両方に対応している。

本を持っていなくても、題名が分かれば検索できる。検索語は2文字以上必要だ。

ホンヨム 登録画面

表紙が見つからなくても登録できる

ISBNから題名や著者名を取得できても、表紙だけが表示されないことがある。

『ホンヨム』の中に、すべての本の表紙が収録されているわけではない。本を登録すると、外部の情報サービスへ問い合わせて書誌情報や表紙を探す。

そのため、問い合わせ先に表紙がなければ、アプリにも表示できないのだ。

同じ作品でも、単行本、文庫版、新装版ではISBNが異なる。版によって表紙が見つかる場合と、見つからない場合がある。

しかし、表紙が取得できなかったときは、写真ライブラリから画像を選べる。手元の本をカメラで撮影すれば解決だ。

ホンヨム 手動登録

APIは、本の情報を聞くための窓口

表紙や本の情報を取得する説明では、APIという言葉が出てくる。

APIは、アプリが外部サービスへ質問するための窓口だ。

『ホンヨム』がISBNを伝え、この本の情報を持っていますか?と問い合わせる。相手が情報を持っていれば、題名や著者名、出版社、表紙などを教えてくれる。

しかし、情報を持っていなければ返せない。アプリが通信に失敗した場合も取得できない。

『ホンヨム』は、本の情報を「openBD」→「国立国会図書館サーチ」の順に問い合わせる。

そこに表紙の情報がない場合は「Open Library Covers」も確認するようになっている。

それでも表紙が取れない場合は、表紙をアプリに表示することができない。

しかし、ユーザーが「Google Books」の問い合わせ窓口である「APIキー」を設定すれば、Google Booksへ表紙を探しに行くことも可能だ。

Google Books APIキーは必須ではない

以前の『ホンヨム』では、「Google Books」を表紙を探す最後の補助として使う。

どうしても表紙が取れない場合に、比較的本の表紙の扱いが多い「Google Books」に問い合わせるのだ。

APIキーとは、窓口を利用する人を見分けるための合鍵にあたる。

設定画面では、APIキーの保存、動作確認、削除ができる。

APIキーを用意しなくても、本棚、ISBN検索、題名検索、手動登録、読書記録、バックアップ、Apple Watchは利用できる。

Google Books APIキーを設定すると、表紙を探す候補が一つ増える。

設定しても、すべての表紙が見つかるわけではない。

Google CloudでAPIキーを作る作業は、初めての人には分かりにくいだろう。写真や表紙色で補う方が早いこともある。


ホンヨム APIキー設定

読み終えた日、ページ数、メモを残せる

本を読了の棚へ移すと、読了記録の入力画面が開く。

保存できる項目は次の3つだ。

  • 読了日

  • 今回読んだページ数

  • メモ

また、一冊へ複数の読了記録を追加できる。

同じ小説を数年後に読み直した場合は、一回目と二回目の記録を分けて残せるということだ。読了本は、再読回数の多い順にも並べ替えられる。

星評価やタグはない。感想専用の入力欄も用意されていない。細かなレビューを分類して残したい人には項目が足りないだろう。

しかし、読了日、ページ数、短い感想を残す用途なら十分に使える。

ホンヨム 本の詳細画面

月ごとの冊数とページ数を確認できる

記録画面には、読んだ冊数、読んだページ、今月のページ、今月の読了が表示される。その下には、読了した本が月ごとに並ぶ。

月の見出しには、冊数と合計ページ数が出ており、各行を押すと本の詳細画面を開ける。

グラフやジャンル別集計はない。期間を自由に指定する機能にも対応していない。

そのため、年間の読書傾向を詳しく分析したい人には物足りないかもしれない。

しかし、何月に何を読んだか確認する用途なら迷わず使える。記録画面から過去に読んだ本を探せる点も便利だ。

ホンヨム 記録画面

Apple Watchで読みたい本を確認

Apple Watch版では、読みたいへ登録した本を確認できる。

これはかなり便利だ。

一覧には題名と著者名が表示される。詳細を開くと、出版社、ISBN、メモも見られる。

機能は読みたい本の確認に絞られているが、本屋で使うなら、この割り切りが強い。

棚の前でiPhoneを取り出さず、欲しい本の出版社やタイトルを確認できる便利さをぜひ体験してほしい。


Apple Watch 読みたい本一覧
Apple Watch 本の詳細

運営者が本を選ぶ『ホンヨム選書』

『ホンヨム』には選書タブがある。これは、本を紹介する画面だ。

しかし、ユーザーの読書履歴を分析した自動推薦ではなく、運営者の趣向で選ばれた本の一覧というのがユニークである。

カードには題名、著者、紹介文などが載っている。

※アフィリエイトリンクを含む可能性があるため、画面にはPR表記が入る。

おすすめは不定期に更新されており、アプリを開くと最新の情報が取得される仕組みだ。

個人の趣味を教えつけられているようだが、それはまあ、ご愛嬌だ。

今後のアップデートで、選書画面から直接本棚へ追加できるようになれば、さらに利便性が高まるだろう。

ホンヨム 選書

『ホンヨム』が向いている人

『ホンヨム』は、次のような人に向いているだろう。

  • 読みかけの本が何冊もある

  • 積読を忘れて、同じ本を買いそうになる

  • 本屋で読みたい本を確認したい

  • 小説、実用書、漫画を同じ本棚へ入れたい

  • 同じ本を再読し、読了日やメモを残したい

  • 読書記録をSNSへ公開したくない

  • 冊数を他人と競いたくない

  • Apple Watchで読みたい本を確認したい

『ホンヨム』は、交流機能を詰め込んだ読書サービスではない。自分の本を管理し、持ち歩くための自分専用本棚アプリなのだ。

「ホンヨム」はApp Storeで配信中。

文:宝森大和 × AI



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佐久良|文筆家・作家・アプリ作家 無理のないペースで書いています。

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