初めてスキーした日の話(前編)
初めてスキーをしたのは、たしか22か23歳のころだった。
きっかけは、とても軽いもの。
友だちと飲んでいる席で、誰かが
「みんなでスキー行かない?」と言い出して、
その場のノリで決定したってだけだった。
男性4人、女性4人くらいだったと思う。
誰かに会いたいとか、恋の気配があるとか、
そういう集まりじゃない。ただの飲み友だち、飲み仲間。
私はスキー未経験だったけど、みんなが盛り上がっているし、
「まあ、経験として一回くらい行ってみるか」という、
今思えば他人事のような気持ちで参加することを決めてしまった。
行くと決まってから、少しだけ不安になった。
なぜなら、私以外は全員スキー経験者。
しかも、その中には明らかに上級者っぽい人もいたから。
とはいえ、今さら行きませんとも言えず、
あまりよく考えないまま、飲み会はお開きになった。
このあと、自分がどんな目にあうのかも知らずに。
一抹の不安を抱えながらも、参加することにしたからには、
準備しなければならない事がたくさんある。
スキーウェア一式、板、ストック、ブーツ…頭が痛くなった。
金が無いのだ。そもそも。
レンタルするという手もあるが、皆、自前のスキーウェアでキメる中、
1人レンタルするのも気が引けた。てか、ウェアくらい選びたかった。
(自分が)かわいい(く見える)やつを。
だって、スキーウェア着ると
かわいさ2倍とか3倍とか聞いたことあるし、
もしやの出会いがあるかもしれないし。
頭の中は完全に「滑る前から別の勝負が始まってる人」だった。
下心有寄りに振り切った状態で、私は、スポーツ店へ繰り出した。
本屋さんで、「今イケてるウエアはコレ!」みたいな
情報収集済み(節約のため立ち読み)だから、
お目当てのウエアへまっしぐらに進む。
選んだのは、白いベースにきれいな水色のラインが入ったウエア。
本当は真っ白でもよかったが、原田知世を意識しているのを絶対にバレたくないから、あえてのライン入り。
「こ、これください!」店員さんに声をかける。
すると、爽やかなイケメン(風)店員さんが言った。
「サイズのほうはこちらでよろしいですか?」
「…サ、サイズ?」
そりゃそうだ。着るモノなんだからサイズがあるに決まっている。
だけど、頭の中が下心に支配されてた私は、
ウエアのかわいさしか考えてなかった。
おまけに、スポーツに縁がないどころか、若干嫌われている私が、
敵地であるスポーツ店に来ている。 それだけで、
緊張の上に人見知りがトッピングされてしまっている。
「…はい。」それだけ答えると、さらに、
「ご試着されなくて大丈夫でs..?」「はいっ!!」
緊張がMaxで、若干返事がかぶってしまった。
人気の商品だったようで、
「あ~、なら、よかったです!ほかのサイズ売り切れてたので。こちらお願いします。」
店員さんは、絶対に様子がおかしかったであろう私を気にする様子もなく、 レジに案内し、支払いを済ませた。
敵地(スポーツ店)から無事生還した(帰ってきた)私は、
ようやく緊張から解放され、気に入ったウエアを買うことができた喜びを爆発させていた。
頭の中は三上博史(のような)人に声をかけられた自分を妄想。
(さっきから、原田知世とか三上博史とか何なの?という方は、「私をスキーに連れてって」で検索してね)
さあ、敵地でできなかったから、着てみないと♡ってことで、
早速真新しいウエアに着替えて鏡の前へ。
「......................。」
いや、ね、着てる途中で若干感じてたんよ。
もしかしたらって。
私は鏡の中の自分に言った。
「ちっちゃくね?」
......................やってしまった。
続く。
読んでいただきありがとうございます。
思ったより長くなりそうなので分けます。
続きも読んでいただけると喜びます。
