☆【小説】「龍と空色の歌」第5話【創作大賞2025応募】005
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第五話 凶行者
料理が運ばれてくる。こういう店で出る料理は味がわからないんだろうなあ、と墨絵は思う。最初に運ばれてきたオードブルは、チーズの上にイクラが載ったものだった。これなら、墨絵も味の想像がつく。それに、チーズもイクラも墨絵の好きな食材だ。
社長は黙って右手を墨絵の方に広げ「どうぞ」という仕草をする。醤油漬けのイクラ、その味わいをチーズのまろやかさが包んでいる。ちょっと塩分の多い食材に乳製品のまろやかな味が加わることで何とも言えない味わいだ。美味しい。お腹が空いていた墨絵は夢中になって口に運ぶ。
ラフランス・サワーが運ばれる頃には社長の飲み物はシャンペンから白ワインのようなものに変わっている。長いワイングラスに透明の液体が注がれている。
「そう、仕事の話だけど。調査事務所と言っても、探偵社みたいなものね。探偵ってわかるかしら、やっていることは依頼を受けた対象の身元や身辺の調査。最近はそういうネタよりも依頼内容がね。ちょっとね……」
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