☆【小説】「龍と空色の歌」第19話【創作大賞2025応募】019 〜春スペシャル
割引あり
第十九話 光と音
ビルのエントランスまで墨絵は歩いてしまった──
マル対はこの先に潜んでいるのだろうか。
太陽の光が墨絵の瞳に差し込んだ。
眩しい。
目蓋を閉じ立ちすくんだ瞬間、立ったまま墨絵は意識が遠のくのを感じた。
墨絵の身体はその場で硬直──立ったままだ。
──脳は外界からの情報を遮断──ヘッドフォンからの音楽は聴こえなくなった──
瞑想──
キィ────ン
墨絵は遠くから鳴り響く音を聴く。
あの男だ。
男は上着の内ポケットから光るものを取り出した。
太陽光がその光るものに反射。目蓋を閉じているのにもかかわらず墨絵の脳にまで達した。
まるで場所を示しているかのようだ。
身体は硬直しているが両腕は動かせる。
右手を前方にかざし受ける──光、一閃。
音── 痛みが脳全体を走る
──痺れる。
──ア・ブ・ナ・イ・モ・ノ──
──墨絵さん。念じるんだ。柏木の声。
──墨絵。今よ。社長の声だ。
墨絵の脳内に声が響く──
男がナイフを墨絵の脇腹を目掛け突き立てようとした。
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