☆【小説】「龍と空色の歌」第20話【創作大賞2025応募】020 〜春スペシャル
第二十話 一九八五年
──リタ・スタンパ 十五歳
一九八五年十一月、欧州の街──
気がつくと粉雪が舞っている。
赤茶色のレンガが積み上がっている。見上げた先、壁の頂点には鉄条網。直径四十センチメートルの螺旋状になった金属線が延々と設置されている。無数の針状の先端。近づいたらその者の身体を突くことを一目見て理解させる仕組だ。
人が人を傷付ける意図が尖った金属片の先に込められている。
これが人間のすることなのだろうか。
この壁で二つに分けられた街に雪が降ってきた。高緯度のこの街でもこの雪は例年より時期が早い。
リタは目を伏せた。
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