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陽菜の物語 第4部「陽菜、つながる編」 第8話

ひろがる旋律(メロディ)、『えいっこ通信』の反響

「……出た! ついに公開されたよ、陽菜ちゃん!!」
数日後。開店前の三右衛門本舗に、じゅんじゅんが文字通り飛び込んできた。その手には、刷り上がったばかりの『月刊ぷらっと佐久』と、スマートフォンの画面。

「見て見て! SNSでも大反響! 『#佐久えいっこ』がトレンド入りしそうな勢いだよ!」
画面には、陽菜と真澄さんの棚、そしてマツさんとの交流をドラマチックに切り取った写真が並んでいた。じゅんじゅんの書いたリード文が、陽菜の目に飛び込んでくる。

『効率や数字ばかりが語られる時代に、この街にはまだ、体温の通った“結”の糸が残っていた。三右衛門本舗で見つけたのは、一人の新人支援員と陶芸家が織りなす、小さな、けれど強烈な“えいっこ”の物語。庭先のマルメロが結ぶ、新しい縁(えにし)とは——』

(平山純子)

「……じゅんじゅんさん、この記事……」

「すごいでしょ? 私の爆弾、今度こそ最高の場所で爆発したみたい!」

その言葉を証明するように、開店と同時に、ショップのドアベルが鳴り止まなくなった。 記事を読んだ主婦、タブレットを片手にやってきた若者、そして「懐かしいわねぇ」と呟きながら入ってくるお年寄り。
「あの、この記事の『えいっこ』って、私にもできますか?」
「真澄さんの器、まだありますか?」 「山の畑の野菜、食べてみたくて!」

陽菜は、次々と訪れるお客様一人ひとりに、名札を正して向き合った。 プロとしての誠実な対応。そこに、「つながる喜び」が重なり、彼女の言葉はかつてないほど自由に、しなやかに響き渡る。

「はい! ぜひ、あなたの『えいっこ』も教えてください。ここは、みんなで糸を紡ぐ場所ですから。」

千秋が走り回り、おゆかさんが事業所から次々と野菜を運び込み、じゅんじゅんがその熱狂を記録し続ける。 ショップという名の小さな五線譜に、佐久中の人々が新しい音符を書き込みに来てくれる。陽菜は、忙しさの中でふと窓の外を見た。浅間山は相変わらず雄大に、けれどどこか優しくこちらを見守っている。

「つながって、ひろがっていく……。」
陽菜がつぶやいたその言葉は、もう「きれいごと」ではなかった。 それは、目の前で確かに織り上げられている、美しくて丈夫な『紬(つむぎ)』の感触だった。

📎 「つながって、ひろがる」が私たちの合言葉。
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