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⒊魂のカタルシス〜薩之綉編〜③

その若いお坊さんは"薩之綉(さつのしゅう)"と言う名で、修行僧として早いうちからカリスマ性を発揮していた。

そのカリスマは、貧困な生活をしていたうえに
酒に溺れる父に、蹴り殴られていた。
このままでは殺されると思い、お寺に逃げ込んだ。
その時救ってくれたのが師僧だった。

それからそこでお世話になることになった。

修行して役に立つ事だけを考えた。 

修行をしていくなかで自分の手から白い煙のようなものが出るようになる。

ある日、お寺を訪ねてきた人が家族のことで悩んでいた。
泣いて肩を落としているのをみて
そっと肩をなでた。

すると、その人の心がスッとしただけではなく
肩の痛みも軽くなった、ととても喜んだ。

自分が人を癒す事ができたと、嬉しかった。

それから悲しみや悩み、苦しんでいる人の
肩をなでては、感謝された。

人の役に立ち喜ばれるのが嬉しかった。

修行を重ねるたびに、手からでる気も強くなる。

特別な力を持っている事で、人にできる事があると思うとより嬉しかった。

しかしある日、師僧に呼び出された。

「悪く思うな。お前を守るためだ。」

そして、薩之綉の両手を出すように言うと

熱した刻印をそれぞれ両手につけた。

その寺では、修行して強くなるエネルギーや能力は歴代封印されてきた。

師僧は霊や妖怪が見えるようになった為
目を焼かれたのだった。

薩之綉は痛みと絶望と戦った。

これも修行だと言われた。

そして気づいた。余計な煩悩はいらない。

日本中でこのお経だけを唱え、全てを浄化させる。

汚い心も、人間の煩悩も。 

必死で修行して、観音様と師僧に尽くした。

しかし、
その慈愛はいつしか、より正しくあるべきだと思い込むようになる。

ついには、師僧の人間らしい慈悲深さを疑うようになる。

師僧は甘い。そんな考えでは人は救えない。

薩之綉の精進には関心していたものの
正しさばかりを主張するようになり
他の修行僧達とぶつかる事も増えてきた。

それを感じていた師僧は優しく見守っていた。

そんな時、師僧のが亡くなった。

その後、責任者となった薩之綉はお寺組織を大きくしていくことになる。

しかも独裁的に。

近くのお寺へ出向き、僧侶達の振る舞いや行い、修行の仕方などを指導していった。

そして、霊感や霊能があるものに対しては封印していった。

月に一度、集結して、みんなでお経をあげる日をつくり、集まった人に説法する時間を作り
安心と信頼をつかんでいった。

そのビジネス的なやり方を他のお寺にも強要し
組織化し、薩之綉はカリスマ的な存在となった。



つづく


#創作大賞2024 #ホラー小説部門

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