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藤吉夏鈴は、もう戻れない【櫻坂46 The growing up train 歌詞考察】

The growing up trainは、成長を美しく描いた歌ではない。
この楽曲は、成長とは、何かを理解できないまま進まされる過程そのものを描いている。

そして、この歌が暴いているのは、成長とは「何かを得ること」ではなく、「何かを失うこと」だという事実である。

人は強くなるのではない。
強くならざるを得ない状況に置かれるだけなのだ。

1. 成長は「思い込みの崩壊」から始まる

Ah 空の色は (空の色は)
きっと 青だ (きっと 青だ)
思い込んでいないか?

櫻坂46 The growing up train

この歌は世界そのものではなく、「世界の認識」を疑うところから始まる。

空は青い。
それは疑いようのない事実のように思える。
しかしここで語り手は、それすら「思い込みではないか」と問いかける。

つまり成長とは、新しい何かを知ることではない。
これまで信じていたものが、絶対ではなかったと知ることなのだ。

子供の頃、世界は単純だった。
正しいことと間違っていることがはっきりしていた。

しかし大人になるとは、その境界が曖昧であると知ることだ。

成長とは、世界を理解することではない。
世界が理解できないものだと受け入れることなのである。

2. 光とは「理解」であり、同時に「戻れなさ」でもある

長いトンネル抜けて
不意に眩しい 光が溢れる
青春はいつも
暗闇の中 手探りするものだろう

櫻坂46 The growing up train

トンネルは無知の象徴であり、光は理解の象徴である。

しかしこの光は、単純な救いではない。
なぜなら、一度光を知ってしまえば暗闇に戻ることはできないからだ。

知らなかった頃には戻れない。
知らないままでいることはできない。

青春が暗闇として描かれるのは、人が自分の進む方向を理解しないまま進んでいるからである。

それでも進むしかない。

この列車は、自分の意思で止めることができない。
人生とは、自分で完全に制御できるものではないからだ。

3. この歌が描くのは「強さ」ではなく「弱さ」である

何をしても後悔だけ迫って来る
すぐ 自信なくして彷徨う
僕が強くなるにはどうすればいいんだ?

櫻坂46 The growing up train

ここで語り手は、強くなる方法を知らない。

これは重要な点である。
この歌は、強くなる過程を描いているのではない。
強くなれないまま進む現実を描いている。

子供の頃、人は自分の未来に確信を持っている。
しかし成長するにつれて、自分が不完全な存在であることを知る。

努力しても報われるとは限らない。
正しくても、認められるとは限らない。

それでも人生は進んでいく。

列車は、乗客の迷いとは無関係に走り続ける。

4. 「若さとは無知なんだ」は、この歌の核心である

若さとは無知なんだ
(Let it be) 突っ走れ

櫻坂46 The growing up train

この一節は、励ましの言葉ではない。
成長の本質を端的に示した言葉である。

若さとは、すべてを知らない状態のことだ。
だから人は、恐れずに進むことができる。

もし未来の結果をすべて知っていたなら、人は前に進めなくなるだろう。

つまり若さとは、可能性ではなく無知によって守られている状態なのだ。

そして成長とは、その無知を失っていく過程である。

5. 成長とは「孤独に向き合うこと」である

どんなトンネル抜けても
また近づく 孤独の時間だ

櫻坂46 The growing up train

この一節は、この楽曲の結論である。

トンネルを抜けても、それですべてが解決するわけではない。
新しい理解の先には、また新しい孤独がある。

成長とは、到達ではない。
終わりのない過程である。

理解したと思っても、また迷う。
強くなったと思っても、また弱さに気づく。

それでも人生は進んでいく。

6. 『The growing up train』が描くもの

この楽曲は、希望を直接的に描いてはいない。
しかし絶望だけを描いているわけでもない。

この歌が描いているのは、「受容」である。

人は迷う。
人は弱い。
人は間違う。

それでも進んでいく。

成長とは、強くなることではない。
弱さを抱えたまま、進み続けることだ。

そしてその時、人は自分の意思とは無関係に進む列車の上で、初めて「生きている」という現実を引き受けるのである。

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